2020年5月7日、ASUSTeKは14型と12.6型の2画面を備えるノートPC「ASUS ZenBook Duo UX481FL」を発表した。高い性能と2画面が生み出す使い勝手の良さは、テレワーク時代にマッチ。実機レビューでその利便性を紹介しよう。

  • ASUSTeK「ASUS ZenBook Duo UX481FL-HJ122T」。実売価格は税込22万円前後

    ASUSTeK「ASUS ZenBook Duo UX481FL-HJ122T」。実売価格は税込22万円前後

ASUSTeKのASUS ZenBook Duo UX481FLシリーズは、14型と12.6型、2つの液晶ディスプレイを備える異色のノートPC。2019年に発売された15.6型と14型ディスプレイを組み合わせたZenBook Pro Duoの小型版という位置付けだ。CPUのグレードとSSDの容量によって2モデルが用意されているが、今回は上位モデルとなる「UX481FL-HJ122T」を試用する機会を得たので、さっそくレビューをお届けしたい。

ZenBook Pro Duoがひと回り小型になった

本機最大の特徴は、キーボード上部にある「ScreenPad+」と呼ばれる12.6型セカンドディスプレイの存在だ。1,920×515ドットという珍しい解像度だが、これによりアプリの使い勝手を飛躍的に向上させている。分かりやすい例が、複数アプリを起動しての「ながら作業」だろう。メインの14型フルHD液晶ではWebブラウザを起動、セカンドディスプレイにはYouTubeやTwitterを表示させて動画を見たり、情報をチェックといったことを同時に行いやすい。そして、アプリの配置は記録させることが可能。いつでも、自分が使いやすい環境を呼び出せる。このほか、2画面間のウィンドウをワンタッチで移動できたり、セカンドディスプレイのウィンドウやアプリを3分割で表示させられるなど、使い勝手を高める機能が数多く用意されている。

  • メインディスプレイは14型の液晶。解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)

  • 鮮やかな発色で視野角も広い

  • キーボードの上部にあるのがセカンドディスプレイ。12.6型で解像度は1,920×515ドット

  • セカンドディスプレイと合わせれば、複数のアプリも同時に表示できる

  • アプリの配置はタスクグループとして記録が可能。記録した配置はいつでも呼び出せる

また、クリエイティブ系のアプリでもその恩恵は大きい。ビデオ編集なら、プレビューをメインのディスプレイ、タイムラインや素材をセカンドディスプレイに表示すれば作業効率は大きく上がる。フォトレタッチでもメイン画面に撮影画像を大きく表示させ、ツール類はセカンドディスプレイに表示させることもできる。

  • クリエイティブ系のアプリにも便利。メインディスプレイを作業用、セカンドディスプレイをツール類や素材の表示に使うなど、作業効率を向上させられる

なお、メインディスプレイ、セカンドディスプレイ、どちらもタッチパネル機能を搭載。そのためセカンドディスプレイを手書き入力用にする、といった使い方も可能だ。2画面あるので、ビデオ会議をしながら資料となるデータを開いたり、Webサイトの情報を確認もしやすい。テレワークにもピッタリと言える。

クリエイティブ系のアプリを快適に使えるだけの性能も備えている。CPUにIntel最新の第10世代Coreプロセッサ(コードネーム:Comet Lake)のCore i7-10510Uを採用。4コア8スレッドで動作クロックは1.8GHz、Turbo Boost時で最大4.9GHz(1コア時)で動作する。4コアでも最大4.3GHzで動作が可能だ。メモリはLPDDR3-2133を16GB搭載。なお、メモリの増設には対応しない。ストレージは1TBのNVMe SSDを搭載しており、すぐに容量不足になることはないだろう。グラフィックには、外部GPUのNVIDIA GeForce MX250を搭載している。

  • CPUはCore i7-10510Uを搭載。4コア8スレッド、最大4.9GHz動作と十分高クロック動作

  • GPUはGeForce MX250を採用している。外部GPUだが、CPU内蔵のHD Graphicsよりは3D性能が少し高いといった性能だ

2画面ながらサイズはW323×D223×H20.4mmと一般的な14型ノートと変わらない。重量も1.66kgと軽くはないが、重いというほどではない。厚みもそれほどないので、持ち運びも十分できる。また、ハードなテストのクリアが必要となるMIL-STD 810GグレードのMIL規格(米軍の機材調達基準)に準拠と耐久性も高い。

  • ミリタリーグレードのタフなボディを実現している

セカンドディスプレイがあることから、キーボードとタッチパッドの配置は独特だ。キーボードは手前ギリギリまであり、タッチパッドは右側にある。そのため、タッチパッドでカーソル操作をしながら、キーボードで文字入力という一般的なノートPCのスタイルでは操作できない。また、この配置の影響で、キーピッチは公表されていないが、一般的なノートパソコンよりも狭めだ。作業をするなら、マウスを用意したほうがいいだろう。

このほか、キーボードにはバックライトがあるため暗い場所でも作業しやすい。なお、ZenBook Pro Duoにはタッチパッドをテンキーとして使えるNumberPad 2.0が搭載されていたが、本機には備わっていない。

  • キーボードは右側にタッチパッドのある独特のスタイル

  • タッチパッド。上部には電源ボタンやメインとセカンドディスプレイのウィンドウを入れ替えられるボタンなどが用意されている

  • キーボードにはバックライトも備わっている

また、ディスプレイを開くとヒンジ部が底面を持ち上げて、タイピングしやすい角度を作るASUSのノートPCではおなじみのエルゴリフト構造も採用している

  • ヒンジ部で底面を持ち上げるエルゴリフト構造

バッテリー駆動時間は公称で約13.9時間(JEITA測定法2.0)。輝度50%の状態で、PCMark 10のバッテリーテストをオフィス関連の処理を中心としたプロファイル「Modern Office」で実行。バッテリー99%から残り2%までで10時間32分となった。十分長時間駆動と言えるだろう。

  • PCMark 10のバッテリーテストを「Modern Office」プロファイルで実行した結果

  • ACアダプタはコンパクトな形状だ

インタフェースは右側面にUSB 3.0、ヘッドセット端子、microSDカードスロットを備える。左側面にはUSB 3.1 Gen2のType-C、USB 3.1 Gen2、HDMI出力を用意。Type-Cはデータ転送のみで、映像出力や給電には対応していない。無線はIEEE802.11ac/ax/a/b/g/nに対応といわゆるWi-Fi 6をサポート。Bluetooth 5にも対応している

  • 本体右側面。右からUSB 3.0、ヘッドセット端子、microSDカードスロット

  • 本体左側面。右からUSB 3.1 Gen2のType-C、USB 3.1 Gen2、HDMI出力

  • 底面にharman/kardonブランドのスピーカー(1W×2)を搭載