ステイホームの今だからこそ、映画三昧の1日はいかが?勇気がもりもり湧いてくる、人生観がガラリと変わる、胸キュンで誰かに会いたくなる。そんなとっておきの名作15本を“バカがつくほどシネマ好き”な集団「シネバカの会」の主宰者、児玉元秀さんがピックアップ!
*「シネバカの会」は、映画(シネマ)を愛してやまない仲間が集うSNS(Facebook)の非公開クラブ。編集者、ライター、映画関係者らを中心に結成、定期的にオフ会を開いて熱くシネマについて語らう。中には年間700本を観る強者も。
「新しい自分の見つけ方」を学ぶ5本
生きていると、いつか、ターニング・ポイントになる出来事や変化が訪れる。若いときかもしれないし、けっこうな年齢になってからかもしれない。もしかすると、気づかずスルーしてしまうことも。大切なのは転機にしっかり向き合い、自分を見つめ直すこと。ご紹介する5作品には新しい自分を見つけるヒントがふんだんに。
【RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語】
出演:中井貴一/高島礼子/本仮屋ユイカ/三浦貴大/奈良岡朋子/橋爪功
監督:錦織良成
配給:松竹
劇場公開:2010年5月/130分/日本
大都会の仕事人間だった男が、ローカル線の運転士に挑戦
工場閉鎖やリストラを担当し、忙しく仕事に追われていた一流企業勤務の男。故郷の島根で一人暮らししている母が病に倒れたことで、人生の大きな転機を迎える。家庭を顧みない仕事ひとすじの会社人間だったことを悔い、50歳を目前に電車の運転士になる決意をした男と、その家族の再起と再生のドラマ。
■シネバカの会おススメ! ポイント■
「バタデン」の愛称で親しまれる一畑電車の運転手。子どもの頃の夢を叶えようと、自身のリストラを最後の仕事に退職し、試験にのぞむ。島根の自然と、家族、友人、乗客、同僚との温かな交流に、鉄道ファンならずとも感動は必至。
【LIFE!】
出演:ベン・スティラー/クリステン・ウィグ/シャーリー・マクレーン/ショーン・ペン
監督:ベン・スティラー
原題:The Secret Life of Walter Mitty
配給:20世紀フォックス映画
劇場公開:2014年3月/114分/アメリカ
あるカメラマンを探す、冴えない男の大冒険が始まる
『LIFE』は1936年の創刊から2007年の休刊まで、世界中で愛読されたアメリカのグラフ誌。その写真管理部で働く不器用で小心な男、ウォルター・ミティは最終号の表紙を飾るはずの大切なネガをなくしてしまう。撮影したカメラマンに会うために、波乱万丈の旅に出て世界中を冒険、自身の人生を一変させる。
■シネバカの会おススメ!ポイント■
現実の世界から逃れようと妄想の世界に浸るクセがあるウォルター・ミティ。しかし、冒険の旅に出たことで大胆な行動を起こし、超人的な経験によって人生を大きく変えていく。観る者を圧倒する驚きのアドベンチャーに没入必至。
【ドリーム】
出演:タラジ・P・ヘンソン/オクタヴィア・スペンサー/ジャネール・モネイ/ケヴィン・コスナー
監督:セオドア・メルフィ
原題:Hidden Figures
配給:20世紀フォックス映画
劇場公開:2017年9月/127分/アメリカ
夢を追い、国家プロジェクトを陰で支えた3人の黒人女性
1960年代初め、宇宙開発競争でソ連にリードされていたアメリカは、初の有人宇宙飛行計画に国の威信をかけて挑んでいた。NASAでも人種差別が当たり前だった当時、ロケットの軌道計算などで国の一大プロジェクトを陰ながら支えた優秀な黒人女性スタッフ3人の知られざる功績を描いた伝記ドラマ。
■シネバカの会おススメ! ポイント■
冷ややかな視線や対応に臆することなく、困難を乗り越えながら、初の周回軌道飛行を成功に導いた3人の黒人女性スタッフをフューチャー。差別に負けず、堂々と仕事に専念し、それぞれに成長していく生き方が気高く清々しい。
【シング・ストリート 未来へのうた】
出演:フェルディア・ウォルシュ=ピーロ/ルーシー・ボイントン/マリア・ドイル・ケネディ/エイダン・ギレン/ジャック・レイナー
監督:ジョン・カーニー
原題:Sing Street
配給:ギャガ
劇場公開:2016年7月/106分/アイルランド・イギリス・アメリカ合作
恋に、バンドに、疾走感あふれる青春ドラマ
ちょっと大人びた、あこがれの女の子を振り向かせるために、バンド活動に熱中する14歳の少年コナー。その恋と友情のゆくえを1980年代のUKヒットチャートのサウンドとともに描いた青春ドラマ。「はじまりのうた」「ONCE ダブリンの街角で」のジョン・カーニー監督自身の体験を基にした半自伝的作品でもある。
■シネバカの会おススメ! ポイント■
大不況のアイルランド・ダブリン。父の失業でコナーは荒れた公立学校に転校させられ、家では両親のケンカが絶えない。楽しみは音楽マニアの兄と見る隣国ロンドンのMTVだけ。ツライ日常を打開しようと、コナーはPV製作に取り組み、曲作りと演奏特訓に励む。青春はいつだって時代も国境も越えて輝くと痛感。
【JUNO ジュノ】
出演:エレン・ペイジ/マイケル・セラ/ジェニファー・ガーナー/J・K・シモンズ
監督:ジェイソン・ライトマン
原題:Juno
配給:20世紀フォックス映画
劇場公開:2008年6月/96分/アメリカ
望まない妊娠に揺れ動く16歳、彼女が選んだ答えとは
気ままな女子高生のジュノは、同級生と軽いノリでした一度きりの体験で妊娠してしまう。最初は中絶を考えるが、迷った末に産むことを決意。新聞の里親希望の広告記事から、養子縁組にふさわしい夫婦を見つけるのだが…。第80回アカデミー賞の脚本賞を受賞したコメディタッチのヒューマンドラマ。
■シネバカの会おススメ! ポイント■
相手や家族にどう伝える?産む、産まない?学校はどうする?日々、大きくなっていくお腹とともに自身も成長するジュノが選択した最善の答えとは?日米の違いはあっても、身近に起こり得る問題として考えさせられる。
新しい自分を見つけようと何かを始めるのではなく、何かに一生懸命に打ち込んで、それなりの成果を出すことで、成長した新しい自分の変化に気づく。まずは行動してみること。それが一番の近道だって、5作品の主人公たちはちゃんと教えてくれる。