「2019年度は成長と投資の1年だった。2020年度はこの成果を生かし、多くのことに挑戦する1年にしたい」――。そう語るのは、レノボ・ジャパンおよびNECパーソナルコンピュータ(NEC PC)のデビット・ベネット社長だ。

2019年度は、Windows 7のサポート終了や消費増税前の駆け込み需要もあり、国内PC市場は大きな成長を遂げたものの、2020年度はその反動が避けられない。新型コロナウイルスの感染拡大も、ビジネスに影響を及ぼすのは明らかだ。だが、ベネット社長は「我々には大きなオポチュニティがある」と、積極的な姿勢を見せる。2020年度のNECレノボ・ジャパングループの取り組みを聞いた。

  • レノボ・ジャパンおよびNECパーソナルコンピュータ デビット・ベネット社長

―― 2020年度は、レノボ・ジャパンおよびNECパーソナルコンピュータ(NECレノボ・ジャパングループ)にとって、どんな1年になりますか。

ベネット氏:2019年度の国内PC市場は、Windows 7のサポート終了や消費増税の影響があり、出荷台数は大きな伸びを見せました。特に日本の法人向け市場は、2四半期にわたって、世界で最も大きな成長を遂げた市場となりました。NECレノボ・ジャパングループの年間出荷台数も過去最高となり、売り上げ、収益も予想以上のものとなっています。グローバルナンバーワンの調達力を生かして、CPUを確保できたことも、1年間にわたってNECレノボ・ジャパングループがアドバンテージを発揮できた理由のひとつです。

しかし、2020年度は、こうした「特需」といえる状況からの反動は避けては通れないでしょう。ただ、これも見方を変えれば、別のとらえ方ができます。ビジネスは中長期で見る必要があります。今後2~3年というレンジで見れば、一部の需要が前倒しになったというとらえ方もできますし、そこに向けた投資を行うにはいいタイミングだと思っています。

NECレノボ・ジャパングループでは、すでに2019年度から、次のステップに向けた投資を進めてきました。2019年度は、NECが日本初の本格的パーソナルコンピュータ「PC-8001」を発売してから40周年の節目であり、それに向けた記念モデルを発表するとともに、NEC PCにおいて、ゲーミングPCの開発プロジェクト「Project 炎神」をスタートしたことを公表しました。

  • ゲーミングPCの開発プロジェクト「Project 炎神」をスタート

また、次のイノベーションに向けた研究開発を行う組織であるNEC PCのNT&I(New Technology&Innovation)に対する投資を行い、この成果も、製品やサービスに反映されることになります。NT&Iは、レノボの大和研究所に設置しているSTIC(Strategic Technology & Innovation Center)とも協力しています。

レノボ・ジャパンでは、山形県米沢市のNECパーソナルコンピュータ米沢事業場において、法人向けデスクトップ「ThinkCentreシリーズ」のCTO(コンフィギュア・トゥ・オーダー)生産を2019年11月から開始しました。法人のお客さまやパートナーからは、「ThinkCentreシリーズといういい製品があるのに、納期まで2~3週間かかるのが残念。これを改善してほしい」という要望が出ていました。これがレノボ・ジャパンの唯一の弱点だったといえます。

実際、日本のメーカーはもっと短い期間で納品し、日本で生産するメリットを生かしています。NECレノボ・ジャパングループには、「米沢」という生産拠点があるのだから、それを生かさない手はない。そこで投資をして、米沢でThinkCentreシリーズの生産を行えるようにしました。

  • NECパーソナルコンピュータ米沢事業場

すでにノートPCのThinkPadシリーズでは、ウェブ向けモデルの一部に限定して、2015年3月から米沢での生産を開始し、ちょうど5周年という節目を迎えています。国内生産ならではの品質や納期に安心感があるとお客さまに喜んでいただけていますし、ThinkPadを開発している神奈川県みなとみらいの大和研究所に対しても、米沢から製品・生産・部品調達などに関してフィードバックするといった動きにもつながっています。この5年間は、想定以上の成果があがっており、成功だったと思っています。

ThinkCentreの米沢生産は、このThinkPadの5年間の経験を踏まえて構築した生産ラインです。調達、生産、物流などのサプライチェーン全体において新たな仕組みを確立し、法人向けの需要にしっかりと対応していくものとなります。レノボ・ジャパンにとっては、大きな変革のマイルストーンであったともいえます。

