俳優の片岡鶴太郎が11日、オフィシャルブログを更新し、肺がんで前日に亡くなった映画作家・大林宣彦さん(享年82)を偲んだ。

片岡鶴太郎

片岡鶴太郎

片岡にとって、大林さんは「大恩人の監督」。1988年公開の映画『異人たちとの夏』に抜てきされたことを思い浮かべ、「当時ボクシングのプロライセンス取得の為、毎日のように撃ち合う、実戦練習スパーリングの真っ最中でした。役者・俳優にとっては望ましく無い、鼻血を出したり・かすり傷をつけたりする恐れがあります」と回顧。

降板させられることを覚悟の上で、大林さんに相談したところ、「分かった、じゃ撮影以外はボクシングに集中して下さい」「もしスパーリングでアザが出来たり鼻血を出したりしたら、鶴ちゃんの背中から撮るから大丈夫」「鶴ちゃんね~、役者は顔を撮るのじゃ無いよ」「人間を撮るのだから、背中からだって人間が漂って来る」「だから大丈夫」「撮影もボクシングも集中して絶対にプロライセンスを取ってね」「私も後楽園ホールに応援に行くから!!」とボクシングに集中することを了承してくれたという。

その結果、片岡は役を演じきり、第12回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞ほか、数々の映画賞を受賞。「その御陰様で私はこの映画で最優秀助演男優賞を頂きました」「全ては大林宣彦監督の御陰様です」「感謝に堪えません」「本当に有難う御座います」と謝意を示し、「今は唯、唯御冥福を御祈り申し上げます」と結んでいる。