ASUSのゲーミングPCブランド「ROG」から、スリムゲーミングノートPC新モデルとなる「ROG Zephyrus G14」が登場した。重量1.6kgから、薄さ17.9mmからと、ゲーミングノートPCとしては薄型軽量ボディに、AMDの最新APU「Ryzen Mobile 4000 Series」や、NVIDIAのディスクリートGPUなどのパワフルなスペックを凝縮。また、天板に独自のLEDイルミネーション「AniMe Matrix」を搭載する点も大きな特徴だ。今回は、このROG Zephyrus G14シリーズ国内最上位モデルとなる「ROG Zephyrus G14 GA401IV GA401IV-R9R2060WLQ」を紹介する。

  • ASUS ROG Zephyrus G14 GA401IV

    ASUS ROG Zephyrus G14 GA401IV

ゲーミングノートPCらしい派手さは控えめ?

ROGブランドのゲーミングノートPCは、赤く発色する天板ROGロゴやフルカラーLEDバックライトを備えるキーボードを搭載する機種も多いが、ゲーミングPCとしては比較的シンプルなデザインの製品が多い。そういった中Zephyrus G14シリーズは、外観はまるでビジネスノートかといったような、かなり地味な印象となっている。

天板やボディはほぼフラットで、側面も直線的なデザインを採用。背面の排気口付近が鋭角に切り取られている点は印象的だが、全体的には落ち着いたデザインとなっている。これは、Zephyrus G14シリーズはゲーミングPCとしてだけでなく、映像クリエイターなどのビジネス分野での利用もターゲットとなっているからだ。実際、近年は高性能なクリエイティブPCとしてゲーミングPCを活用する例が増えており、そういった利用者からもこのデザインは大いに受け入れられそうだ。

  • 本体デザインはシンプルで、ゲーミングPCらしい派手さはほとんどない

  • 天板はフラットで、ROGロゴも控えめ。しかし後ほど紹介する「AniMe Matrix」が大きな特徴となっている

  • 本体正面

  • 左側面

  • 背面

  • 右側面

  • 底面

とはいえ、ゲーミングPCらしい派手さが全くないというわけではない。それが、後ほど詳しく紹介する独自のLEDイルミネーション「AniMe Matrix」の搭載だ。天板に1,215個の白色LEDを埋め込み、アニメーションや文字、システムメッセージなどの表示が可能となっている。フルカラーLEDではないが、天板で繰り広げられるイルミネーションは、これまでのPCにはない楽しさがある。また、発光が白色のみのためあまりに派手過ぎることもなく、ゲーミング用途以外でも邪魔にならないと感じる。

なお、AniMe MatrixはZephyrus G14シリーズ全モデルに搭載されるわけではない。非搭載モデルも用意されるので、イルミネーションなどは不要ということであれば、非搭載モデルを選択すればいい。

  • AniMe Matrixは、1,215個の白色LEDを埋め込み、アニメーションや文字、システムメッセージなどの表示が可能

今回の試用機はシリーズ最上位モデルながら、サイズは324×222×19.9~20.9mm。14型ディスプレイ搭載ながら、ディスプレイベゼル幅を狭めることでフットプリントの小型化を実現。また、重量も約1.7kgと、このクラスのゲーミングノートPCとしては十分な軽さとなっている。もちろんモバイルPCと比べるとサイズや重量は見劣りするし、実際に手に持ってみても、軽いというほどではない。それでも、高性能ゲーミングノートPCとしては十分に小型軽量であり、比較的気楽に持ち運べると感じる。

  • 重量は公称約1.7kg、実測では1,715gだった。ゲーミングノートPCとしてはまずまずの軽さで、比較的楽に持ち運べそうだ

AMDの最新APU「Ryzen Mobile 4000 Series」を採用

試用機のスペックは下にまとめたとおりで、ゲーミングPCとして十分なものとなっている。

■ROG Zephyrus G14 GA401IV 試用機の主なスペック
CPU Ryzen 9 4900HS(3.0/4.3GHz)
メモリ DDR4-3200 16GB
内蔵ストレージ PCIe SSD 1TB
ディスクリートGPU GeForce RTX 2060 with Max-Q Design(ビデオメモリ6GB)
光学ドライブ なし
ディスプレイ 14型(2,560×1,440ドット)
ネットワーク IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax準拠無線LAN、Bluetooth 5.0
本体サイズ/重量 W324×D222×H19.9~20.9mm、約1.7kg
OS Windows 10 Home 64bit

