新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言により、急速に広がったテレワーク。その中で初めてオンライン商談にチャレンジしている人も多いだろう。
そこで今回は、オンライン商談システム「bellFace」を提供するベルフェイス株式会社の岩田恭行さんにインタビュー。
セールスフォース・ドットコムでインサイドセールスに従事し、現在は同社のセールスグループでゼネラルマネージャーを務めるなど、これまで多くのオンライン商談を経験・指導してきた立場から、初心者向けのハウツーを伝授してもらった。
「オンラインで商談したい」と上手に打診するには?
――訪問ではなくオンライン商談をしたい場合、お客様にはどのように提案したら失礼にならないでしょうか?
まずは、自分自身が「オンライン商談にはお客様にとってもメリットがある」と腹落ちすることが大切です。そうでないと、自然と「訪問できず申し訳ない」という言葉が出てしまったり、そんな雰囲気が伝わってしまったりするからです。
――具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
お客様にとっては、会議室の手配や日程調整の手間が省けますし、そのような手間がない分、スピーディー・タイムリーに情報や提案を受け取ることができます。訪問に比べて所要時間も短く済むケースが多いので、より気軽に商談に応じられるというメリットもあります。
提案してみると意外と「オンラインで良いし、むしろその方が良い」という反応を得られることも多いです。外出自粛の影響で、オンラインで営業する人も、オンラインで営業を受ける人も増えていると思うので、ますます提案しやすくなるのではないでしょうか。
――具体的にはどのように提案したらいいですか?
提案の際には「訪問かオンラインか」を選んでもらうのではなく、「オンラインですぐに商談させてください」と端的に伝えましょう。ここでは、申し訳なさそうな雰囲気を出すのではなく、むしろ、"オンラインの方が良い"と自信を持って提案するのがポイントです。
そして、具体的な商談方法の説明については「お客様に難しいと感じさせない」のが大事です。「Web会議システムで~」「●●のアプリを使って~」などというワードはNG。何かを設定しないと商談が受けられないのかな、と思ってしまった瞬間にお客様にとってはストレスになるので、「電話とパソコンをご準備いただくだけです」「送ったURLをクリックするだけです」など、簡単な言い回しを心がけるといいですね。
また、1つの商談ツールだけでなく、複数の代替手段を確保しておきましょう。音声がつながらない、画面共有ができないなど、トラブルが起きたとき、商談できない事態に陥らないためです。お客様にも事前に接続方法などを説明しておくと、スムーズですね。
「背景」はむしろ遊んでアイスブレイクに
――自宅で商談を行う場合、画面に映る周囲の環境面で注意することはありますか?
オフホワイトの背景を選び、逆光にならないように、できれば白色系のライトをあててカメラをセットすると、顔色が良く見えます。
ただ、環境によっては難しいかもしれませんので、生活感が伝わらないように、画像設定で背景を変えるのもいいかもしれませんね。
――オンライン飲み会などでは背景を変えて楽しむこともありますが、商談の場面で背景を工夫するのは、失礼にならないでしょうか?
むしろ背景を工夫して、アイスブレイクに使いましょう。訪問営業の場合は、訪問先の企業のオフィスやお相手の服装など、アイスブレイクにできるようなネタがいくらでも見つかりますが、オンライン商談ではなかなかネタ探しが難しいものです。
例えば弊社のある営業メンバーは、自分のモノマネのレパートリーをプロフィール情報に表示して、アイスブレイクに使っていました(笑)。このように、オンライン上の名刺に詳細なプロフィールや趣味を記載するなどの工夫をするのもいいですね。
――服装も多少カジュアルで良いのでしょうか?
特に在宅の場合、気持ちが緩みがちなので、気持ちを引き締める意味でも、カジュアルすぎるのは厳禁です。
訪問時と同じようなスーツでは違和感がありますが、開襟シャツにジャケットを羽織るか羽織らないか程度の、清潔感のあるビジネスカジュアルを意識できるといいでしょう。
はっきり端的に話す、オーバーにリアクションする
――話し方ではどんな点に気を付けたら良いですか?
訪問時以上にはっきりと、画面の向こう側の壁に届くような気持ちで、大きな声で話しましょう。
また、「えー」「あのー」「えっと……」といったフィラーが、オンラインではしっかり拾われてしまうので、注意が必要です。「結論から端的に話し、その後に補足を付ける」という話し方ができるといいですね。
オンラインでは相手の反応が分かりづらく、プレゼンをしていて不安に感じることもあるかもしれませんが、それにめげず、感情豊かにテンション高く話しましょう。アイスブレイクが上手にできていれば、場の空気も和らいでいるので、自然なプレゼンができますよ。
――話し方と同様に、聞き方にも工夫が必要そうですね
お客様がお話しているときは、うなずく角度をより深くしたり、過剰なくらいにリアクションしたりすることで、「聞いてくれている」と安心していただけます。オーバーかも、と思うくらいで、オンラインではちょうどいいです。
資料はビジュアルメイン、議事録で認識のすり合わせを
――ほかにオンライン商談ならではの、気を付けるべきポイントはありますか?
商談時間は30~40分を限度にとどめましょう。慣れていなければなおさら、商談時間が長いと、お客様も疲れてしまいます。
それに伴い、スライドの情報量は最小限に、ビジュアルメインで作成しましょう。プレゼンの際は、資料が次のページに移るときには声をかけるなど、いつも以上に丁寧にケアできるといいですね。
また、オンラインでは「伝わったか、伝わっていないか」があいまいになったり、勘違いが発生しがちです。ですので、今後のスケジュールや納期、予算など、議事録をとって共有しておくと、双方の認識違いが防げます。
商談の様子を自分で録画して見てみたり、上司や同僚に見てもらったりすることで初めて気づけるポイントもあるはずです。まずは客観的に改善点を洗い出して、PDCAを回していきましょう。
オンライン商談は一見難しそうに感じますが、トレーニングを重ねれば、スキルは劇的に向上しますので、ぜひトライしてみてくださいね。