新型コロナウイルスの影響で、外出自粛が続く昨今。最近は、楽しみにしていた予定もなくなり、イヤイヤ期に突入しかけた娘と2人、家で缶詰の日々だ。
唯一自由な時間と言えば、娘の寝かしつけを終えた夜。誰かに話を聞いてもらいたい気分だけど、この時間、同じく疲れているであろう友人に連絡を取るのは気が引ける……。
そんな鬱々とした気持ちがどうにもならない夜、30分300円~でひたすら話を聞いてくれるというサービス「メンヘラせんぱい」に頼ってみた。
相談の受け手「せんぱい」をわがままにセレクト
「メンヘラせんぱい」は、病んだときに気軽に利用できるチャット相談サービス。アプリ上で話をきいてもらいたい「せんぱい」(相談の受け手)を選択すると、すぐにチャットを開始することができるという。
早速「メンヘラせんぱい」の公式ホームページにアクセスし、LINEアカウントで登録をすると、呼んでほしい名前、どんなことを聞いてほしいか、触れてほしくない話題や言葉、事前に共有したいことまで、まずは相談時の希望をかなり細かく聞いてくれた。
中でもうれしかったのが、「どんな風に話したいですか?」という項目。「敬語で丁寧に」「とにかく褒められたい」などから選ぶことができる。私は友達みたいな感覚で聞いてもらいたかったので、「友達感覚で堅苦しくない感じ」を選択してみた。
営業時間内であれば(現在は午後9時~午前3時)、登録を終えるとすぐに相談の申し込みが可能とのこと。たくさんいる「せんぱい」の中から「おたまさん」にリクエストを送ってみる。
既婚者・子持ち40代、おおらかで割と前向きな性格とあり、ネガティブな私を受け止めてくれそうな気がしたからだ。
ちなみに特に話したいことも話したい人も決まっていないときは「かまってボタン」をタップすると、「せんぱい」から話しかけてくれるそうだ。なんと利用者本位なのだろう。
「せんぱい」の包容力で心が楽に……
リクエストを送り、無事OKをもらえたので、支払いを済ませ早速チャット上での会話がスタートした。
正直、SNS上のやりとりはあまり得意じゃない。電話で直接話せた方が楽なのにと思いながらも打ち進めていくと、おたまさんは顔文字や絶妙なタイミングでの相槌を織り交ぜ、会話をリードしてくれる。
自分の中では、少し疲れてるくらいの気持ちだった。でも「テレワークで大人と会えずにつらい」「テレワークが始まって、家事負担増えてないか?」など、自分であまり認識していなかった思いがつらつらとあふれてきた。
「イライラしないようにしなきゃ」「前向きにがんばらなきゃいけない」、想像以上に思い込みすぎていたことに気づく。そんな思いを引き出し、受け止め、「がんばらないで」と包み込んでくれるおたまさんの尊さったらない(泣)。
ママたちの共通言語である「Eテレ」の話題で打ち解けた雰囲気になった後……。
「なぎささんは、色々と自分に課してしまいがち。もーっと楽になっていいと思いますよ」との言葉に、なんだか心がほぐれたのである。
こうしてあっという間に30分が経過。気を使う必要のない、聞き上手のママ友とおしゃべりした後のような、ほっこりとした気持ちで眠りにつくことができた。
メンヘラが安心して相談できる場所を作りたい
サービスを開発したメンヘラテクノロジーによれば、同サービス開発の背景には「メンヘラが病んだときにすぐに安心して相談できる相手がいない」という課題があるという。公共団体やNPOが運営する無料の相談窓口もあるが、相談の受け手の負担が大きいこともあり、受け手が非常に不足している状況とのこと。
「せんぱい」として活躍する相談の受け手は一定の審査を経て登録されているが、現在開発中のサポートシステムにより、専門的な知識がない人でも、あまり負担がかからない状態でユーザーの相談に乗ることができるようにしていきたいそうだ。また、チャットではなく、メッセージ形式で軽く悩み相談ができる無料のサービスも展開を予定しているという。
私は普段、メンヘラではないと認識しているが、1人の人間として生きていれば一時的に「メンヘラ」のようなつらい状態に陥ることもあるだろう。そんなときは、ただただ話を聞いてくれる、こういったサービスに頼ってみるのもいいかもしれない。