政府が緊急事態宣言を延長する方針を固めたことで、5月7日以降も在宅勤務が続くという人は多いと思う。仕事であればWeb会議、プライベートなら動画視聴など、インターネットのトラフィックが増えたのか、個人的に応答性が落ちる場面が多くなったと感じている。
IIJのエンジニアブログによると、IIJのフレッツ対応サービス(光回線・ADSL)では平日昼間のトラフィック量が全体的に増え、また、アップロードのデータ量が明らかに多くなっているとのこと。大きな理由のひとつとしてIIJは、ビデオ会議やオンライン飲み会の増加と見ている。
と、そんなことを徒然と考えていたところ、OneDriveおよびOneDrive for Businessが差分同期機能を実装したとのアナウンスが舞い込んできた。MicrosoftでOneDrive・SharePointのDirector of Program Managementを務めるOmar Shahine氏による4月28日のツイートによれば、本機能の開発を完了し、ロールアウトを開始したという。
OneDriveの差分同期機能の成り立ちは、2014年8月にコミュニティサイトへ寄せられた意見までさかのぼる。Microsoftは「よい提案だ」とコメントしたが、開発に着手したことを明らかにしたのは、2019年5月に開催したSharePoint Conference 2019。当時のMicrosoftは「2019年後半には機能を提供する」と述べ、Microsoft 365ロードマップへも5月下旬にID33412として登録されている。
そこで、差分同期がどのように動作するのか、簡単に調べてみた。OneDrive for Businessフォルダーに画像ファイル(BMP)を作成し、アップロード完了後に画像の一部を加工すると、「同期の準備をしています」のメッセージが現れてから、ファイルに加わった変更部分(差分)のアップロードが始まった。
Microsoft 365ロードマップのID33412には「OneDrive for Business」というタグが付いているが、コミュニティサイトで管理者は「個人およびビジネスユーザーにロールアウトした」と述べている。つまり、差分同期はOneDrive for Businessだけでなく、OneDriveでも利用できるという意味だ。上記と同じ方法で検証したところ、OneDriveでも差分同期の動作を確認できた。
OneDrive・OneDrive for Businessの差分同期は、これまでOfficeファイルなどに限定していたが、今回の実装ですべてのファイルタイプに拡大したことになる。ファイルの変更部分のみアップロードすることで、ネットワーク帯域の消費を減らし、インターネットを利用するすべてのユーザーに恩恵をもたらす。ユーザーリクエストから実装までに6年を要したが、この状況下で機能を公開したのは絶妙のタイミングといえるだろう。