特徴的な部分は、搭載CPUはとしてAMDの最新APU「Ryzen Mobile 4000 Series」である「Ryzen 9 4900HS」を採用している点だ。Zen 2アーキテクチャのCPUコアを8基と、Vegaアーキテクチャ(Compute Unitは8基)のGPUを統合したAPUで、動作クロックは3.0GHz、ブーストクロックは4.3GHz。高性能なAPUだが、TDPが35Wに抑えられているため、Zephyrus G14シリーズのような薄型ボディでも問題なく搭載できるようになっている。Zephyrus G14シリーズでは全モデルがRyzen Mobile 4000 Seriesを採用しており、今後もゲーミングノートPCでAMD製APUの採用例が増えていきそうだ。

また、ディスクリートGPUとして「GeForce RTX 2060 with Max-Q Design」も搭載。GeForce RTX 20シリーズのミドルレンジモデルだが、こちらも薄型ゲーミングノートPCとして十分な描画能力を発揮する。

APUとGPUの性能を申し分なく引き出すため、5本のヒートパイプと209枚のフィンを備えるヒートシンク4基、81本のブレードを備える大型12Vファンを2基組み合わせた高性能冷却機構を搭載。合わせて、ディスプレイを開くと後方が本体下部にもぐり込み本体後方を持ち上げる「ErgoLiftヒンジ」も採用しており、底面からの安定した吸気も確保。こういった優れた冷却仕様によって、安定してAPUやディスクリートGPUの性能を引き出せるようになっている点も心強い。

  • CPUやGPUの性能を最大限引き出せるように、高性能冷却システムを搭載

  • ディスプレイを開くと後方を持ち上げ底面からの吸気性能を高める「ErgoLiftヒンジ」により、効率良く冷却できる

ディスプレイは14型IPS液晶で、表示解像度は2,560×1,440ドット(WQHD)または1,920×1,080ドット(フルHD)。試用機はWQHD液晶を搭載していた。フルHD液晶では120Hzの高リフレッシュレート対応モデルも用意される。この他、VESAのディスプレイ動機技術「Adaptive Sync」もサポートする。

このディスプレイは、全モデルともsRGBカバー率100%の広色域表示に対応するとともに、出荷前に全製品でキャリブレーションを行っている。また、Pantone認証も取得している。実際に表示される映像は非常に鮮やかかつ高コントラストで、ゲームはもちろん、映像クリエイターも納得の発色性能を備えていると感じられる。

  • 試用機では、2,560×1,440ドット表示対応の14型IPS液晶を搭載。広色域表示対応で、Pantone認証も取得している

テキストも表示できる独自イルミネーション「AniMe Matrix」

Zephyrus G14シリーズ最大の特徴となるのが、天板に搭載される独自イルミネーション機能「AniMe Matrix」だ。

天板の対角線より上部に6,536個の穴を用意するとともに1,215個の白色LEDを埋め込み、画像やロゴ、任意のテキスト文字などを光でアニメーション表示する。

表示できる画像はROGロゴなど標準でプリセットとなっているものもあるが、JPEG、PNG、BMP、GIF形式の任意の画像を指定し表示できる。またGIFアニメを指定すればアニメーション表示も可能だ。テキスト文字は任意に入力したものをスクロール表示するようになっており、最大6列まで文字列を表示できる。この他、バッテリー残量や時計、メール通知などのシステム情報の表示、再生されるサウンドに合わせたレベルメーター表示も可能となっている。

これらAniMe Matrixで表示する内容の設定は、ROGシリーズ向けの独自ユーティリティアプリ「Armoury Crate」を利用する。任意の画像を指定したり、表示する文字列も自由に設定可能だ。