  • 米沢事業場において、法人向けデスクトップ「ThinkCentreシリーズ」のCTOを開始

  • ThinkCentreシリーズ

この結果、レノボ・ジャパンは、外資系PCメーカーでありながらも、設計、生産、サポート、出荷、修理のすべてを日本で行えるようになりました。外資系PCメーカーでは、レノボ・ジャパンだけが実現できている体制です。

2019年後半から、TVコマーシャルやウェブなどを通じて、「JAPAN MADE & SUPPORT」というメッセージを打ち出しているのも、日本のお客さまの要望に応えるための投資を行い、その体制ができあがったことを知ってもらう狙いがあります。

レノボ・ジャパンの日本国内におけるデスクトップPCのシェアは1桁台ですから、これをノートPCと同じ2桁台にまで引き上げたい。最終的には、外資系PCメーカーとして、デスクトップPC市場におけるトップシェアを目指していきます。

  • ノートPCのThinkPadシリーズは、2015年3月から米沢での生産を開始(ウェブ向けモデルの一部)

さらに、NEC PCの群馬事業場では、24時間以内での修理を実現していますが、これをNEC PCの製品だけでなく、レノボブランドのPCでも95%製品について、24時間以内で修理を完了させることを目指しています。すでに94%まで到達していますから、2020年度には確実に達成します。この目標は、私が社長に就任して最初に掲げたものです。群馬事業場の社員のがんばりによって、その公約を達成することができます。

このように、NECレノボ・ジャパングループでは、足りなかったところを埋めるための投資や、お客さまの満足度を高めるための投資を継続的に行っているところです。

振り返ってみれば、2019年度は「成長」の1年であり、「投資」の1年であったといえます。2020年度は、市場全体では反動が見込まれる1年ではありますが、2019年度の取り組みをベースにすれば、NECレノボ・ジャパングループにとって、大きなオポチュニティがある1年になると思っています。

―― どんな点にオポチュニティがありますか。

ベネット氏:ひとつは教育分野です。政府が打ち出したGIGAスクール構想では、児童生徒に1人1台のPC環境が整備されることになります。また、2020年4月からは小学校において、プログラミング学習が開始、必修化されることになります。日本は、教育分野のPC整備が遅れていたり、活用に課題があったりといった状況にありましたが、この状況が一気に変わります。

私自身、日本の国際競争力を高めるには、子どもたちがPCを活用するスキルを高めなくてはならないと思っていますし、それをサポートできる企業のひとつが、NECレノボ・ジャパングループだと思っています。1人1台のPC整備は、日本の教育において、やらなくてはならない取り組みであり、それを全面的に支援します。

レノボ・ジャパンでは、1人1台時代に向けて必要十分な端末を低価格で提供すること、クラウドをフル活用し、教職員の負担を軽減する提案を行うこと、利活用効率を向上させるための教育コンテンツを含めた提案を行うことの3つをコミットして、GIGAスクール構想を加速させたいと考えています。

  • GIGAスクールパックの発表会見から

NTTコミュニケーションズとともに、44.990円で導入できる「GIGAスクールパック」を用意し、Windowsだけでなく、Chrome OSを搭載した製品を投入し、選択肢を広げました。授業に使うためのツールも一緒に提供します。レノボ・ジャパンが、GIGAスクール構想に最も適したPCを用意できると自負しています。

自宅で学習用にPCが欲しいという場合には、NEC PCから最適なPCを提供したいと考えており、この領域に向けては、すでに「LAVIE First Mobile」を発売しています。

  • デタッチャブルタイプの10.1型2in1 PC「LAVIE First Mobile」

2つめのオポチュニティは働き方改革です。もともとは東京オリンピック/パラリンピックの開催を前にして、テレワークの実施に向けた機運が高まっていましたが、新型コロナウイルスの影響によってテレワークに対する関心が一気に高まり、在宅勤務を行う企業が急増。テレワークが待ったなしで始まる状況となりました。

レノボ・ジャパンではThinkPad X1 Carbonをはじめ、テレワークに最適化したノートPCだけでなく、Think Smart Hubなどのテレビ会議に便利な周辺機器も用意しています。さらに、レノボ・ジャパンが取り組んできた全社一斉テレワークのノウハウをまとめた「テレワークスタートガイド」を無償で公開しました。新型コロナウイルスの影響などによって突然、全社員が一斉にテレワークをしなくてはならなくなった企業や、初めてテレワークを実施する企業が、まずやるべきことはなにか、といったことを示しています。日本の働き方改革を支援する製品群によって、この流れをサポートしていくことになります。

