漫画家・矢寺圭太さん(@yaterakeita)がツイッターで発表した漫画「しゃちロボ ポン子」に注目が集まっている。描かれているのは、会社員ロボットの切なく哀しい1日の様子。理不尽な社会の荒波にもまれていく描写に、リプライには刺さるという共感や、応援に憐憫など思いやりに満ちたコメントが集まっている。
時代は、ロボットも労働力とみなされるようになった未来。女性社員・ポン子は、「数字間違えたの誰だ!」という課長に難癖をつけられる。「またお前だろ、ぽんこつロボット!」と非難され、ポン子は「すいません……」と頭を下げる。周囲は、「課長また自分のミスをポン子に押し付けてる……」「ロボットが数字間違える訳ないのにねー」と哀れみの目を向ける。
ポカンとした面持ちで説教を受けるポン子に、課長は「それが反省してる顔かね?」と詰問。それにポン子は「表情のパーツが少なくて……すいません……」と平謝りの状態で、顔を伏せる。課長が「機械ってのはこれだから……」とつぶやきながら、ズカズカと退室していくと、同僚たちはポン子に声かける。「課長にがつんと言わなきゃだめだよ」「ロボットだって意見を言わなきゃ」。そんな言葉にもポン子は、どこか困ったようにも見える表情になってしまう。
帰路、ポン子は人波にのまれながら「私はロボットです。人間に逆らうなんてそんなこと出来る訳ありません」と思案。そうしていると、頭上のアンテナが、オイルの残りが少なくなっているのを告げるため点滅する。コンビニに向かったポン子は、他のロボットたちに混じって、まるで缶チューハイのように並んだオイルを購入する。
1人、オイルが散らかった部屋に戻るポン子。膝を抱え、買ったオイルをストローでちゅーちゅー吸うが、その目からも涙のようにオイルが……。それにポン子は「あっオイル漏れ……」と気付く。「メンテナンス行かないと……」とカレンダーを見やるも、「でもメンテナンスを入れたらまた怒られます……」と自責の念に駆られる。そして、「充電しないと…」とアダプタをコンセントに差し込んで横になるが、「なかなかスリープモードに入れないです…」と漏らし、目が閉じれないまま時間が過ぎていく……。
リプライには「ポン子ちゃん可愛そう」「つらすぎる……悲しすぎる……」「ロボット社畜切ない……」「ポン子ちゃんに救いを……」「めちゃくちゃ悲しくなった……ツラい……(いい作品をありがとうございます)」との声が続出。また、「これは心にクる……」「読んでるだけで心が痛い」「心がキューってなる」「胸に刺さる」「心が掻き乱される……」と共感を示すコメントも溢れている。
中には「養って死ぬ程可愛がってあげたい」「養いたい……」「守ってあげたくなる」「ぎゅってしたくなる」「今すぐに抱きしめてあげたい」と庇護欲を掻き立てられるという声も。「ポン子にもシャットダウン(有給消化)は必要」「色々アップデートしてるとね、再起動が必要なんだよ。人間も……ましてやロボットなんか特にね……」とロボットであるポン子ならではの優しさを見せる意見も見られた。
この短編の作者・矢寺圭太さんは、小学館の漫画雑誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」で、『ぽんこつポン子』を連載中。こちらは、この短編とは異なり、幸せな世界で過ごすロボット・ポン子を描く。同作は9月30日に、コミックス第2巻が発売された。
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— 矢寺圭太:ポン子④恋食① (@yaterakeita) September 30, 2019