新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ラジオ各局では感染拡大防止の取り組みが行われている。TBSラジオにおけるコロナウイルス対策の現状について、同局編成部にリモートで取材した。

■出演者を複数スタジオに分散

――会社内や制作現場での具体的な体制は?

現在、TBS放送センター9Fにあるスタジオエリアにおいては、原則として制作関係者以外立ち入り禁止の措置を取っています。関係者についてもスタジオエリアに入る際は、アルコール消毒や手洗いを厳守としているほか、社員証や入構証の携行を義務付け、立ち入り者の身元を明確にしています。また、編成や営業など制作以外の部署もふくめ、すべてのフロアでマスクの着用を義務付けています。

――スタジオやサブ(副調整室)での対応は?

スタジオやサブでは、番組制作に直接関係ない人の入室を禁止しています。立ち入る人員についても人数を最低限に制限しています。スタジオと編集室の廊下の扉は開けっぱなしの状態とし、マイクや機材類の清掃も徹底しています。

――除菌装置など、具体的に導入している仕組みがあれば教えてください。

TBSラジオでは新型コロナウイルスの感染防止対策として、これまでもパーソナリティ間にアクリル板を設置するなどの取り組みを行ってきましたが、スタジオが密閉空間であることから、空間自体の安全性を高める施策を実施検討しておりました。

そのなかで、かねてよりAM放送の送信電力の供給で連携していた「みんな電力」の協力を得て、紫外線のなかでもっとも殺菌効果が高いとされる「UV-C」を用いて空気を殺菌する装置『エアロシールド』を導入することといたしました。

  • TBSラジオが導入する紫外線殺菌装置『エアロシールド』

    TBSラジオが導入する紫外線殺菌装置『エアロシールド』(写真提供:みんな電力)

『エアロシールド』については第三者検査機関の実証実験により、実空間における浮遊菌が89.6%減少することが証明されており、24時間紫外線照射を行うことでスタジオ内の空気を衛生的に保ちます。

――出演者への対応は?

番組ゲストについては、「Skype」や「Zoom」などのオンライン会議ツールを用いたリモート出演を極力できるようにしています。やむを得ずスタジオにお越しいただく場合は、出演スタジオを分散して回線を結んだり、スタジオから離れた場所の別テーブルなどに設けた臨時ブースでご出演いただくなど、出演者間の距離(ソーシャル・ディスタンス)をとるよう徹底しています。

――打ち合わせなど、放送や収録以外の業務における対応は?

番組制作にかかわるスタッフは毎日検温を行っています。また、会議室を使用する際にはドアを開放し、1か所に集まっての作業を禁止するなど、密閉空間を作らないよう対策しています。

■新型コロナウイルスの特設情報コーナーを設置

――各番組での具体的な取り組みを教えてください。

午後ワイド『ジェーン・スー生活は踊る』(月曜~金曜 11:00~13:00)では、パーソナリティーのジェーン・スーさんが自身の事務所からリモートで放送に参加したり、夜の報道番組『荻上チキSession-22』(月曜~金曜 22:00~23:55)でもSkypeを使用した出演などの取り組みが行われています。

各番組を統括するプロデューサー同士での情報共有も積極的に行われています。もともとプロデューサー間でコミュニケーションを取れる仕組みを導入していましたが、現在の状況も鑑み、さらに迅速に横通しの情報共有ができるよう取り組んでいます。

――現在TBSラジオでは、特設情報コーナー『新型コロナウイルス デイリーフロントライン』が放送されていますが、どのような内容に重きをおいていますか?

『新型コロナウイルス デイリーフロントライン』は午前、午後、夕方の1日3回、『伊集院光とらじおと』(月曜~木曜 8:30~11:00)、『たまむすび』(月曜~金曜 13:00~15:30)、『ACTION』(月曜~金曜 15:30~17:30)のなかで放送しています。

(感染者数などの)一方的な数字データだけではなく、リスナーの方からも情報をいただきながら「現状どんなことが起きているのか、その先にどう行動すればよいか」というガイドとなる情報を伝えています。

――そのほか、TBSラジオとして行っていることがあれば教えてください。

多くの方がテレワークに移行し、テレビ電話会議システムを使われている状況をふまえ、TBSラジオの公式Twitterでスタジオ内の風景写真をリモート会議用の背景画像として使用してもらえるよう公開しました。

こうした場面で「リモート会議の背景を変えてみよう、TBSラジオのスタジオ風景を使ってみよう」と思っていただけたらと考えています。暗くなってしまうようなムードのあるなか、気分がポジティブになる、前向きになれる材料を提供できればと思います。