  • レノボ・ジャパンが自社の経験をもとにノウハウをまとめた「テレワークスタートガイド」

さらに、IoT領域の成長も見逃せません。様々なデバイスやセンサーがネットワークにつながり、数多くのデータが収集・蓄積されるようになっていますが、これらのすべてをクラウドにアップロードするのではなく、その場で必要なものはエッジで処理するといった動きが2020年度は活発化すると考えています。

レノボ・ジャパンでは、ThinkCentre Nanoと呼ぶ小型PCを製品化しています。実際これを発売してみると、お客さまがいろいろな使い方を考えて、我々の想像を超えるような用途でも利用されています。例えば、ドローンを飛ばす現場に設置して画像を処理したり、製造現場ではセンサーからあがってきた情報をリアルタイムで処理して、作業を効率化したりといった使い方が出ています。

―― 2019年度の投資の成果が、2020年度のビジネスに生かされると。

ベネット氏:2019年度のNECレノボ・ジャパングループと、2020年度のNECレノボ・ジャパングループは、まったく違う「体力」を持った企業になったと思っています。

もともと日本で開発、製造、販売、サポート、修理を行ってきたNEC PCと、外資系PCメーカーでありながら、開発、製造、販売、サポート、修理のすべてを日本で行えるレノボ・ジャパンが、それぞれ得意とする分野において、日本のユーザーの声を反映したモノづくりやカスタマイズ、サービスを提供できますから、他のPCメーカーにはない強みを発揮できると考えています。日本のお客さまからの「こんな製品が欲しい」という声をもとに、独自の新たな製品づくりが可能です。

  • レノボ・ジャパンも開発からサポートまでを日本国内で行えるようになっている

パートナーからも、「レノボ・ジャパンがここまでやってくれるようになった」というような声をいただいていますし、本社も日本の市場を最優先に考えています。米国、欧州、アジアといったリージョンと横並びの形で、日本の市場をとらえていることからも明らかです。

先にご紹介した米沢事業場での法人向けデスクトップPCのCTO生産スタートによって、社員は自信を持って、この製品をおすすめできる体制が整いました。社員の自信も高まり、社員の満足度は20ポイントも向上しました。社員のモチベーションの高さが、NECレノボ・ジャパングループの勢いにつながっています。

―― 150kmでボールを投げていた投手が、160kmで投げるようになったぐらいの変化ですか(笑)

ベネット氏:はい、そんな感じです(笑)。PC事業で大切なのは、カスタマーエクスペリエンスを高めることです。顧客満足度が高まれば、自然と売り上げや利益の向上につながります。こうしたことに愚直に取り組んでいけば、PC市場全体は縮小しても、NECレノボ・ジャパングループの2020年のビジネスには、いい影響が出ると考えています。

  • 米沢事業場で生産されるレノボのPCには、「JAPAN MADE & SUPPORT」のシールが貼られる

―― レノボ・ジャパンにとっても、NEC PCの米沢事業場は重要な役割を果たすことになりそうですね。改めて米沢事業場の強みを教えてください。

ベネット氏:レノボ・ジャパンおよびNECパーソナルコンピュータの社長に就任する前、私はAMDに在籍しており、世界各地でPCメーカーの工場を見てきました。その経験からも、ここまで品質にこだわる工場は、世界中のどこを見回してもほかにはありません。

しかも、スピードを持った生産ができ、柔軟性もある。最初に見たときはとても感動しましたし、いまでもその感動は変わりません。PCを梱包するダンボールの品質にまでこだわっており、PCに衝撃を与えることがないように、細かいところにまで配慮しています。ダンボールにまでこだわっている生産拠点ですから、PCの品質が悪いわけがありません。そして、常に「カイゼン」を続ける姿勢にも感動しています。米沢事業場を訪れるたびに変化があります。今後は、AIなどを活用したSmart Manufacturingへの取り組みも開始し、さらなる進化を遂げるでしょう。

  • 米沢事業場の強み

―― ところで、NEC PCは、LAVIE Hybrid ZEROを製品化し、持ち運びに最適な軽量化を実現していますが、いま、世界最軽量の座は、富士通クライアントコンピューティングのLIFEBOOK UH-Xが獲得しています。2020年度に、この座を奪還する考えはありますか。

