解けたらすごい!? 将棋を題材にした、一風変わった問題を出題します
将棋大会は延期や中止、またプロの公式戦も対局数が少なくなってしまって、暇だ! という将棋ファンの方は多いのではないでしょうか。そのような皆さんのために、将棋パズルをご用意しました。
結構骨のある問題なので、じっくり考えてみてください。
記事は【問題】【ヒント】【解答】の構成になっています。画像で問題の条件をまとめていますので、そちらをご覧いただくのがよいかと思います。分からない場合はスクロールして解答をご確認ください。
【問題】
とある社内将棋大会の決勝戦。ここまで勝ち抜いてきたのは、S課長とその部下のIさんでした。将棋は決勝戦とは思えないほどあっけなく、30手で後手番のIさんの勝利で終局してしまいました。早く打ち上げに行きたかったのでしょうか。
この将棋は社内報に掲載するために、記録係を用意して棋譜をとることになっていました。しかし、不真面目な記録係のAさんは、半ば寝ながら棋譜を記入。あとで見返しても蛇が這ったような文字で解読できません。両対局者もお酒が入ってしまい、全く覚えていないとのこと。さあ大変です。
後日何とか解読した結果、以下までは判読できました。また、両対局もおぼろげには覚えていたようです。
・将棋は30手でIさんの勝利
・後手番のIさんは2手目以外すべて直前に指された駒を取って勝った
・16手目と最終手の30手目だけは判読できた。16手目は同桂成、30手目は同飛だった
・SさんとIさんいわく、駒を成る手は対局中に1回だけだったとのこと
(まとめたものは画像を参照ください)
さて、皆さんはこれだけの情報でこの一局を再現できるでしょうか?
【ヒント】
後手の4手目が同~になるためには、先手は角を飛び込むしかありません。
すると先手は玉を動かす余裕がないので、5九の位置で詰むことになります。△同飛の表記から、最終手は六段目より上であることになりますが、それで5九玉が詰む形といえば?
【解答】
皆さんいかがだったでしょうか?そもそも2手目が分からないという方、18手目に同桂成になっちゃうという方、何とか解けたという方、簡単だったよ!という方、様々だと思います。
正解手順は以下の通りです。
▲7六歩 △3二飛
▲3三角不成△同 飛
▲3六歩 △同 飛
▲1六歩 △同 飛
▲2六歩 △同 飛
▲1三香不成△同 桂
▲2五歩 △同 桂
▲3七桂 △同桂成
▲6六歩 △同 角
▲7五歩 △同 角
▲9六歩 △同 飛
▲8六歩 △同 飛
▲8四歩 △同 角
▲9五香 △同 角
▲5六歩 △同 飛
まず第1の難関は、4手目から同~を連続させて、16手目に桂を成らせる点です。桂を三段目から五段目へと跳ねさせるために、先手は五段目に駒を捨てなければいけません。これを実現するため、まず飛車を出動させて▲2六歩△同飛として、2筋の駒を消す必要があります。
そこで自然な順は▲7六歩△3二飛▲3三角不成△同飛▲3六歩△同飛▲2六歩△同飛▲1六歩△同飛▲3三歩△同桂▲2五飛△同桂ですが、これでは将来1歩足りなくなります。▲3六歩△同飛のあと▲1六歩△同飛▲2六歩△同飛の順で捨てるのが正解で、▲1三香不成△同桂で1歩得できます。
桂成の実現後は詰ませるだけですが、△5六同飛までで居玉を詰ませるためには左右の金が邪魔。しかしたとえば▲8八銀△同角不成▲7九金△▲同角不成などと取ると、移動した後に玉の逃げ道ができてしまいます。ここは金を相手にしない詰み形を探るのが正解。それを実現できるのは、両王手です。
▲6六歩で角を呼び、▲7五歩で飛車の横利きを通して9六、8六の順に取らせます。△8六同飛で歩を消したため、二歩の反則ではなくなって▲8四歩が可能に。この歩を補充しておくための▲1三香不成でした。
最後は△5六同飛まで両王手が実現してぴったり詰み上がります。
挑戦してくださった皆様、ありがとうございました。(出題者I)