iPhoneの前に顔をさらすだけでユーザ認証が完了し、ロック解除できてしまう顔認証技術「Face ID(フェイス・アイディー)」。指紋認証のTouch IDよりスピーディーなうえに誤認識率が低く、操作ミスしにくいところがポイントです。"顔パス"が効くようなものですから、iPhoneの操作に不慣れな人でもすぐに使えます。
そのFace IDは、機械学習により顔認証の精度を向上させます。ディスプレイ上部の切り欠け部分にある「TrueDepthカメラ」から赤外線を照射、その光が反射し戻ってくるまでの時間を計測することでユーザの顔を認識しますが、一度きりではそれほど賢くありません。計測を繰り返してデータを蓄積し、そこに潜むパターンを導き出すことで、認識精度を高めているのです。
Face IDは動作するたびに学習しますから、顔の微妙な変化にも対応できます。ある程度の日数が経過すれば、ヒゲのようにゆっくり変わるパーツはもちろんのこと、メガネの有無、メイクのビフォアアフターにも影響されなくなります。顔の大半を覆う(大判の)マスク状のものを着けると、認識率は大幅に低下しますが、何度も繰り返したら認識されるようになったという報告もありますから、機械学習の効果は大きいといえるでしょう。
「Face IDをリセット」は、その学習成果を無にすることにほかなりません。もう一度Face IDを利用するためには、顔の測定をやり直さなければならず、機械学習のデータも失われるので顔認証の精度も低下します。容貌が激変した、なぜか自分の顔が認識されなくなったという場合でもないかぎり、実行すべきではありません。
もしリセットしたくなった場合には、現在認識している顔のデータはそのままに、別な顔を覚えさせたほうがいいでしょう。「設定」→「Face IDとパスコード」の順に画面を開き、「もう一つの容姿をセットアップ」をタップすれば、iPhoneに覚えさせることができますよ。