クルマ同様、若いファンの獲得が喫緊の課題となっているバイク業界。そんな状況の中、ホンダがレンタルバイクサービス「HondaGO BIKE RENTAL」(ホンダゴー バイク レンタル)を開始した。全ての市販モデルが対象で、映画『天気の子』で夏美が愛車としていた“あのバイク”も借りられるという。

  • ホンダの「スーパーカブ110 『天気の子』ver.」

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50ccから大型バイクまで! いろんなバイクに乗ってみよう

国内のバイク市場は現在、縮小傾向にある。2019年の総需要は前年比98%の36万3,000台。ボリュームゾーンである50cc以下の原付一種も販売台数を減らしつつある。そんな中でもホンダは、原付二種や軽二輪を中心とする新機種を次々に発売するなど気を吐いており、2019年の総販売数は前年比101%の17万4,000台。低迷する国内需要の底支えに貢献している。ただ、国内バイク市場を俯瞰して見れば、全体的な活性化・需要拡大にまで至っていないのは、トップメーカーとして歯がゆいところだろう。

なぜ、国内バイク市場が衰退しつつあるのか。ホンダによれば、バイクが「身近な乗り物」ではなくなっていることが背景にある。

ホンダの調査では、そもそも、二輪免許所有者の4割以上はバイクを所有した経験がないそうだ。バイク所有者の半数以上は50代以上で、特に若年層の間で買い控えの傾向が目立つらしい。若い人がバイクを買わない理由としては、車体価格の高騰、維持費、交通事情などが挙げられるという。

費用をかけて二輪免許を取得したにもかかわらず、バイクの購入を控えているユーザーが多くいるという事実は、メーカーにとって大問題だ。しかし、逆に考えればこの状況、バイクの国内市場にはまだまだ伸びしろがあるとも捉えられるかもしれない。

そうした現状の打破に向けてスタートしたのが、ホンダの「HondaGO BIKE RENTAL」だ。「もっと気軽に、もっと身近に」をキーワードに、特にミレニアル世代と呼ばれる若年層に向け、リアルなバイク体験の提供を目指す。既存のホンダ正規取扱店を活用し、2020年6月末には全国250店舗以上で展開する計画で、実現すれば国内最大級のバイクレンタルサービスとなる見込みだという。

全ての手続きがWEB上で完結、ヘルメットもレンタル可能

同サービスの大きな特徴は、WEB予約に特化した利便性の高さだ。全ての手続きはWEB上で完結できて、支払いもオンラインによるクレジットカード決済のみとなる。保険や補償のプランを用意し、ヘルメットやライダースジャケットなども一緒に借りられるようにするなど、準備や費用に関するネガな要素の払拭を図った。

予約はレンタル前日の13時まで。店舗によって取り扱いモデルは異なるが、基本的には50ccから大型二輪まで、ホンダの全ての市販車両がレンタルの対象となる。プレミアムプランなら、あまり乗る機会がない6気筒1,833ccエンジン搭載のツアラーモデル「ゴールドウイング」もレンタルできる。

中でも目玉となるのが、大ヒットアニメ映画『天気の子』に登場したピンクのスーパーカブをモチーフとする「スーパーカブ110 『天気の子』ver.」だ。昨年、ホンダものづくりセンターが再現して特別展示を行っていたが、「HondaGO BIKE RENTAL」ではレンタル専用車両としてラインアップした。アニメそのままのクオリティーの高さは、バイクファンはもちろん、アニメファンも一見の価値ありだ。

  • ホンダの「スーパーカブ110 『天気の子』ver.」
  • ホンダの「スーパーカブ110 『天気の子』ver.」
  • 細部にまでこだわって再現された「スーパーカブ110 『天気の子』ver.」。映画内を疾走した夏美になり変わり、現実世界を駆け抜けたい

「HondaGO BIKE RENTAL」のプランだが、チョイノリに便利な2時間の「SHORTプラン」から、2泊3日のロングツーリングも可能な55時間の「LONG GOGOプラン」まで、用途に合わせて5種類からセレクトできる。料金は全国一律で、「SHORTプラン」は1,500円(50cc)から。「ゴールドウイング」「アフリカツイン」「CBR1000RR-R」などが借りられるプレミアムクラスは「SHORTプラン」が1万6,000円、「LONG GOGOプラン」が5万1,000円だ。

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    いずれは次期「CB」がバイクレンタルで試乗できる日がやってくるかも?(写真は「CB-F コンセプト」)