新型コロナウイルスの影響が連続ドラマにもおよぶ中、きょう13日にフジテレビ系月9ドラマ『SUITS/スーツ2』(毎週月曜21:00~)がスタートする。

放送スタートが遅れる作品もあるが、このタイミングでテレビドラマの脚本家や監督などの制作スタッフに精通する「テレビ視聴しつ」室長の大石傭平氏が、制作陣の過去作の傾向などから、この春注目のドラマを紹介する。

  • 『SUITS/スーツ2』主演の織田裕二 (C)フジテレビ

■『SUITS』チーフ監督に『朝顔』平野眞氏

今クールは、各局でヒットドラマの続編が並んでいる。そこで、この春注目の続編4作品をキャストではなく、制作陣の変化で見ていく。

織田裕二主演『SUITS/スーツ2』は、プロデュースは後藤博幸氏のままだが、前作で制作協力に入っていた共同テレビが抜け、フジ単独制作にシフトした。それによってチーフ監督も変更され、草なぎ剛主演の『僕と彼女と彼女の生きる道』(04年)や、直近作では上野樹里主演の『監察医 朝顔』(19年)を手掛けた平野眞氏が担当する。

前作の世界観は踏襲されるだろうが、監督が代わったことによって、映像演出や色合いなど、画面上でのちょっとした変化にも注目してみたい。また、平野監督は先の作品を見ても分かるように、繊細な人物描写を得意としているので、すでに作り上げられたキャラクターをさらに深く丁寧に描いていけるかにも注目だろう。

■『ハケンの品格』篠原涼子の魅力を知るP

篠原涼子主演『ハケンの品格』(日本テレビ系、水曜22:00~ ※15日・22日は『春子の物語 ハケンの品格2007特別編』)は、脚本が『やまとなでしこ』や『ドクターX~外科医・大門未知子~』の中園ミホ氏、監督は『ごくせん』の佐藤東弥氏(前作はセカンドディレクター)、プロデュースは『金田一少年の事件簿』の櫨山裕子氏と大きな変更はないが、前作で企画協力だった山口雅俊氏がプロデューサー陣に加わっている。

山口氏は、元フジテレビのドラマプロデューサーで、在局時には、篠原が主演としてブレイクする以前から、『ナニワ金融道2』(98年)や、『きらきらひかる』(98年)、『カバチタレ!』(01年)などで起用し続けてきた。篠原の魅力を知り尽くしている山口氏なので、満を持して復活する大前春子というキャラクターにどんなエッセンスを加えるのか楽しみだ。また、時代性のあるドラマを数々作って来た山口氏とあって、前作から大きく変化した派遣社員の現状についても、どこまで深く描いていくのかにも期待したい。

■『BG』テレ朝らしい安定感

木村拓哉主演『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系、木曜21:00~ ※16日から前シリーズの傑作選)は、制作が『過保護のカホコ』(17年、日テレ)や、『ハケン占い師アタル』(19年、テレ朝)などの5年D組から、『結婚できない男』(06・19年、カンテレ)などのMMJに変更。だが、脚本、監督、プロデューサーには大きな変化はなく、どんな続編作品でも長く質を担保してきたテレ朝らしい安定感ある姿勢がうかがえる。

脚本は『GOOD LUCK!!』(03年、TBS)や『エンジン』(05年、フジ)など、これまで木村の主演作を多く手掛けてきた井上由美子氏が前作に引き続き担当するので、今回も得意とする社会派の要素を入れつつ、木村の魅力を存分に発揮させるエンタテインメント作になりそうだ。

■『半沢直樹』池井戸作風を知る脚本家

堺雅人主演『半沢直樹』(TBS系、日曜21:00~ ※19日は『下町ロケット』総集編)は、前シリーズで大ブレイクし、その後も『ルーズヴェルト・ゲーム』(14年)や、『下町ロケット』(15年)など、池井戸潤原作のドラマ化を次々と成功させてきた脚本の八津弘幸氏から、丑尾健太郎氏に変更となった。だが、丑尾氏は18年の『下町ロケット(2)』や、昨年の『ノーサイド・ゲーム』(19年)と、最近の池井戸作品に参加しているので、その作風は十分に心得ているはず。

またTBS×池井戸作品でおなじみの画面ドアップを多用するなどした“映像のダイナミズム”は、福澤克雄監督が続投するため、あの時の興奮を再び味わえるのは間違いない。