新型コロナウイルス感染拡大における特別定額給付金。全国民に支給されることが決まりましたが、当初は住民税非課税世帯のみと発表があったり、休職や失業で収入が減ることで一時的に住民税非課税世帯に当てはまる家庭があったりと、「住民税非課税世帯」という言葉をよく聞くようになりました。

今回は、「住民税非課税世帯」とは何か、そしてどのような優遇措置があるのかをお伝えします。

  • 「住民税非課税」を詳しく解説

    「住民税非課税」を詳しく解説

「住民税非課税世帯」どんなメリットがあるの?

「住民税非課税世帯」とは、一言でいうと「住民税を納めなくてもいい」と認められた世帯のことをいいます。どのような場合に住民税を納めなくてもいいのかについては、後ほど詳しくお伝えしていきますね。

「住民税非課税世帯」には様々な優遇措置があります。まずは、「住民税非課税世帯」にどのような優遇措置があるのかを見ていきましょう。

(1)保険料の減額、予防接種や検診の無料化、入院も優遇

国民健康保険の保険料が所得に応じて、減免されます。高額療養費制度については、減額が受けられる自己負担分上限額が通常よりも低い金額に設定されています。

また、予防接種やがん検診が無料で受けられたり、入院中にかかる食事の自己負担分が減額されたりする自治体もあります。

(2)プレミアム付商品券の対象

令和元年10月より消費税が10%に増税されたことで、家計負担が大きくなる世帯に向けてプレミアム付商品券が配布されました。住民税非課税者は、配布される対象となっています。

(3)幼児教育・保育の無償化

0歳から2歳までの子どもについて、保育の必要性があると認定された場合に保育所などの利用料が無償化となります。

(4)高等教育無償化

2020年4月から、住民税非課税またはそれに準じる世帯を対象に「高等教育の就学支援新制度」が始まりました。授業料等減免は、各大学等がそれぞれの上限額まで授業料等の減免を行います。また給付型奨学金の支給の拡充として、日本学生支援機構が各学生に支給を行います。

住民税の計算方法は?

このように、住民税を免除されたことにより、様々な優遇措置を受けることができる「住民税非課税世帯」ですが、そもそも「住民税」はどのようにして計算されるのでしょうか。

住民税は、前年の1月1日から12月31日までの所得に応じて決まる「所得割」と自治体によって一律に決められている「均等割」の2種類の合計です。まず「所得割」ですが、都道府県民税が4%、市町村税が6%の合計10%です。

そして「均等割」は、自治体によって異なりますが、標準税率として都道府県税が1,500円、市町村税が3,500円と決められています。つまり均等割の合計は5,000円ということになります。

住民税非課税世帯の条件とは

先ほどみた「所得割」と「均等割」はそれぞれ非課税になる所得制限が異なっていますが、「所得割」と「均等割」の両方とも非課税になる場合に「住民税非課税」となります。世帯全員の住民税が非課税になった場合に「住民税非課税世帯」となります。

住民税が非課税になるケースは以下のいずれかに当てはまる場合です。

(1)生活保護を受けている場合
(2)障がい者、未成年者、寡婦(夫)で、前年中の合計所得が125万円以下の場合
(3)前年中の合計所得金額が各自治体の定める額以下の場合

<東京23区の場合>
・扶養親族がいない場合 : 合計所得金額が35万円
・扶養親族がいる場合 : 合計所得金額が35万円×(控除対象配偶者+扶養親族+本人)+21万円

では、住民税非課税世帯となる収入はいくらなのか具体的にみていきましょう。

(1)独身の人の場合
給与収入-給与所得控除65万円=35万円の式に当てはめると、年収は100万円以下となります。

(2)会社員と専業主婦の夫婦2人の場合
35万円×2人+21万円=91万円の所得となります。年収は155万円以下です。

(3)会社員、専業主婦、子ども2人の4人家族の場合
35万円×4人+21万円=161万円の所得となります。年収は255万円以下です。

例えば、夫婦が共働きで子ども2人の場合、妻のパート収入が100万円(所得35万円)以下で夫の年収が255万円以下なら住民税非課税世帯となります。

※令和2年に納める住民税は令和元年の給与所得控除で計算するため、平成29年分~令和元年分の給与所得控除で計算しています。
※給与所得控除額は年収によって異なります。
※住んでいる自治体にとって限度額は違います。

住民税非課税世帯として、様々な優遇措置を受けるためには申請が必要となります。詳しくは住んでいる地域の自治体に問い合わせてくださいね。