ベネット氏:それはまったく考えていません。世界最軽量を目指すつもりは一切ありません。最軽量を追ってしまうと、堅牢性に影響したり、バッテリー駆動時間に影響したり、キーボードのタッチに影響したりといったことが起こります。しかし、ユーザーからは、持ち運ぶPCであれば、まずは堅牢性が高いことが重要だという声があがっています。

NEC PCが目指しているのは、「世界最軽量」のPCではなく、「堅牢性を持ったPCとして世界最軽量」の製品です。堅牢性があり、バッテリー駆動時間が長く、それでいて軽量であるというPCなのです。言い換えれば、バランスが取れたPCということになります。ただ、マーケティングメッセージとしては、「バランスが取れたPC」というのはなかなか響きにくいし、ピンとこない(笑)。しかし、お客さまが欲しいというPCは、最もバランスが取れたPCであるということをNEC PCは理解しています。

軽量化は重要な要素ですが、あるところまで軽量化すると、あとは堅牢性といった要素のほうが重視されるようになります。NEC PCがかつて世界最軽量を実現したLaVie Zでも、実は売れていたのは最軽量モデルではなく、若干重くなってもバッテリー駆動時間を長くできる「Lバッテリー」搭載モデルでした。そうした経験からも、単なる最軽量を目指すのではなく、お客さまに納得してご購入いただけるバランスを重視した、軽量薄型PCを目指していきます。

  • LAVIE Hybrid ZERO

―― 一方で、ゲーミングPCへの取り組みはどうなりますか。

ベネット氏:レノボ・ジャパンでは、ゲーミングPCとして「Legion」シリーズを発売していますが、調査会社のデータによると、いまでは2位のポジションにまであがってきました。ゼロからスタートした「Legion」シリーズが、ゲーマーから認知されはじめている証しであり、これからも製品ラインナップを強化して、事業拡大に力を入れていきます。

一方で、NEC PCでは、ゲーミングPCの開発プロジェクト「Project 炎神」に取り組んでいるところです。2020年度に製品を出すことができるかどうかは、現時点では明言でませんが、出すからには中途半端なものではなく、ゲーマーが納得するものを出したい。「これだ!」といえるものか完成した時点で、市場に投入したいと思っています。

―― 2020年夏には、世界初の折り畳みノートPC「ThinkPad X1 Fold」の国内投入が予定されています。

ベネット氏:日本では、新たなテクノロジーに関心が高い人が多いですから、まずはそうした人たちに興味を持っていただけると思います。ちなみに、私はガジェット好きですから、発売されたらすぐに使いたいと思っていますよ(笑)

  • 折りたたみPC「ThinkPad X1 Fold」

―― そのほか、我々ユーザーとしては、NECレノボ・ジャパングループのどんな点に注目しておけばいいですか?

ベネット氏:開発に対する投資は継続していますから、その成果をいくつかお見せできると思います。NEC PCの米沢事業場のNT&Iや、レノボの大和研究所の成果も製品に反映できるでしょう。

例えば「LAVIE VEGA」では、スリープ状態でも音声による指示によって、音楽などを再生できる「Smart Light」機能を搭載していますが、これもNT&Iの成果です。「LAVIE Home All-in-one」に搭載したCrystal Sound DisplayもNT&Iの成果です。

  • LAVIE VEGA

また、ThinkPad X1 Carbonでは、ボタンひとつで簡単にディスプレイの視野角を狭めて、左右からののぞき見を防ぐ「ThinkPad Privacy Guard」を搭載していますが、これはSTICの成果のひとつです。ほかにも、NT&Iや大和研究所の成果を、製品そのものとして投入したり、一部の機能として提供したりするものがあります。

Lenovo Yoga S940が備える「Lenovo Smart Assist」機能は、マルチディスプレイモードでは顔を向けるだけで、カーソルやウィンドウを移動できます。また、席を離れると自動的に画面をロックし、席に戻ると顔認証によって、キーボードに触れることなくロック解除したりといったことも可能です。さらに、ビデオ通話中は背景をぼかして情報漏えいを防ぐ機能もあります。これは、AIを用いて使用者のニーズを予測して実現しているもので、こうした機能ももっと訴求していきたいですね。

