英Armは5月26日 (現地時間)、ハイエンドスマートフォン向けの新しいプロセッサIP「Cortex-A78」とGPU IP「Mali-G78」を発表した。「5G時代のデジタルイマージョンを提供する新しいArm IP」としている。
Cortex-A78では、効率性に優れたハイエンド性能に軸足を置いてマイクロアーキテクチャを最適化した。同じ消費電力1WのモバイルTPE (thermal power envelope)なら、前世代 (Cortex-A77)と比較してシングルコア性能が約20%向上する。また、同じパフォーマンスならCortex-A78は前世代より消費電力を50%抑えられる。
性能/エリア比も向上する。4つのCortex-A77 CPUと4つのCortex-A55 CPUのDynamIQクラスタを、4つのCortex-A78 CPUと4つのCortex-A55 CPUの組み合わせにアップグレードした場合、同じモバイルの電力枠で性能が20%向上し、チップ面積は15%小さくなる。性能/エリア比の改善によって、折りたたみデザインのような新たなデバイスの可能性が広がる。
一方で、今日のモバイル産業ではより高い性能へのニーズも強く存在する。そこで性能にフォーカスした柔軟性とスケーラビリティを顧客に提供する「Cortex-X Custom」というプログラムを用意した。性能が求められる用途のソリューションとなるカスタマイゼーションを提供する。同プログラムによる初のCortex-X1 CPUは、Cortex-A77よりもピーク性能が30%向上している。例えば、DynamIQクラスタの構成を1つのCortex-X1 CPUと3つのCortex-A78 CPUにすることで、4つのCortex-A78 CPUよりピーク性能を引き上げられる。
Mali-G78は、前世代 (Mali-G77)と同じValhallアーキテクチャに基づいているが、最大24コアをサポート (G77は最大16コア)、Asynchronous Top Level、Tilerの向上、フラグメント依存トラッキングの改善などによって25%の性能向上を実現した。スモークや樹木のような複雑なシーンを扱う3Dゲームにおいて描画性能が最大17%、モバイルデバイス内で機械学習を用いるアプリケーションのGPUを用いた演算性能が約15%高速になる。
また、ミッドレンジ向けに「Mali-G68」を用意した。Mali-G78と同じ機能を備えるが、コア数が最大6個となっている。コストを抑えながら、ハイエンドに近い性能、またはコンパクトなチップや省電力性などを求める顧客に応える。