「仮面ライダー」シリーズに登場する変身アイテムを大人ファンに向けて高いクオリティで再現する「COMPLETE SELECTION MODIFICATION(CSM)」最新作として、『仮面ライダーキバ』(2008年)に登場した仮面ライダーイクサの変身ベルト「イクサベルト」が商品化され、大きな話題を呼んでいる。

  • 武田航平(たけだ・こうへい)。1986年生まれ、東京都出身。第14回JUNONスーパーボーイコンテスト審査員特別賞を受賞。2008年『仮面ライダーキバ』に紅音也役でレギュラー出演した。テレビ東京 ドラマパラビ『ミリオンジョー』(2019年)をはじめとするテレビドラマや、園子温監督『東京ヴァンパイアホテル』(2017年)、石田秀範監督『GOZEN-純恋の剣-』(2019年)といった映画作品、そして日本マイクロソフトWindows10 2020 CM「モダンPC」などに出演。『仮面ライダービルド』の仮面ライダーグリス/猿渡一海役として再び仮面ライダーを演じた。撮影:大塚素久(SYASYA)

『仮面ライダーキバ』は、2008年1月27日から2009年1月18日まで、全48話が放映された連続テレビドラマで、平成仮面ライダーシリーズの第9作にあたる。人間のライフエナジー(生命エネルギー)を捕食する怪物ファンガイアの脅威に立ち向かう戦士たちの姿を描いた本作は、過去(1986年)と現代(2008年)の2つの時系列をひとつのエピソードの中で並行して描く、画期的なドラマ作りが行われた。

「現代編」の主人公・仮面ライダーキバ/紅渡(演:瀬戸康史)は人間の父とファンガイアの母をもち、亡き父が遺したバイオリン「ブラッディ・ローズ」を超えるバイオリンを作り上げる夢を抱いている。そして22年前の「過去編」では、天才バイオリニスト・紅音也を中心に、ファンガイアの猛威から人々を守るために戦う者たちの"愛"と"戦い"の日々がつづられた。

ここでは、『仮面ライダーキバ』過去編の主人公である紅音也を演じた武田航平にインタビューを敢行。気まぐれで女好き、しかし自分の信念を最後まで貫き通す強さも持ち合わせる音也の魅力を振り返りつつ、作品の高いクオリティを支える実力派スタッフたちの功績や、仮面ライダーを愛するファンへの感謝を語ってくれた。

――まずは、『仮面ライダーキバ』紅音也役が決まった経緯から教えてください。

「仮面ライダーのオーディションがあるから」と事務所から言われたのがそもそものきっかけでした。最初は「作品は観ていたけれど、出る側ではないな」と思っていて、オーディションのときも肩の力を抜いて、自然体で臨んでいました。面接中にノドが詰まっちゃって、「すみません、ちょっと洗面所に」と言って外に出たりして(笑)。たぶん受からないだろうな……と思っていましたが、そういう自由なところがプロデューサーたちに引っかかり、「音也がいた!」と感じたそうです。

キャストが初めて全員集まったとき、パイロット(第1、2話)担当の田崎竜太監督(※田崎監督の崎は立つ崎が正式表記)から「仮面ライダーはヒーローなので、みなさん私生活には気をつけるように。特に武田くん」と言われたのを鮮明に覚えています(笑)。

――「1986年」という過去に生きていた青年の役を演じることについて、どう思われましたか。

設定を最初に聞いたとき、強い"縁"を感じましたね。1986年は僕が生まれた年ですし、音也の年齢はちょうど僕の父と同じでしたから。音也を演じるにあたって、当時は何が流行っていたか、どういう髪型がいいのか、父からいろいろと話を聞いたことが思い出されます。

――劇中で音也が身に着けていた「80年代ファッション」はいかがでしたか。

衣装さんが用意してくださった洋服で、それらしく見えていればいいかなと思いました。髪を切らなかったので、エピソードが進むうちにどんどん伸びていき、その伸ばした感じが80年代っぽく見えていたとしたらありがたいですね。ゆり役の(高橋)ユウちゃんは若いのに、抜群のスタイルを活かして80年代ファッションをステキに着こなして、すごく似合っていました。

――音也は天才バイオリニストという設定でした。演奏シーンではどんな苦労があったでしょう?

あれは毎回大変でした。天才的な演奏技術があるように見せないといけないですからね。基本は僕が演奏している動きに合わせて、プロによる演奏を乗せてもらっているのですが、やっているうちにある程度弾けるようになったんですよ。アフレコルームの中で、渡役の(瀬戸)康史と一緒に練習したこともありました。

――田崎監督からは、音也をどのように演じてほしいと言われましたか。

80年代後半はちょうどバブル景気が高まってきたころで、日本に"勢い"があった時代ですよね。田崎監督からは「音也は現代(2008年)の若者と比べても、より大胆で堂々としていてくれ」と言われました。音也はバイオリン演奏は天才的ですが、腕っぷしがそれほど強いわけではなく、それでもなぜかラッキーで勝ってしまうタイプ。田崎監督には、「ルパン三世」がキャラクターのイメージとしてあったそうです。

音也という役柄は、第1、2話の田崎監督と第3、4話の石田秀範監督の個性が合わさって作り上げられました。お2人とも80年代に青春を過ごされた方ですけど、田崎監督が都会的な、気さくな兄ちゃんのような方なのに対し、石田監督はシャイでガンコな芸術家気質で、まさに対照的。脚本の井上(敏樹)さんも両監督と同年代で、"スーパー破天荒"な人です。そんな1986年という時代を実際に生きてきた人たちだからこそ、音也という人物にリアリティを与え、魅力を高めてくださったんだと思います。