iPhoneで大事な写真を撮りためている人にとって、iPhoneのデータのバックアップは重要です。Wi-Fiに接続すればiCloudに自動でバックアップされ、Lightningケーブルでパソコンに接続すればそちらにもバックアップできますが、パソコンが故障したときのことを考え、別の手段でもバックアップしておきたいもの。
手軽なバックアップ手段として人気が高まっているのが、充電器とiPhoneの間に挟み込むだけで、iPhoneの充電と同時に写真などのデータをmicroSDカードなどに自動バックアップできる機器。寝る前などにiPhoneに充電ケーブルを差し込むだけでバックアップできる手軽さと、大容量でも手ごろな価格で手に入るmicroSDカードが利用できる点が支持され、Amazonでも同種の製品がいろいろと売られるようになりました。
製品が多くどれを選ぶか悩ましいのですが、「microSDとUSBメモリーのどちらにもバックアップ可能」「PCに接続すればmicroSDカードリーダーとしても使える」「Amazonでは税込み4,000円台で買える低価格」という欲張りな製品「iCube」が登場。なかなか便利だと感じたのですが、結構なクセもありました。
バックアップは簡単、USBメモリーにも対応
iCubeの構造や使い方は、同種の製品と基本的に同じ。まず、iCubeにバックアップデータ保存用のmicroSDカードを差し込みます。続いて、iPhoneに付属する充電器などにiCubeのUSB端子を接続し、LightningケーブルでiPhoneと接続すればOK。iPhoneに専用アプリを導入しておけばアプリが自動で起動し、充電と同時にデータのバックアップが始まる仕組みです。
いったんバックアップが始まれば、画面を消してスリープしても問題ありません。Safariなど別のアプリを立ち上げてもバックグラウンドでバックアップが進むので、ふだん通りにiPhoneを使い続けられます。
iCubeならではのポイントが、USBメモリーなどを接続するためのUSB端子も備えており、microSDカードとUSBメモリーのどちらにもデータをバックアップできること。アプリから、どちらにバックアップするかを選択できます。競合製品はmicroSDスロットしか搭載していないことが多いので、この点はポイントといえます。
microSDカードは本体に入れっぱなしでも出っ張ることがないため、自分1人だけで使う場合はスマートに扱えるメリットがあります。一方のUSBメモリーは差し込むと出っ張るのが欠点ですが、小さすぎてなくしやすいmicroSDとは異なり扱いやすさに優れるのがポイント。家族でiCubeを共用する場合、1人ずつ異なるUSBメモリーをバックアップ用に用意しておけば、サッと差し替えて使えます。
microSDやUSBメモリーに保存したバックアップデータは、アプリを使えば新しいiPhoneに復元できます。通常のデータと同様に読み出せますので、パソコンなどにコピーするのも簡単。ただ、自分だけでなくほかの人も同様に読み出せるので、microSDやUSBメモリーの紛失や管理には注意したいところ。パスワードや暗号化を施す機能は用意されません。
説明書がなく、分かりづらい部分もある
装備や機能は不満がないものの、不親切な点が散見されるのが気になりました。
まず困ったのが、説明書が用意されないこと。パッケージには紙の説明書が付属していないだけでなく、Webサイトにもアプリ内にも説明書やQ&Aは用意されていません。機能はシンプルなので、基本的な使い方をひととおりマスターすれば問題ないとはいえ、製品のキャラクターを考えるとIT機器に詳しくない人が使うことも多いと思われるので、改善を求めたいところです。
アプリ自体も、機能の解説が抜け落ちていて「これは何の機能なんだ?」「どうすればいいんだ?」と感じる部分もありました。実際に手探りで試してみて「ああ、これはiPhone内の写真や動画を任意にmicroSDやUSBメモリーにコピーする機能なのか」と分かりましたが、初心者にはハードルが高いと感じます。
このように、いささか荒削りな作りがあるのは気になるものの、microSDとUSBの両方に対応しつつ価格を抑えている点は評価できます。メモリー内蔵型のバックアップ用機器のほうが手軽ですが、こちらはメモリーカードを差し替えれば複数人で使い分けるのが容易なうえに割安で済むので、家族全員でバックアップを利用したい人に向きます。不満を感じた部分は、Webサイトやアプリなどソフトウエア面の手直しで改善できる部分なので、今後のブラッシュアップに期待しつつ、ITに詳しい人が家族に使い方を教えながら利用するのがよいでしょう。