JR東海は、在来線において土砂災害の発生危険度の把握に優れた指標である「土壌雨量」を用いた運転規制と、線路から離れた場所を発生源とする土石流の危険度を評価するシステムを用いた運転規制を6月1日から導入する予定と発表した。
JR東海は在来線において、駅などに設置した147カ所の雨量計を用い、降雨量が規制値に達した場合に徐行や列車抑止などの運転規制を実施し、安全を確保している。6月1日(予定)からの新しい運転規制は、一層の安全確保を目的として導入される。
雨量計による運転規制は、現在、「時雨量」「連続雨量」の2つの指標によって行われている。今後は長雨による災害を評価する指標である「連続雨量」に代えて、気象庁が土砂災害警戒情報などに用いるモデルを活用して算出する「土壌雨量」を導入する。
具体的な「時雨量」「土壌雨量」の運転区間ごとの規制値は、地形や過去の災害履歴といったデータに照らして設定する。これにより、運転規制をより的確に行うことができるようになるとしている。
土石流発生危険度評価システムは、線路から離れた場所を発生源とする大規模な土石流が想定される渓流を対象に、レーダ雨量を用いて渓流ごとの危険度をリアルタイムに評価する新開発のシステム。このシステムは2014年度からJR東海において研究開発を進めてきた成果を活用したもので、鉄道沿線の渓流からの土石流発生の危険度を評価し、鉄道の運転規制に取り入れるケースは国内初だという。
なお、レーダ雨量とは、降雨量を直接計測する雨量計と異なり、気象庁や国土交通省が地上に設置しているレーダから空中に電波を発射することで雨の強さを把握するもので、1km四方程度の降雨の状況を面的に観測できる。JR東海は、局地的な集中豪雨などきめ細かくとらえるためにレーダ雨量を活用した運転規制を6月1日から実施し、これを全線で導入するのは国内初としている。
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