人事評価クラウドを提供するあしたのチームは、テレワークにおける人事評価についての調査結果を公表した。調査実施日は2020年3月31日~年4月1日で、従業員5人以上の企業に勤め、直近1カ月以内に週1日以上テレワークをした一般社員と、テレワークをした部下がいる管理職を対象に調査した。

  • テレワークでの人事評価「難しい」 アフターコロナは成果主義評価へシフト?

    管理職が抱くテレワーク中の部下への不安、1位は「生産性」

管理職にとっては、テレワークで部下の生産性が下がっているか不安に思う声が最も多く聞かれるようだ。報連相ができているのか、サボっているのではないかという不安が同じ割合でその下に続く。調査を実施する同社によると「オフィスに出社している時と異なり、部下の様子を近くで見られないことから、部下の仕事ぶりについて心配したり疑念を抱いたりする方も多い」という。また人事評価がしにくいと感じているとの回答も30%に上り、人事評価がオフィスでの仕事ぶりに頼っているという側面もありそうだ。

  • テレワークをする部下は仕事がはかどっていない?

一方テレワークをする部下は「オフィスより仕事がはかどらないこと」を不安に挙げた割合が最も多く38.7%に上り、管理職の不安はそのまま的中しているようだ。もっとも、管理職の不安2位に挙がっていた「仕事をサボっているのではないか」という不安に対して、部下は「サボっていると疑われているのではないか」と不安に感じていることが顕在化していることから、在宅で仕事に打ち込んでいても、勤務態度で評価されがちな文化が現れていると言えるだろう。

  • 人事評価が「勤務態度」に依存しているとテレワークではわかりにくい

勤務態度、成果につながる行動などの、成果以外での多面的な評価が行われている企業では、テレワークによってそれらの活動が見えなくなってしまうと調査は指摘する。勤務時間が正確に把握できないという不安についても、業務時間中に仕事をしているか不安に感じているという点と重なる点もありそうだ。

  • 人事評価はどう変わっていくべきか

テレワークを前提として人事評価制度を運用していく上では、今よりも成果主義を推進し、生産性を数値化していく必要があると回答する管理職が多いことからも、テレワークで見えなくなってしまう人事評価の要素は少なくないと言えそう。一方で極端な成果主義に転化してしまうことについては、「成果を出すための挑戦やプロセスを評価できなくなる、成果の測り方自体を見直す必要があるという意見も挙がり、数字結果だけの評価制度になることについては不安も浮き彫りになる」という。

テレワークの拡大に伴って一気に多様化した勤務形態を受け、同社の調査では「管理職、一般社員ともに、お互いに行動が見えないテレワークでは成果主義の人事評価に見直し・改善した方が良いという回答が多くなったが、そのためにも改めて自社の評価基準となる“成果”の定義の見直しが必要と考えているようだ」とする。