『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開を前にして、NHK BS4Kが4月18日から『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ3作を、4Kリマスターした最新の映像と5.1chサラウンドで3週連続の予定で放送している。今回は、5月2日23時から『:Q』(3作目)が放送されるのを前に、4K化された『:破』(2作目、4月25日放送済み)を、東芝の4K有機ELテレビ「REGZA 55X920」で録画して観てみた。
「4Kヱヴァ放送と聞いて!」
いわゆる“旧劇場版”(『シト新生』・『Air/まごころを、君に』)を観て衝撃の映像に度肝を抜かれ、そこからオタクライフの第一歩を踏み出した筆者にとって、庵野秀明監督自らがTV版を再構築するという触れ込みで始まった『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズは色々と思い入れのある作品だ。
今回取り上げる『:破』(2009年公開)は、当時劇場で何度も鑑賞し、箱根の廃校で行なわれた「NOGUCHI Ver.」の上映会まで足を運んだ記憶も(ぼんやりとだが)頭の片隅に残っている。BD化された「2.22」バージョンよりも、「2.0」(追加シーンがなかったり、ミサトが「アイハラくん」と呼んでしまったりする劇場上映バージョン)のほうが映像のテンポが良かったなぁ、などと思い出したりする程度のマニアだ。
とはいえ『:Q』(2012年公開)で、これまで築いてきた流れをぶった切って振りまわすような展開に半泣きになりながらBlu-ray/DVDを買った後、私は一度もヱヴァンゲリヲンシリーズを観た記憶がない。実家から引っ越したり仕事が忙しくなったりと色々言い訳はあるのだが、心のどこかで「完結編が出るまでは観ないからな」と体操座りのウジウジシンジくん状態になっていて、観るのを避け続けていたのだと思う。あ、2015年に発売されたTV版エヴァのBlu-ray/DVDの方は買ってひととおり観ておりますが、それはそれ、です。
筆者が“ヱヴァから逃げている”間も、完結編に向けた動きはいくつかあった。2014年には、ドワンゴとカラーによる共同企画「日本アニメ(ーター)見本市」において、『:Q』の世界観を引き継いだような『until You come to me.』というタイトルの短編アニメが公開されたほか、漫画版「新世紀エヴァンゲリオン」の最終巻となる単行本14巻で、明らかに新劇場版へとつながるであろう重大なネタがさらりと披露されたことも。
そしてようやく2018年、完結編の公開年が2020年であることが明らかになり、2019年7月の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』冒頭映像解禁イベントを経てついに、公開日が「2020年6月27日」に決定した……のだが、ご存じのように新型コロナウイルス感染症の影響で公開が延期され、「近日公開」となってしまった。製作陣もファンにとっても残念な知らせだが、こればかりは致し方ない。
前置きが長くなったが、今回の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ3作品の4K & 5.1chサラウンド放送は、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開延期とは関係なく3月に発表された試みだ。完結編の新しい公開日は執筆時点では未定だが、何にせよ長きにわたった「エヴァンゲリオンの再構築」がついに終着点にたどり着くことに変わりはなく、「4Kリマスターでヱヴァを放送」と聞いて筆者も過去3作を見直す気力が沸いてきた。4K化されたヱヴァンゲリヲンの映像とは、はたしてどのようなものなのだろうか?