2020年は、NT&Iや大和研究所が取り組んできた成果として、なにを発表できるか。ぜひ楽しみにしていください。

―― 2020年度は、NECブランドのPCを米国市場にも投入することになりますね。

ベネット氏:2020年4月以降、NECブランドのPCを米国市場で発売します。2015年に台数を限定してLaVie Zを発売したことがありましたが、それ以来の再参入となります。発売するのは、約837gの軽量化と15.5mmの薄型化を図った「LAVIE Pro Mobile」、Crystal Sound Display搭載で高音質なサウンドをディスプレイから鳴らして、没入感あるシアター体験を提供する「LAVIE Home All-in-one」、ガラス素材を採用したデザインと高い性能を実現し、オフィスおよび家庭でのニーズに応えることができるノートPCの「LAVIE VEGA」の3機種です。まずはパイロットとして用意した一定台数を売り切ることを目指し、その成果を踏まえて米国市場での本格展開を考えたいと思っています。

  • 英語キーボードのLAVIE Pro Mobile

  • LAVIE Home All-in-one

―― なぜ、米国市場へ再参入するのでしょう。

ベネット氏:社長に就任してから、海外出張にはLAVIE Pro Mobileを持ち歩いていました。するとどこの国に行っても、そのPCはなにかと聞かれるんです。そして手渡すと軽さにびっくりする。これまで米国では、重くてもいいから薄くしてほしいという要望や、もっと堅牢にしてほしいという要望があり、軽さを重視する日本のPCはなかなか受け入れられませんでした。

しかし最近では、日本も米国もニーズの傾向が統一され、米国でも軽さが求められるようになっています。そして、日本のPCは堅牢性についても評価を受けるようになってきました。その証拠に、最近になって米国市場の関係者の間から、「LAVIE Pro Mobileは米国でも売れるだろう」という言葉が出てくるようになったのです。こうした声と私の経験から、米国市場に再参入してみようと考えたわけです。

―― 米国市場からの手応えはどうですか?

ベネット氏:バイヤーからの反応がいいですね。むしろ予想以上の手応えです。

米国市場では、LGやハイアールの薄型軽量ノートPCが人気であり、これを越える次の製品として、LAVIE Pro Mobileに注目が集まっているようです。また、米国で売られている薄型ノートPCを見ると、薄型を追求するためにUSB Type-Cしか搭載していない製品が多いのですが、実際に聞いてみると、米国でもHDMIやUSB Type-Aなどのニーズがある。こうしたインタフェースを備えたLAVIE Pro Mobileの仕様は、海外でも受け入れられると思っています。

  • 米国でも反応がいいというLAVIE Pro Mobile

LAVIE Home All-in-oneは、「1枚のディスプレイに見える」という新たなデザインを採用したオールインワンPCで、高品質な音を実現したのが特徴です。米国では一体型PCが売れていないという状況がありますが、この音を聞いてもらえれば、LAVIE Home All-in-oneの良さをわかってもらえると自信を持っています。

もともと、日本のブランドは品質がいいというイメージがありますし、米国ではいまでもNECのディスプレイに対する評価が高く、NECのPCならディスプレイの品質が高いという期待感があります。このバリューを生かしたいですね。

そしてLAVIE VEGAは、素材の強みを生かしてオールグラスファイバーのスタイリッシュなPCを作りたいという狙いから始まった製品。写真を編集したり、グラフィックデザインをしたりと、クリエイターが満足できる性能を実現しています。4K有機ELディスプレイの採用も、満足度を高めるものになりました。この製品も米国市場での展開は少し難しいとは思っていたのですが、予想以上に反応がいいですね。ターゲットがクリエイターであることを明確にしたのもよかったといえます。

米国市場に投入する3機種は、最新のテクノロジーを搭載し、品質にもこだわり、厳選された素材を使ったプレミアムなPCであり、日本発のPCとして尖った製品ばかりです。外資系メーカーにはないPCとして、差別化できると考えています。

―― NECレノボ・ジャパングループの2020年度の目標はなんですか。

ベネット氏:ナンバーワンのPCメーカーとして、新たな市場を創出し、PC市場全体を加速していかなくてはならないと考えています。お客さまが欲しくなるPC、買いたくなるPC、お客さまのビジネスの課題を解決できるPCを作っていきたい。

2020年度はシェアにもこだわっていきたいですね。教育、働き方改革、IoT(エッジ)が重点領域となりますが、その取り組みの成果を推し量るのが、シェアということになります。PCだけでなく、周辺機器もシェアを高めたいと考えています。2020年度は、投資の結果が見えてくる1年になります。より幅広い領域で、ビジネスをしていく1年にしたいですね。