タレントの小堺一機と関根勤がパーソナリティを務めるTBSラジオの特別番組『令和に復活!またまたやります! コサキンDEワァオ!です、ワァオ!』が、24日に放送された(放送から1週間まで「radiko」タイムフリーにて聴取可能)。

  • 左から関根勤、小堺一機

    関根勤(左)と小堺一機 (写真提供:TBSラジオ)

パーソナリティを務める小堺一機の「コサ」に、関根勤の「勤(つとむ)」を音読みした「キン」を冠したこの番組。「ゲベロッチョ!!」「ケレル!!」「トーケーー!!」などの“雄叫び”に代表される丁々発止の破天荒なトークと、ふたりが愛する有名人の「似てねぇ~」モノマネ、そしてリスナーからの「意味ねぇ~」ネタの投稿が人気だ。

番組の歴史は、1981年10月8日にスタートした『夜はともだち コサラビ絶好調!』がルーツ。その後さまざまに放送枠を変えながら約28年にわたる歴史を歩んできた。

その後レギュラー放送は2009年3月28日に幕を下ろしたが、令和時代に入ってふたたびその動きが活発に。

ことし1月3日には正月特別番組として『令和に復活 ぼくたち「コサキンDEワァオ!」です、ワァオ!』が放送されたほか、2月10日にパシフィコ横浜で開催された大型イベント『TBSラジオEXPO』では、人気漫才コンビ・ナイツとのコラボレーションによるトークステージを開催。令和にはいって、続けざまに3度もの「復活」を果たしている。

11年のブランクもなんのその、大御所タレントとなったふたりがいまも「意味ねぇ、くだらねぇ」の姿勢を貫き続けるのはなぜか。放送のたびにリスナーの心をつかみ続ける秘密はどこにあるのか。「コサキン」シリーズの最初期から番組にメイン構成作家として関わり続ける鶴間政行氏に放送後、電話取材した。

■パーソナリティもリスナーも「アップデートし続けている」

――今回のコサキンも、放送時間があっという間に感じられるほどの勢いでした。今回は55分番組でしたが、実際はどのくらいの時間をかけて収録されたのでしょうか。

放送されたのは55分でしたけど、実際には収録でふたりはその倍ちかくの時間をしゃべっていました。マイクが入っていないところでも雑談が止まらなくて。(新型コロナウイルスのために)ふたりともステイホームしていて、実際に会うのも久しぶりで、とにかく話が止まらなかったです。

――鶴間さんもふたりに会うのは『ラジオEXPO』以来と。

そうですね、『ラジオEXPO』以来に顔をあわせました。でもこんな状況でも、ふたりは映画やテレビの番組をたくさん見たりして、トークの引き出しは常にいっぱいにしているんです。「最近何をしていたか」というだけで永遠にトークができちゃう。アップデートし続けているんです。ここが本当にふたりのすごいところです。

  • 2020年1月放送『令和に復活 ぼくたち「コサキンDEワァオ!」です、ワァオ!』収録風景 (写真提供:TBSラジオ)

――「CD大作戦」(リリースされたCDやレコード音源から抜き出したフレーズを上手に組み合わせてベスト3形式で「意味ねぇ~」ことを表現するコーナー)や定番の「おハガキ列島」「意味ねぇ~キャッチフレーズ」など、リスナーからの投稿ネタもあいかわらずの勢いでした。最初期から数えるとじつに40年近い歴史のコサキンシリーズですが、当時のリスナーがそのまま参加し続けているのでしょうか。

レギュラー放送当時から聴いてくれているリスナーもたくさんいますね。新しい人も入ってきます。でもみんな昔番組内で流行ったネタばかりではなくて、時代にあわせたネタをちゃんと送ってきてくれるんです。

――「あの当時の空気を!」とリスナーなら思ってしまいそうですが、毎回常に「いま現在」の空気を取り入れ続けているのですね。

(24日に放送された)「CD大作戦」のコーナーにも、星野源の『恋』や米津玄師の『Lemon』など、きちんといまのヒットナンバーも入っていました。歴の長いリスナーたちも、ちゃんと時代を読んでいるんです。

