2期前と立場を入れ替えての五番勝負。初戦は加藤女流三段が居飛車穴熊で西山朋佳女王得意の三間飛車を破る
将棋の女流タイトル戦、第13期マイナビ女子オープン五番勝負第1局(主催:マイナビ)が4月7日に神奈川県「元湯 陣屋」で行われました。3連覇を目指す西山朋佳女王に挑戦するのは、第7期から第10期まで女王を4連覇していた加藤桃子女流三段。第11期は両者の対決となり、西山奨励会三段が加藤女王から3勝1敗で奪取に成功しています。
振り駒で先手番となったのは加藤女流三段。戦型は加藤女流三段の居飛車穴熊対西山女王の三間飛車美濃囲いとなりました。先に動いたのは加藤女流三段でした。西山女王が石田流への組み換えを目指したタイミングで歩を突き捨てて開戦します。西山女王の銀を辺境へ押しやり、飛車を中央に転回してポイントを奪いました。
西山女王は飛車・銀が働かない非常事態のため、美濃囲いの金を前線に繰り出して応戦。相手の攻め駒に圧力を加えますが、加藤女流三段は手順に角のポジションチェンジに成功します。相手玉のこびんをにらむ絶好の位置に配置することができ、さらに優位を拡大していきます。
ゆっくりしていると勝負所がなくなってしまう西山女王は端から暴れます。しかし、加藤女流三段は冷静に対応。自玉の玉頭に厚みを築いて相手の攻めを受け止めつつ、相手玉を上からの攻めで寄せていきます。
タイトル戦の開幕局という大事な一戦を簡単に落とすわけにはいかない西山女王は粘りに粘りますが、加藤女流三段の相手玉を包み込むような丁寧な寄せの前に、ついに力尽きました。129手目を指されて西山女王が投了。初戦は加藤女流三段が制しました。
第11期マイナビ女子オープンで初タイトルを獲得して以降、第12期マイナビ女子オープン、第41期女流王将戦、第9期リコー杯女流王座戦と、3度のタイトル戦を戦っていずれも制している西山女王。奨励会三段リーグでは次点を獲得、さらに竜王戦6組ランキング戦でも男性棋士を連破してベスト4に進出しており、充実一途をたどっています。
そんな女王を相手に、完勝と言っていい内容で勝利した加藤女流三段。女王4期、女流王座4期の計8期タイトルを獲得した実力を改めて見せつけました。
ただ、第11期マイナビ女子オープンでは、加藤女王が初戦を取ったものの、その後3連敗を喫しています。一つリードしたからといって、気の緩みは一切ないでしょう。
第2局は4月16日に東京・将棋会館で行われます。加藤女流三段が一気に2連勝で奪取に王手をかけるのか、それとも西山女王がタイとするのか注目です。