帝国データバンクは4月14日、新型コロナウイルスに従業員が感染したことを公表した上場企業に関する調査結果を発表した。それによると、グループ会社や関連会社を含め、新型コロナウイルスに感染した従業員が判明した上場企業は、4月3日以降の10日間で約100社、13日までに累計210社に上り、感染により従業員が死亡したケースも発生したことがわかった。
「製造業」の感染、直近10日間で2倍に増加
上場企業の従業員が新型コロナウイルスに感染したケースは、2月に初めて発生。以降増加を続け、3月は90社超が公表し、4月は公表企業が10社を超えた日が計4日間発生した。各企業では従業員の感染防止策を導入しているものの、特に納期の厳しい建設や製造などの業種で感染者が大幅に増え、複数拠点で従業員が感染したケースも相次いだという。
同調査では、「対面接客せざるを得ない小売やサービスでも従業員の感染ケースが増加しており、感染防止にも業界特有の難しさが浮かび上がってきた」と懸念している。
業種別にみると、「製造業」が70社と最も多く、全体の3割超を占め、直近10日間で2倍に増えた。以下、「サービス」が38社、「運輸・通信」・「卸売」が同数で19社、「小売」が18社、「金融・保険」が17社、「建設」が15社と続き、BtoC業種にあたるサービスと小売が全体の2割超を占めた。また、感染が急増した建設では、業界全体が数カ月にわたり停止する可能性が浮上しているという。
同調査では、「新型コロナウイルスの感染拡大に収束が見通せず、影響は長期化する兆しを見せている。感染による自社、他社への影響を最小限に抑えるためにも、各企業で感染症リスクに対する行動指針の見直し、適切な情報開示が急務となっている」と指摘している。