新型コロナウイルス感染者数の拡大と終息が見えず、長引くコロナ禍の影響で、健康面だけではなく、家計の面でも不安になっているご家庭も少なくないと思います。毎月の所得だけではなく、夏、冬のボーナスも厳しくなる業種もみられ、ボーナス払いだけではなく、月々の固定費の負担が重くのしかかっている家計も多いことでしょう。

家計が苦しいときこそ現金払いを

以前にも書きましたが、ボーナス依存度が高い家庭かつ、夏、冬のボーナスが期待できない場合は早急にお金の使い方の見直しをしましょう。

内食需要の高まりと買い占め騒動などが巡りめぐって、食材や日用品の価格は上昇傾向にあります。特に家計が厳しいときはクレジットカード払いではなく、現金でやりくりをするのが鉄則です。

その理由は、クレジットカード払いは即時に引き落としがされず後日まとめて請求となり、収入が減る可能性がある世帯は払いきれなくなる恐れがあるからです。引き落としができなかった場合は、年率14%程度の遅延損害金が請求され、信用情報にもキズが付くことになりかねません。たとえリボ払いに切り替えたとしても、その手数料率は15%程度と高く、健全なやりくりにはつながりにくいのも事実です。

知っておきたい便利な各種制度

新型コロナウイルスに起因した休業などで収入が減った場合、利用できる猶予や給付金、貸付といった制度があります。電気、ガス、水道、通信は、それぞれ契約をしている企業へ申請をすれば、支払いを猶予してもらうことができます。

また、自営業者などが加入する国民健康保険料は、保険料の納付が困難になった際に徴収の猶予や減免の制度が、国民年金保険料は納付の猶予または免除の制度があります。自治体によって扱いが異なることがありますので、支払いに困ったときは未納にせずに相談をしましょう。

日本学生支援機構では、新型コロナウイルスに関連して家計が急変した場合、貸与奨学金として「緊急採用」(第一種奨学金)と「応急採用」(第二種奨学金)を設けています。給付奨学金として「家計急変」を申請をして基準を満たすことで奨学金を受けとれ、随時申請を受け付けています。

また奨学金を返還している場合は、状況に応じて減額返還や返還期限猶予を受けることができますので、困ったときは滞納をせずに早めに相談をしましょう。

コロナの影響で休業・失業した場合は

新型コロナウイルス感染症の影響を受けた休業や失業などによる「緊急小口資金」「総合支援資金(特例貸付)」も実施されています。

緊急小口資金……休業などにより収入の減少があり、緊急かつ一時的な生活維持のための貸付を必要とする世帯へ20万円以内の貸付(一括交付)を受けることができ、据置期間が1年、償還期限2年以内、無利子です。

総合支援資金(生活支援費)……新型コロナウイルス感染症の影響を受け、収入の減少や失業などにより生活に困窮し、日常生活の維持が困難になっている世帯に対して行われる貸付です。単身者は月額15万円以内、世帯人数2人以上は月額20万円以内で、貸付期限は原則3カ月以内(送金は、1カ月ごとの分割交付)を受けることができ、据置期間が1年以内、償還期限が10年以内で、連帯保証人が不要で無利子で借りることができます。

緊急小口資金と同時に貸付の申し込みをすることはできませんが、状況に応じて緊急小口資金の貸付金の償還が困難な場合には、償還途中のまま、総合支 援資金を利用することもできます。申し込み先は、お住まいの市区町村社会福祉協議会になります。

ひとり親家庭では、母子及び父子福祉資金(新型コロナウイルス感染症に伴うひとり親家庭への生活資金貸付)が受けられる場合があります。新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、小学校等の臨時休業や事業所等の休業などにより一時的に収入が減少し、日常生活に支障がある場合に生活資金として月額105,000円を上限に借り入れることができます。細かい条件等は自治体によって多少異なりますので、お住まいの市区町村の福祉担当窓口などで相談、申請をしましょう。

家計の見直しと同時に、困ったときは公的な支援制度を利用し、家計の再建に取り組みましょう。一方で、有事の際は給付金詐欺なども増えますので十分に注意をしましょう。