フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)で、昨年6月2日に放送された『おじさん、ありがとう~ショウとタクマと熱血和尚~』が、国際的メディアコンクール「ニューヨーク・フェスティバル」で、ドキュメンタリー・宗教哲学部門の銀賞を獲得した。
この作品は、かつて“平成の駆け込み寺”と呼ばれ、非行や虐待、いじめ、薬物依存など、さまざまな理由から親元で暮らせなくなった子供たちの居場所となった小さな寺が舞台。バイク窃盗を繰り返し13歳で少年鑑別所に送致される寸前だったショウと、“九州の中学生ヤクザ”と異名を取るほどのワルだったタクマ…この寺で壮絶な思春期を過ごした2人の11年間の映像記録だ。
子供たちから“おじさん”と呼ばれ、第2の父親のような存在だった寺の住職・廣中邦充さんは、肺がんに冒されながらも強じんな精神力で病と闘い、最期まで子供たちに手を差し伸べ続けた。熱血和尚と悩める子供たちの心の触れ合いを描いている。
西村陽次郎チーフプロデューサーは「去年の銅賞を上回る銀賞の受賞。世界中から作品が集まるニューヨーク・フェスティバルで『ザ・ノンフィクション』が高く評価されたことをうれしく思います。今回の受賞作“熱血和尚の物語”は、その後も、『ザ・ノンフィクション』で、少女を主人公にした物語や2時間の特別編を制作し、いずれの放送も大きな反響と高視聴率を得た作品です。この物語が、海外でも素晴らしい評価を得たことは本当にうれしく、今後もこうした“人間が生きる上での普遍的なテーマ”にカメラを向けて、番組を作っていきたいと思います」とコメント。
取材・構成・演出を担当した八木里美氏は「取材を始めた2007年はIT革命全盛期。ネットを使ったいじめ問題など、子供を取り巻く環境は急激に変化していました。しかし寺に来る子供たちは、変わらず“愛情”や“ぬくもり”、“人間関係の強い結びつき”を渇望していて、それらを家庭や学校の中で得られないでいました。彼らにとって廣中さんはその穴を埋めてくれる存在であり、親に替わる強力な“後ろ盾”でした。令和となった今も、虐待や子供の自殺の数は増える一方です。命を賭して子供たちと向き合う廣中さんの姿が、“今もどこかで悩み苦しむ子供たちを救う一助になれば”という思いで制作を続けてきました。廣中さんをはじめ、取材に協力してくださった全ての方に御礼申し上げます」と話している。
1957年に発足したニューヨーク・フェスティバルは、テレビ番組・映画・ラジオ・広告・インターネットなどあらゆるジャンルの映像作品を審査・表彰する国際的なコンクール。今回は新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受けて授賞式は行われず、日本時間22日、ウェブサイト上で動画を公開するスタイルでの発表となった。
『ザ・ノンフィクション』では、昨年銅賞を獲得した『父を殺した母へ~無理心中から17年目の旅~』に続き、2年連続の受賞となる。
(C)フジテレビ