日本の自動車市場で最も売れている車種は軽自動車であり、軽自動車の中で最も人気が高いのは背の高い「スーパーハイトワゴン」と呼ばれるクルマだ。ホンダの軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」は、2017年度~2019年度の3年連続で国内新車販売台数第1位を獲得している。このジャンルにはN-BOXのほか、スズキ「スペーシア」、ダイハツ工業「タント」、三菱自動車工業「ekスペース」などのライバルがひしめいているが、日産自動車の「ルークス」は何を強みとし、どんな独自性を持つクルマなのか。同社がオンライン説明会で同ジャンル「No.1」だと強調したいくつかのポイントを確認してみよう。
室内の広さとスライドドアの開口幅がジャンルトップ!
まずは、ルークスの来歴を押さえておきたい。このクルマ、三菱ekスペースとは兄弟のような間柄だ。日産が開発し、三菱が生産する軽ハイトワゴンが日産「デイズ」および三菱「ekワゴン/ekクロス」であり、それらをベースとする軽スーパーハイトワゴンがルークスおよびekスペースなのである。日産はミニバンの使い勝手と軽自動車の運転しやすさを両立させた新しいクルマを目指してルークスを開発した。
規格で寸法が決まっている軽自動車を開発するにあたり、日産は独自のパッケージングを追求した。具体的には、先代ルークスに比べフロントシートの着座位置をアップさせ、Bピラー(前後ドアの間の柱)を前に出し、後席のスライド幅を拡大することで、見晴らしの良さや後席空間の広さ、荷室の広さ、前席への近づきやすさ、乗り降りのしやすさといった特長を獲得できたという。
そんなルークスの同ジャンルで突出した部分とは何か。日産が最初に挙げたのが「室内の広さ」だ。後席を限界まで後方にスライドさせた際の「ニールーム」(深く腰を掛けた際のお尻から前席までの距離)は先代ルークス比で81mm拡大しており、競合車の中でもトップの数値となっている。後席のスライド幅320mmも競合車の中で最も広いそうだ。
逆に後席を前方にスライドさせると、「荷室の奥行き」がジャンルNo.1の数値となる。後席の背もたれは垂直に近い角度まで立たせられるので、荷室の上の方まで使いやすいのもルークスの特徴だ。荷室については、後席を前に倒した際の「荷室長」(前席の背もたれ後ろからバックドアまでの距離)と「アンダーボックス容量」(荷室の床をめくると出現する収納スペース、2WD)もジャンルトップとのこと。
軽スーパーハイトワゴンといえば後席のスライドドアが特徴だが、ルークスの「開口幅」が650mm(先代ルークス比95mm拡大)で競合に比べ最も広い。当然、開口幅が広ければ乗り降りしやすいし、例えば寝ている子供を抱えている時に、スライドドアを開いてクルマに乗せるといった動作もしやすくなる。ちなみに、スライドドアを開いて乗り降りする際に手でつかむことができる大型グリップ(Bピラーの上の方についている)の大きさもジャンルトップとのことだ。
ルークスの発売日は3月19日で、発売から約2カ月となる5月18日現在の累計販売台数は約2万1,000台。グレードとしては「ハイウェイスター」を選ぶ顧客の割合が8割を超えているという。運転支援技術「プロパイロット」の装着率は全体の約6割を占めているそうだ。