新型コロナウイルスの感染拡大を受けた外出自粛の最中、おうちエンタテインメントの楽しみが広がっている。NetflixやAmazon Prime Videoなど、人気配信サービスにはネットならではのオリジナリティあふれる作品がそろう。

共感を誘うガールズ系ドラマも人気ジャンルのひとつ。そこで、自分らしくいることにこだわった、サバイブ指南のドラマ3選を紹介する。


■「東京で生きる女とはこうである」

中谷美紀(左)と池田エライザ=『FOLLOWERS』キーアート(Netflixにて全9話世界190ヵ国へ独占配信)

1本目は、今年2月27日から世界190カ国に配信されて以降、何かと話題のNetflixオリジナルシリーズ『FOLLOWERS(フォロワーズ)』(蜷川実花監督)。基本的なストーリーは中谷美紀演じるアラフォーの売れっ子写真家・リミと、池田エライザ演じる20代の売れない女優・なつめという違う世界に住む2人の人物が、時に交差しながら東京という場所で今の時代をサバイブするというもの。蜷川が長年温めてきた企画をもとに完全オリジナルのストーリーが展開されている。

見どころは、蜷川実花作品らしい鮮やかビジュアルと、小物やセットなどディテールの細かさの2点に集中する。それゆえ、感覚的に楽しめる作品であることは間違いない。

一方、ドラマで取り上げられているメッセージは極めて分かりやすい。「仕事」「恋愛」「結婚」「出産」といったガールズ系ドラマ必須のエッセンスに加えて、「SNS社会」「ダイバーシティ」などグローバル展開ドラマのトレンド感もある。そういう意味では、海外ドラマや配信ドラマの入門編としてもオススメできる。

キャストも、中谷美紀チームには夏木マリ、板谷由夏、金子ノブアキといった実力派がそろい、中谷の恋人役に浅野忠信、夏木マリとの年の差カップル役に笠松将らを起用したキャスティングの妙もある。そして、池田エライザの仲間役もこだわりたっぷり。コムアイ、ゆうたろう、そして恋人役に上杉柊平といった若手注目株が抜てきされている。

「東京で生きる女とはこうである」という点において、蜷川独自の視点で目線を決して下げずに最後の最後まで突っ走っていく…そのブレなさに圧倒されるようなラストも用意されている。意識高い系であれば、なおさら共感を覚えるはずだ。

■パワーワードさく裂のセリフ

2本目は、国内配信ドラマの名作とも言えるAmazon Prime Videoのオリジナルドラマ『東京女子図鑑』。大人のライフスタイル情報誌「東京カレンダー」の人気連載コラムを実写ドラマ化したもので、この作品ほど東京で生きる女の本音に迫ったドラマはない。

配信開始された時期は16年12月と少し前になるが、観る者のその時の状況によって、共感ポイントも変わっていくので何度でも味わえる。

それもそのはず、水川あさみ演じる主人公・綾が、秋田から東京に上京し、年齢や仕事、自分が置かれる環境によって、住む場所も選ぶ店も男も変わり、その様子を20代から40代にわたって描かれている作品だからだ。「女はみんなが欲しがるものを欲しがる」といったパワーワードがさく裂するセリフも秀逸。

  • 『東京女子図鑑』(C)ワタナベエンターテインメント

監督には、代表作に『百万円と苦虫女』、今年公開された『ロマンスドール』など独特の世界観を作り出すタナダユキを迎え、制作体制からも本気度を見せた国内ネットオリジナルドラマのパイオニア的作品。その評判は海外にもわたり、中国でリメイクされて『上海女子図鑑』も大成功を収めている。

さらに、男子版とも呼べる『東京男子図鑑』が日中共同プロジェクトで作られ、4月30日から地上波のカンテレとその放送翌日からFODやU-NEXTなどで毎週放送・配信がスタートした。

■ドタバタコメディに思いっきり笑って泣ける

最後の3本目は、先の2本とは毛色の違う『チャンネルはそのまま!』(Netflix)をオススメ。制作したのは『水曜どうでしょう』などローカル発全国ヒット作を生み出している北海道テレビ(HTB)で、佐々木倫子のマンガ原作をドラマ化した。

芳根京子演じる天然ガールの名前は雪丸花子。札幌にある弱小テレビ局に入社以来、失敗続きの日々を過ごすが、トラブルメーカーの花子には、実は人を動かす力がある――そんなドタバタコメディに思いっきり笑って泣ける。

  • 『チャンネルはそのまま!』

このドラマで最も印象に残るワードは「バカ枠」だろう。それって何?の答えの先に、どこでも誰でもサバイブできる可能性はあることに気づかされ、「自分らしい役割があっていい」とそんな優しいメッセージが伝わってくる。

ひとりで過ごす時間が増えたコロナ禍の今こそ、自分の生き方を見つめ直すきっかけを作り出すような今回のドラマ3選は必見だ。