新型コロナウイルスの感染拡大対策で、東京をはじめ、7都府県に4月7日に発令された政府の緊急事態宣言。
4月16日からは、対象地域を全国に拡大され、外出自粛が続く中、空調機専業メーカーのダイキンが、「上手な換気の方法」と題した、換気についての解説ページを公式サイトで公開しました。
同社によると、感染拡大に伴い新型コロナウイルスと商品に関連する消費者からの問い合わせも増えているとのこと。そこで、在宅勤務や休校などにより、在宅時間が長くなる中で、居住空間における空調・換気についての大切なこと・注意点について尋ねました。
部屋の換気の目安
――外出自粛要請で在宅時間が長くなりましたが、空調機メーカーさんとして、室内の空気を健全に保つために消費者の方に意識してほしいこと、気を付けてほしいこと、推奨したいことは?
感染予防策として、換気の悪い密閉空間を避けるなどの政府の要請にもあるとおり、まずは室内の換気を心がけていただきたいと思っています。
2003年7月の建築基準法改正以降の建物であれば「24時間換気システム」が付いていますので、それを正しく使ってください。24時間換気システムのスイッチがOFFになっていたり換気口が閉まっていたりすると、換気ができず室内に空気のヨゴレが溜まってしまいます。ぜひ確認してみてください。
他にも、窓を開けて空気の通り道を作ることでも換気はできます。窓を開けて換気するときの目安は、1時間に5~10分程度と言われています。
また、2時間で10分の換気を1回するよりも、1時間に5分の換気を2回したほうが換気の効果は高まります。このとき、排気量が特に大きい台所の換気扇を運転すれば換気をアシストできますので、お勧めです。
ただ、住まい方、窓の大きさ、部屋の大きさ、空気中に浮遊しているヨゴレの種類によって外に出ていくスピードは異なりますので、どの程度の換気であれば正確に感染症リスクが抑えられるかについては一概には言えません。
お住まいの環境に応じて換気方法を組み合わせ、効率的な換気を心がけてください。
新型コロナウイルスに空気清浄機は効く?
――エアコンや空気清浄機の運転では、ウイルス対策にはならないのですか?
エアコンの主な仕事は、室内の温度、湿度、気流を快適にコントロールすることです。正面パネルを開くとフィルターが見えますが、これは室内に舞っているホコリをキャッチするためのもの。ウイルスを捕捉したり抑制したりするものではありません。
また、誤解されやすいのですが、一般的なエアコンでは換気できません。エアコンは室内機と室外機が配管でつながっていますが、この配管は空気が通っているのではなく、室内の空気を暖めたり冷やしたりするために必要な冷媒と呼ばれるガスが入っています。
一方、空気清浄機は、空気中のハウスダストやPM2.5、花粉などのアレルゲンを捕集したり、不快な臭いを脱臭したり、一部の菌やウイルスを抑制することができます。
――それでは、空気清浄機は新型コロナウイルスには有効なのでしょうか? コーポレートサイトなどで紹介される商品説明でも、「浮遊ウイルス・付着ウイルスなど有害物質を抑制」とありますが、空気清浄機に搭載されているイオン機能やストリーマ機能というのは、新型コロナウイルスにも効果があるのでしょうか?
空気清浄機の実機を用いた性能評価や効果訴求は、「一般社団法人日本電機工業会」が定めた業界統一の規定に従って行うのが一般的です。そこで定められた浮遊ウイルスや付着ウイルスを99%以上抑制する効果は確認できています。
ただ、新型コロナウイルスについては性能評価試験を実施しておらず、現時点では不明です。
なお、当社の空気清浄技術"ストリーマ技術"そのものは、これまでにも、弱毒性インフルエンザウイルスやノロウイルス、食中毒の原因となる毒素や細菌といった有害物質に作用することを、大学および公的研究機関と共同で実証してきました。
また、ニオイや菌類・室内汚染物質のホルムアルデヒドなどに対しても持続的に作用します。
ストリーマ技術につきましては、ウェブコンテンツ「ストリーマ研究所」もご参照ください。
テレワーク環境を快適にするコツ
――これから夏にかけて気温が高くなると、エアコンをつけっ放しにする家庭が増えてくると思います。御社では、以前から「エアコンはつけっ放しのほうが電気代は抑えられる」という調査結果などを公表されていますが、閉め切りになりがちな季節では、どのようにエアコンと換気を行うのがいいのでしょうか?
冒頭でお話したとおり、まずは換気を心がけてください。窓を開けたときに室内の温度や湿度の変化が気になる場合はエアコンを使ってコントロールしてください。
ただし、換気のたびにエアコンのON/OFFを繰り返すと、消費電力量が大きくなってしまう場合もありますので、換気の時には設定温度を少し高めに設定してエアコンに掛かる負荷を軽減するほうが良いかもしれません。
――その他、在宅時間や期間が長時間・長期化する中、室内を快適な環境に保つための空調機器の上手な活用法があれば教えてください。
窓開け換気のときに花粉が気になる場合は、窓の近くに空気清浄機を置くことで、花粉の侵入をある程度抑制することができます。また、先ほど申し上げましたとおり、室内の温度や湿度はエアコンを上手に使ってコントロールしてください。
それから、上手な活用と同じくらい、お手入れについても気にかけていただければと思います。というのも、エアコンにも空気清浄機にも、ホコリをキャッチするためのフィルターが内蔵されています。
ここにホコリが積もり過ぎていると、機内に吸い込める空気の量が減って、効率が下がってしまいます。お手入れ方法はyoutubeでも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
外出自粛要請で、多くの人が家庭での引きこもりを余儀なくされる中、室内の空気環境にはこれまで以上に気を遣う必要があります。在室人数が増え、滞在時間が長くなればなるほどに室内の二酸化炭素濃度は上がり、酸素濃度は低下するからです。そのような状況の中で、業務を続けるのは労働生産性の低下にもつながります。
テレワーク時には、業務効率を高めるためにも、換気と空調機器もうまく活用しましょう。
著者プロフィール:神野恵美
フリーライター・編集者。ワーキングマザーとして10余年、世の中にあるさまざまな便利ガジェット・ツールを駆使して、生き延びる。趣味は料理に掃除、洗濯と野球、旅行、音楽や映画鑑賞などなど、周りが呆れるくらい趣味人間。"モノ"より"コト"優先で生きてる。