ポラールは5月21日、GPSアウトドア マルチスポーツウォッチ「Polar Grit X」(ポラール グリット エックス)を発表しました。登山、トレイルランニング、マウンテンバイクなどのアウトドアで活用できる機能が盛り込まれたリストデバイスです。価格は59,800円(以下すべて税別)で、発売日は6月4日を予定。オンラインストアを含む全国のポラール製品正規取扱店で発売します。今回、オンラインで製品発表会が行われました。

  • GPSアウトドア マルチスポーツウォッチ「Polar Grit X」

これまでも、フィットネスやランニング、マルチスポーツといった利用シーンを想定したリストデバイスを展開してきたポラールですが、今回のGrit Xは「アウトドア&マルチスポーツ」という新しいカテゴリで展開します。

  • ポラールの現行製品は全6種類。Grit Xはアウトドアとスポーツに寄せた製品となります

アウトドアやスポーツを楽しんでいるとき、身体のエネルギーが切れてバテてしまった経験はないでしょうか。Grit Xの大きな特徴は、「エネルギーをどのくらい消費したか」「いつ補給すればよいか」をアラートで知らせる新機能「FuelWise」です(詳細は後述)。また、バイクで走る道の状況を自動で計測する新機能「Hill Splitter」も追加されました。

まずは外観とスペックをチェックしていきましょう。

  • サイズは直径47mm×厚さ13mm、重さは約64g。カラーはブラック、グリーン(ともにM/Lサイズ)、ホワイト(Sサイズ)の3色で展開します

長時間のアウトドア使用では、「堅牢性」と「バッテリーの持ち」が大切。Grit Xは米国国防総省が定める「MIL-STD-810G」規格に準拠したタフネス仕様です。耐衝撃・防水・防塵性能を備え、水深100mまで防水が保たれる100m防水(WR100)をうたっています。

内蔵バッテリーは346mAhのリチウムポリマー電池で、GPSや心拍計測といった全機能をフルで使った場合は最大40時間、心拍計測オフ+GPS記録間隔を変更した省電力設定では最大100時間、24時間の心拍計測だと最大7日間、時計機能のみでは最大30日間の連続使用が可能です。

  • Precision Prime光学式心拍センサーを搭載。グリーン、レッド、オレンジの3色(10 LED)を使用して、血管の状態を正確に把握します

位置情報はGPSのほか、GLONASS、Galileo、QZSS(みちびき)に対応しており、距離、スピード、平均速度などの計測に利用します。気圧計・高度計もあります。タッチディスプレイはGorillaガラスで、常時表示(反射型)に対応。1.2インチ画面の240×240ドットです。WindowsパソコンやMacとはUSBで接続、スマートフォンとはBluetoothで連携します。

ベルトサイズは汎用の22mm幅で、交換ベルトも用意。シリコン製の標準カラーに加えて、ウーブン製や革製も同時に発売。交換ベルトの価格は4,480円からです。

  • 汎用ベルトは4,480円から。ブラック、グリーン、ホワイトのほか、迷彩色(ツンドラテクスチュア)、レザーの交換ベルトも発売されます

登山、トレイルランニングの愛好者に

オンライン発表会では、ポラール・エレクトロ・ジャパンの園部英生氏が登壇しました。「日本国内の登山人口は840万人、トレイルランニングは20万人と言われています。Grit Xがターゲットとするのは、その中間層です」と園部氏。登山、トレイルランニングの愛好者、およびトレイルランニングの大会に出場するアマチュアを想定しているようです。

  • ポラール・エレクトロ・ジャパン代表取締役 園部英生氏氏

新機能の「FuelWise」は、栄養・水分補給の量とタイミングを通知するリマインダー機能。運動の強度によって摂取のタイミングを変えられるのが特徴です。

「例えば、運動強度を心拍数130で設定している利用者が、山登り中に心拍150~170になったとき、早めに栄養を補給するようにアラートします。登山、トレイルランニングは長い時間、長いセッションの挑戦が続きますが、栄養補給が間に合わないと、いわゆるシャリバテ(編注:血糖値が下がって力が抜けること)の状態になって動けなくなります。アラートで補給を促すのが狙いです」(園部氏)

セッション後は、消費カロリーとエネルギー源となった栄養素を分析して表示し、何の栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)を使ったかも確認できる仕様です。

  • 適切なタイミングでエネルギー補給のアラート(アラーム音+振動)が届く「FuelWise」

同じく新機能の「Hill Splitter」は、アップヒル(上り)とダウンヒル(下り)の状況を、内蔵の気圧計で自動判別。上り・下りのセクションごとに、スピード、距離、回数などを表示します。「上りのペースはどうだったか、心拍はどうだったか。データをチェックすることで、ご自身の次のトレーニングに生かせます」(園部氏)

  • 「上り区間のみのスピード」など、トレーニングに必要なデータを抽出して確認できる「Hill Splitter」

このほか、サードパーティ「komoot」のサービスと連動して、登山者のルートをナビゲーションする「ルートガイダンス」もブラッシュアップされました。「30m先を右に曲がるよ、次の分岐を左に曲がるよ、といった細かいガイドが可能です。バイブレーションや画面で利用者をナビします」(園部氏)。従来製品にも搭載されていたルートガイダンスに、機能を追加した仕様です。

  • ドイツのkomoot社が提供するルート作成アプリkomoot(一部有料)と連携する「ルートガイダンス」。コンパス機能もあり、スマホと連携すれば天気予報も表示できます

現行製品でおなじみの機能も継承しています。睡眠の質を高める「Nightly Recharge」、詳細な睡眠データを取得する「Sleep Plus Stages」、コンディションに合わせたトレーニングメニューを提供する「FitSpark」をはじめとした、各種の機能を利用できます。

発表会後半の質疑応答でコロナ禍による影響について聞かれると、園部氏は「肌感覚ですが」と前置きをしたうえで、「国によっても状況は違いますが、日本では、ほかの業種・業界に比べてコロナ禍の影響は少ないという印象です。健康志向によって、室内でトレーニングされる方が増えてきているのでは。Grit Xのようなデバイスを購入して、身体を鍛える機会が増えたのではないでしょうか」と回答。

また、富士山が今年(2020年)いっぱい閉山されるとの指摘には、「Grit Xは登山とトレイルランニングにフォーカスした製品ですが、ランニングや日々のトレーニングにも活用でき、あす。新型コロナが終息することを見越してご購入いただければ――というのが今の素直な気持ちです」としました。