  • AniMe Matrixは、6,536個の穴と1,215個の白色LEDで、画像やロゴ、任意のテキスト文字などを光でアニメーション表示する

  • プリセット画像だけでなく、別途用意した画像を表示したり、任意の文字列を表示可能

  • バッテリー残量や日時、メール受信通知などのシステム情報を表示できる

  • 再生中のサウンドに合わせてレベルメーター表示も可能だ

  • AniMe Matrixで表示する内容の設定は、独自ユーティリティアプリ「Armoury Crate」を利用する

  • 独自の画像の指定や文字列の設定も自由自在

<動画> AniMe Matrixで独自画像と文字列を表示している様子

ゲーミングPCでは、フルカラーイルミネーションによる派手なライティングがほぼ標準的に搭載されているが、AniMe Matrixはそれらに比べると派手さは控えめだ。しかし、他のイルミネーションにはない独特な世界観を実現でき、なかなか面白いと感じる。自由にテキスト文字列を表示できるという点は他人へのアピール度も高く、映像クリエイターなどはかなりハマる要素となりそうだ。

ゲーミングPCに相応しい高機能キーボード、ポートも十分

キーボードは、見た目はゲーミング向けというよりも、一般的なノートPCに搭載されるキーボードに近い。キーピッチは19.05mmフルピッチを確保し、ストロークも1.7mmと十分な深さがある。クリック感はやや固めに感じるが、しっかりタイピングできるという印象だ。キーボードバックライトもフルカラーではなく白色となっており、こういった部分もゲーミングPCのキーボードらしくない部分だ。

とはいえ、キーは2,000万回の打鍵に耐える優れた耐久性を備え、複数のキーを同時押しした場合でも全てのキー押下を認識できるNキーロールオーバーもサポートするなど、ゲーミングPCのキーボードとして必要なスペックはしっかり押さえているので、ゲーミングユーザーにとっても安心だ。

ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型の大型タッチパッドを搭載する。ゲーミング用途やクリエイター用途でタッチパッドを使う場面はほぼないと思うが、基本的な利便性は全く不満はない。もちろんタッチパッドの動作は簡単にオフにできるため、誤操作の心配もない。

  • キーボードは一般的なノートPC同等のように見えるが、フルピッチ、1.7mmの深いストロークを確保。2,000万回の打鍵に耐える耐久性やNキーロールオーバーもサポートし、ゲーミングキーボードとしての特徴もしっかり押さえている

  • タッチパッドは大型でジェスチャー操作もフル対応。もちろん外付けマウス利用時には動作をオフにでき誤動作も防げる

外部ポートは、左側面に電源コネクタ、HDMI、USB 3.1 Gen2対応USB Type-C(Displayport Alternate Mode、USB PD対応)、オーディオジャックを、右側面にUSB 3.1 Gen2対応USB Type-C、USB 3.0×2の各ポートを備える。クリエイティブ用途での利用を考えると、Thunderbolt 3ポートやSDカードスロットも欲しいところだが、必要十分といったところだろう。なお、左側面のUSB Type-C経由でのバッテリー充電や給電も可能となっているが、最大限の性能を引き出すには出力180Wの付属ACアダプタの利用が不可欠となる。

スピーカーは、キーボード面および底面に2基ずつの4スピーカーシステムを搭載。Dolby Atmosに対応しており、バーチャルサラウンド再生も可能。ノートPCながらボリュームを上げてもクリアなサウンドが再生できる。

生体認証機能は、Windows Hello対応の指紋認証センサーを搭載する。この指紋認証センサーはキーボード右上の電源ボタンと一体型となっており、電源ボタンを押した瞬間に指紋を読み取り、再度タッチすることなくWindowsにログオンできるため便利だ。

  • 左側面には、電源コネクタ、HDMI、USB 3.1 Gen2対応USB Type-C(Displayport Alternate Mode、USB PD対応)、オーディオジャックを用意

  • 右側面にはにUSB 3.1 Gen2対応USB Type-C、USB 3.0×2を用意

  • 電源ボタンにはWindows Hello対応の指紋認証センサーを内蔵し、ワンタッチで起動とWindowsへのログオンが可能

  • 付属ACアダプタは出力180Wと高出力だが、サイズはやや大きい