JR西日本は5月20日の社長会見にて、4月の運輸取扱収入が対前年比23.7%にとどまったことを明らかにした。5月17日までの速報値は対前年比18.7%。「会社発足以来、最大の危機である状況に変わりはありません」と説明する。

  • JR西日本は現下の状況を踏まえ、利用者の安全・安心に向けた取組みを進めていくという

中でも新幹線と在来線特急列車の落ち込みが激しく、山陽新幹線は4月が対前年比12%、5月(1~17日、以下同様)が対前年比8%。北陸新幹線は4月が対前年比8%、5月は対前年比5%に減少。在来線特急列車も、4月は対前年比11%、5月は対前年比7%と落ち込んだ。5月の減少幅が増えた原因について、「新型コロナウイルスにともなう外出自粛に加え、前年の10連休の反動が出ている」との見方を示している。

こうした状況に対応していくための考え方として、「社会インフラ企業としての使命を守る」「お客様や社員の安全を守る」「社員の雇用を守る」「サプライチェーンを守る」の4つからなる基本方針を制定。この方針に沿う形で、感染拡大防止と雇用維持を目的とした社員の一時帰休導入や総額1,900億円の社債発行などを行う。

「新しい生活様式」を踏まえた取組みも推進。車両の抗ウイルス・抗菌加工として、効果が数年間持続する抗ウイルス・抗菌材を在来線の約5,200両すべてに噴霧加工するほか、駅エレベーターのボタンに特殊フィルムを用いた抗ウイルス・抗菌加工を施す。ウェブサイトにて時間帯別の列車混雑状況も公開し、時差通勤促進を呼びかける。