国立大学法人北海道大学と東日本電信電話株式会社北海道事業部(以下「NTT東日本」)はこのほど、スマートイノベーションラボ 札幌を活用した共同実験を開始したことを明らかにした。
北海道大学は、AI映像解析技術を活用した動物の行動解析や、手話の自動翻訳の研究を行っている。NTT東日本は、通信ビルなどのアセットを活用し、AIやIoT技術の社会実装に向けたPoC(実証実験)環境であるスマートイノベーションラボ 札幌を札幌市内に開設している。
このスマートイノベーションラボ 札幌は、AIの学習モデル作成に特化した専用サーバを配備しているため、AI学習に必要なデータの高速処理が可能であるという。AI学習・推論にこの環境を活用することで研究が促進され、技術の実用化による地域活性化に貢献することを目的に、共同研究を開始するに至ったとのこと。
共同研究の内容は「動物飼育の高度化」「手話翻訳の自動化」の2種類。
「動物飼育の高度化」では、札幌市円山動物園で飼育展示されている動物(ゾウ)の状況をカメラで観察し、画像情報のデータ化により動物の行動をAI分析する。そこで、生態分析に有益な客観的情報の収集、異変時の早期把握による迅速な対処、獣医・飼育員の業務高度化について検証する。
「手話翻訳の自動化」は、手話が必要とされる病院・薬局・観光地などにカメラを設置し、低遅延かつセキュアな通信環境下でAIによる手話翻訳を行うことで、スムーズなコミュニケーションを実現していく。これにより、コミュニケーションの充実や、病院・薬局・観光地等における手話要員確保などの負担軽減が期待できるという。
今後は、この実験を通して、AIの認識率の向上および、実用化に向けた効果や課題の抽出を図っていく。さらにネットワークを活用し多くの人が利用できるサービスを実現することで、地域課題の解決に貢献していきたいとのこと。