自転車事故の高額賠償判決をきっかけに、一時期は大きな注目を集めた自転車保険。しかし、国として保険加入を義務化することはなく、個人の意識に任されていました。ところが自治体のなかには、加入義務条例を導入するところがあり、いよいよ2020年4月からは東京都でも施行されます。電動アシスト付きやスポーツタイプの普及で、自転車といっても高速化している時代。いざ事故が起これば、軽傷では済まないかもしれません。いま一度、自転車保険への加入を確認しておきましょう。
加入を義務化した地域では加入率がアップ
自転車保険には、どのくらいの人が加入しているのでしょう。au損害保険が2019年に行った調査によると、全国の加入率は57.3%に対し、義務化されている地域では65.6%。義務化されている地域の方が加入率は高い傾向にあるようです。
現在義務化されているのは、都道府県単位が兵庫県、大阪府、滋賀県、鹿児島県、京都府、埼玉県、神奈川県、静岡県、長野県。市単位が仙台市(宮城県)、金沢市(石川県)、名古屋市(愛知県)で、これに2020年4月から東京都が加わります。
加入を義務化すると加入率にどのような影響があるのでしょう。2019年度に加入が義務化された地域(神奈川県、静岡県、長野県、宮城県)について前年と比較してみると、8.6%の増加。静岡県は13.7%も増加しています。全国平均は1.3%ですから条例による義務化は、加入の増加に効果があるといえます。
事故に備えるには、どんな保険に入ればいい?
自転車事故に備える保険は、大きく2つに分かれます。ひとつは、自分のケガなどに対応する「傷害保険」。もうひとつは相手のケガやモノに対する「個人賠償責任保険」です。
自身の怪我は公的保険に「高額療養費制度」があるため、負担はある程度は抑えられますし、医療保険に加入していればそれでカバーされる場合もあります。子どもの場合は公的な医療助成で賄われる例も多く、それほど高額な補償を準備する必要はなさそうです。
一方で、相手に対する補償はきちんと確保しておく必要がありそう。自転車保険が注目されるきっかけとなった、2013年7月に兵庫県での自転車事故の賠償金が、約9,500万円だったことから、保険金額の目安は最低1億円という考え方が一般的なようです。
保険料は高くないから加入しておいた方が安心
多くの人が簡単に乗れる自転車だけに、大きな事故が起こるというイメージが弱いかもしれませんが、1年間の死者は427人、死傷者は7万8,982人(警察庁「令和元年度における交通死亡事故の発生状況等について」)と、かなりの数になっていることも事実です。いざという時に備えておく必要はありそうですが、家計への負担はできるだけ抑えたいもの。
そこでみつけたのが、下表の月額100円台で入れる自転車保険です。いずれもネットやスマホで簡単に手続きが可能で、思い立ったらすぐに加入ができます。示談交渉サービス付きであったり、カバーする家族の範囲が広いのもの、長期間の契約をすると割引になるものなど、金額の差には商品ごとの特徴があります。内容を確認して、自分や家族の利用状況にあったものを選びましょう。
ただし自転車事故を補償する個人賠償責任保険は、自動車保険や火災保険の特約、クレジットカードの付帯などで加入している場合もあります。重複加入しても無駄になってしまう可能性は大いにあるため、まずは現在加入している保険の内容をすべて確認して、未加入や金額に不足があるようだったら加入を検討してみましょう。