大童澄瞳原作のコミック『映像研には手を出すな!』は、今年1月からはアニメ化され、夏には実写映画化されるなど、大きな注目を集めているが、現在MBS・TBS系で放送中のドラマ版も、深夜放送ながら、映像のクオリティの高さと乃木坂46の齋藤飛鳥のオタク演技が評判になっている。
■挙動不審な女子高生! 齋藤のオタク演技が評判に
ドラマ版『映像研には手を出すな!』は、『月刊! スピリッツ』で連載中の同名コミックを、映画『ヒロイン失格』や『トリガール!』などの英勉監督が総合演出を務めて映像化。“最強の世界”を夢見てアニメーションの制作を志す浅草みどり、水崎ツバメ、金森さやかの3人の女子高生たちの奮闘を描く。
メインの3人を演じるのは、アイドルグループ・乃木坂46の齋藤飛鳥(浅草)、山下美月(水崎)、梅澤美波(金森)。なかでも人並み外れた想像力を持つものの、見知らぬ人に話しかけられると卒倒してしまうほどの人見知りのアニメ好き・浅草を演じる斎藤の演技が大きな反響を呼んでいる。
迷彩帽に迷彩リュック、自らを「ワシ」と呼び、語尾に「じゃよ」とつける挙動不審な女子高生の浅草。今年3月まで放送されていたアニメ版の浅草の声は女優の伊藤沙莉が務めており、ある程度のイメージが視聴者に植え付けられているなかでの実写版なので、なかなかのハードルの高さに感じられたが、アニメ版とは違う表現として、非常に浅草の特徴を捉えた芝居を見せているとSNS上でも高評価が並んでいる。
齋藤はこれまでも女優として、映画やテレビドラマへの出演があるが、演じたキャラクターはどちらかというと、クールな美少女というイメージの役柄が多かった。しかし本作では、猫背でややガニ股、人と接するときの不安げな視線や、キョドって早口になってしまうなど、オタクっぽさを見事に演じている。イメージと違う人が、無理やりオタクっぽい芝居をすると、どこかデフォルメされた感じが漂い気になってしまうが、齋藤の浅草は、実写版の物語の枠にピッタリはまっており、非常に自然だ。
先週放送された第4話では、大・生徒会の予算審議委員会の偵察に来た浅草は、各同好会と生徒会との激しいやり取りに目が点に……。その後、水崎や金森になにも告げることなく姿を消してしまう。必死に浅草を探し回るなか、水崎は金森から浅草と金森の出会いのきっかけを聞くことになるが、中学生時代の浅草と、金森と出会ってからの浅草との、本質は変わらないものの、大切な人との出会いによって心が少し変化した姿をうまく表現していた。
■齋藤らの演技を後押しするクオリティの高い映像
浅草の特徴的なキャラクターがすんなり入ってくるのは、映像のクオリティが高いことにも起因している。そもそも浅草や水崎の頭のなかで描いた空想の世界を実写でどう表現するか――という部分も実写化では重要になってくると思われたが、映像技術が素晴らしい。そこには、深夜ドラマという枠を超えて、実写映画と連動している企画だからということも大きいのかもしれない。
本作は、5月15日より同一メインキャストで劇場公開される予定になっていた(公開延期が決定)。監督は英勉。ドラマ版でも総合演出を務めているが、英監督と言えば、作品にもよるだろうが、基本的に撮影現場で役者のアイデアを面白がって取り入れる、ライブ感の強い監督だ。これまでの作品も、ストーリーや会話のテンポが良く、総合演出として英監督の色は存分に出ている。
そんな監督を中心に「“最強の世界”を実現すべく、アクション、美術、VFX、アニメなどあらゆる技術を総動員した」と映画の公式HPに書かれているように、このプロジェクトの力の入り具合が伺える。こうした条件も、深夜ドラマとは思えない映像のクオリティにつながっているのだろう。
■第5話は金森不在時の浅草&水崎のやり取りに注目!
第5話では、予算審議委員会が前倒しになるなか、映像研の要とも言える金森が疲労でダウン。一刻の猶予もないなか、浅草と水崎が、金森不在を自らの手でなんとかしようと奮闘する姿が描かれる。
しかしそこは、アニメ愛に溢れるマイペースな浅草と水崎。金森不在のなか、この二人がどんなやり取りで、映像研のピンチを救うのか、はたまた、より危機的状況を招いてしまうのか――。これまで以上に、浅草の暴走シーンも観られるかもしれない。
第5話は、MBSにて3日(24:50~)、TBSにて5日(25:28~)に放送。他各局でも順次放送となる。
(C)2020「映像研」実写ドラマ化作戦会議 (C)2016 大童澄瞳/小学館