米ValveがPCゲーミングプラットフォーム「Steam」における新規リリース有料ゲームの販売成績データを公表した。成功基準を満たすゲームが順調に増加しており、多くのゲーム開発者がSteamで成長のチャンスをつかんでいる。だが、データを分析したアナリストからは、売れないゲームの増加、収益を伸ばせるゲームと上げられないゲームの格差拡大を指摘する声も上がっている。
「成功の基準」はゲーム開発者によって様々だが、ValveはSteamにおける成功基準を「リリース後最初の2週間の収益が1万ドル以上」としている。それを超えたゲームの多くは、リリース後12ヶ月で2万ドルから6万ドルの収益を上げているという。
成功基準を超えたゲームが2019年は1,100タイトルを超え、2013年に比べると約3倍だった。2005年からの推移を見ると、特に2013年から2014年にかけては倍増という飛躍的な増加だった。Valveが選んだタイトルのみ配信していたストアに、プレイヤーによる投票でリリースタイトルが決まる「Steam Greenlight」が2012年に導入され、さらに新しい内部ツールによってより多くのゲームを受け入れられるようになって新作数が急増した結果だ。その後も順調に成功基準を満たすゲームが増え、2018年から2019年にかけては18%増となっている。
新作ゲームのリリース後2週間の収益中央値は2019年に前年から24%上昇した。下のグラフは百分位数だ。35パーセンタイル以上のタイトルは2018年に比べて2019年の方が収益が多く、35パーセンタイル以下では収益が減少している。
成功基準を超える新作は増加しているが、Ars TechnicaのArs analysisはリリース後2週間の収益が5,000ドルに達しないタイトルも増えていて、しかも2019年は全体の81%だったと推測している。Arsはデータ収集サイトSteam Spyが公表していたデータなどを参考に、Steamの2019年のリリースタイトル数を推測して導き出した。
売れないゲームの増加はSteamが収益を上げにくいプラットフォームということではなく、「ゲームの質」が問われるとArsは指摘している。Steamは配信ゲーム数を増やす一方で、プレイヤーがそれぞれに適したゲームを見つけられるようにストアのアルゴリズムを改善している。そのため、良質なゲームはSteamにおいて関心を持ってもらえる可能性が高いより多くのプレイヤーにリーチできるようになった。一方で「弱いタイトルが儲けるのがさらに困難になっている」と分析している。