――2月に開催された『TBSラジオEXPO』でのステージも大盛況でしたね。会場の入り口まで満員の観客たちを見ながら「ここにいる人たち、みんなコサキンリスナーなのか」と思うと胸が熱くなりました。

  • 『TBSラジオEXPO』でのナイツとのステージ (写真提供:TBSラジオ)

本当にたくさんの方に来ていただいて、うれしかったです。でもコサキンがいつも大事にしているのは「100人中3人が聴いている」という感覚なんです。クラスの全員が聴いているハズがなく、あくまで見つけてくれたリスナーが友達にも言わず「こっそり聴いている」ものであるという感覚で番組を作っています。

■『コサキン』はどのように「構成」されているのか

――最初期からずっと構成作家を担当されている鶴間さんに聞いてみたかったことがあるんです。構成作家といえば番組の台本を執筆されているわけですが、「コサキンの収録台本」にはどんなことが書かれているのでしょうか。

基本的にはコーナーの順序くらいです。ふたりが何をしゃべるかという、そういったセリフは一切書いていません。収録中にふたりの盛り上がったトークの脱線を止めることはありますけれど、内容自体はほとんどふたりに任せています。

――番組収録における、鶴間さんのいちばんの「仕事」は?

まず、ふたりが何を面白がって、何が好きかという感覚を忘れないこと。そして、コーナーを考えたり、「意味ねぇ~」テーマを考えること。その次の仕事が投稿ネタの「順序」を決めることです。

「意味ねぇ~キャッチフレーズ」では、最初はみんなが想像しやすかったり「うまいな~」と思うようなネタを入れる。そこから徐々にくだらないネタにしていって、最後の最後に超「意味ねぇ~」ネタで締めるんです。そこでムックン(小堺)が泣いてネタを読めなくなると大成功です。

■『コサキン』が令和でも変わらないところ

――昭和から平成、令和と3つの時代を駆け抜けているコサキン、時代によってネタの題材も変わり続けているということでしたが、逆にこれだけは変わらない、変えていないということはありますか。

コサキンふたりの「意味ねぇ~」感覚をリスナーが読み取って投稿してくれる、そのキャッチボールです。

――たしかにリスナーのネタは秀逸ですよね。

ふたりのバカトークもそうですけど、リスナーの秀逸なネタも何度聴いてもおかしい。ここが不思議なんです。だから11年ぶりに(番組が)復活しても違和感がない。ふたりを入れるとすぐに昔の空間にもどって、リスナーもそれに寄り添ってくれるんです。

――リスナーのハガキには毎回爆笑してしまいます。

リスナーからのネタ選びの最中に思わず爆笑してしまったり、「よく気がつくなぁ」と感心してしまうときがあるんです。たとえば「意味ねぇ~キャッチフレーズ」でツナマヨのキャッチフレーズが「変わり者がいまやベテラン」というネタがあって。

――うまい!

うまいよねぇ。たしかに言われたらその通りだもん。発売当初は一種の変人扱いだったのに、すっかり浸透しているし。こうした絶妙な言葉選びが最高に面白いんです。

――あらためて、鶴間さんが考えるコサキンの魅力を教えてください。

たとえば花が植えてあるとして、多くの人はその花のキレイさに注目するけれど、コサキンのふたりは茎や葉っぱの形や、植木鉢の形を面白がる。さらにこの花はどんな人が植えて、そこに置いているのか。「花を育てている人が寝起きのパジャマ姿で花に毎日水をあげている」というところまで想像して話を広げていくんです。

常にいろんなかたちで「面白がりかた」を見つけているふたりのトークはいつもくだらなくて新鮮。何度も言いますが、不思議なことに過去の放送を聴いても毎回面白く「バカでぇ~」と言いながら聴けちゃうんです。

■鶴間政行
1954年埼玉県熊谷市生まれ。萩本企画所属。萩本欽一氏率いる放送作家集団「サラダ党」メンバーとして1970年代からテレビ・ラジオ番組の構成を担当。小堺一機氏が司会を務めたテレビ番組『ライオンのごきげんよう』(フジテレビ、1991年~2016年)の名物企画「サイコロトーク」の発案者としても知られる。「コサキン」シリーズには最初期の1981年からメイン構成作家として携わる。