前回は「Adobe Acrobat Reader」を使ってPDF書類に捺印する方法をご紹介しました。Acrobatには有料版の「Adobe Acrobat DC」があり、これを使うと他の人に捺印をお願いすることができます。

相手がAcrobatを持っていなくても使用でき、また捺印の履歴が保存されるので書類の正当性も担保されます。一歩進んだ書類のデジタル化に活用してみてはいかがでしょうか。

「Adobe Acrobat DC」とは

「Adobe Acrobat DC」は、Adobe社が提供するPDF作成・編集・管理のためのアプリケーションです。サブスクリプション形式(月額制)で提供されており、Adobe Creative Cloud単体プランまたはコンプリートプランで使用することができます。

  • Adobe Creative Cloudの料金比較。単体プランは特定のアプリケーション1種類のみ、コンプリートプランは10種類を超えるAdobe製品が全て利用できます

Acrobat DCは、様々な形式のドキュメントからPDFを作成したり、文字や画像を編集したり、ページの追加・削除、コピーや印刷の制限、パスワードによる暗号化など、様々な機能を搭載しています。ペーパーレス化が課題になるリモートワークにおいて、ぜひ用意しておきたいアプリケーションです。

今回は「入力と署名」機能を使って他の人に署名を依頼する方法をご紹介します。

署名を依頼する方法

予算表や企画書の承認、納品書の受領印など、他の人にオンラインで捺印をお願いしたい書類は、PDFに変換し、Acrobat DCから相手に送信します。これにはAcrobatの「署名」機能を使用します。

  • Adobe Acrobat DCでPDF書類を開き「入力と署名」を選択

  • 「署名を依頼」を選択

  • 署名を依頼する相手のメールアドレスと、メールの件名・本文を入力して「署名場所を指定」をクリック。なお「詳細オプション」をクリックすると、パスワードを設定したり、他の添付書類を追加することができます

  • 署名欄に指定する場所をクリックして「署名フィールド」を選択。「送信」をクリックします

これで相手に署名依頼が送信されました。

依頼された人が署名する方法

署名の依頼を受け取った人は、メールのリンクから書類を開き、ブラウザ上で署名することができます。Acrobatを持っていなくても対応が可能です。

ここではiPhoneで対応する方法をご紹介します。

  • 署名依頼のメールが届いたら「確認して署名」をタップ→内容を確認したら「開始」をタップ

  • 署名欄をタップ→署名画面が開きます。サインを使用する場合は手書きし、名前を入力して「適用」をタップ

  • 印鑑を使う場合は「画像→画像を選択→カメラ」の順にタップし、カメラが開いたら印鑑の画像を撮影

  • 印鑑が読み込まれたら、名前を入力して「適用」→「完了」をタップ

  • 最後にここをタップ→依頼元に署名済みの書類が送信されます。以降、依頼元を含めこの書類を編集・改ざんすることはできなくなります

署名された書類を受け取る

署名者の対応が完了すると、署名済みの書類が依頼元へメールで届きます。書類にはやり取りの履歴を示したページが自動的に追加されています。

  • 署名済みの書類がメールで返送されます

  • 署名された書類を開き、「署名パネル」をクリックすると、署名内容の証明書を確認できます

  • 署名の有効性を示す証明書が表示されます。また、署名までの履歴を示したページが自動的に書類に追加されています

単に印鑑の画像を貼り付けただけではなく、依頼主と署名者、書類が変更されていないことが証明された書類になっているので、印鑑を押した紙の書類をスキャンして送るよりもスマートで信頼できると言えるでしょう。

複雑な契約フローなどに対応するには、ドキュメント管理やセキュリティを含めた企業向けソリューションが必要になる場合が多いと思いますが、まずはできるところから始めてみましょう。