双方向配信のメリットとデメリットとは?
「zoom」に代表される双方向配信は、視聴者が互いにインタラクティブに会話ができるのが最大の強みだとお話しましたが、聞き取れなかったことや不明点があれば、その場で質問をすることも可能ですし、互いの表情を確認することで、相手の感情を読み取り会話することもできるでしょう。ライブ配信後のオンデマンド配信を想定されていないサービスも見受けられますが、配信内容をアーカイブする機能を持つ有償サービスもあります。お互いのデスクトップや資料を共有することで、より深い相互理解が可能となります。
また、さまざまな機能において、特にマニュアルを読むことなく簡単に操作できるのが双方向配信システムの優れている点です。
無償版の「zoom」では1対1通話は時間無制限、3人以上のグループ通話は40分まででき、50人まで通話が可能です。また、画面共有機能や会議の内容をレコーディングする機能もあります。レコーディング機能は、どこに格納するか選べますし、音声と画像を分けて保存してくれます。
しかし、反対に弱点もあります。視聴者が利用する個々の端末やシステム、もしくはブラウザの設定が要件を満たさない場合、動画の双方向通信が実現するまでに時間を要する場合がある点です。
Web会議システムを頻繁に利用した方であれば、初めて会議をする相手と会議を開始するまでに何かしらのトラブルが発生し、時間を要した経験をお持ちでしょう。大事な打ち合わせで、なぜかカメラやマイクが動画配信システムに認識されず(大抵の場合、システム自体ではなく、システムの設定に誤りがあります)、予定していた会議開始時間に会議を始められなかった苦い経験をお持ちの人も多いのではないでしょうか?
ブロードキャスト配信のメリット、デメリットとは?
YouTube Liveなどに代表されるブロードキャスト配信は、インターネット上のオンデマンド配信に起源があり、再生までの速度や、再生の安定性、画質・音質を重視した設計になっています。そのため、視聴者は再生ボタンを押すだけで、快適に動画を視聴することができます。双方向配信に比べ、ほぼ無制限に配信が可能なほか、限定公開や、ライブが終わった後のオンデマンド配信ができます。ちなみに、Zoomでも録画をYouTubeにアップロードすればオンデマンド配信ができますが、その手間が省けます。
反対に弱点は、エンコーダーやカメラ(Webカメラ)、場合によってはマイクなどを別途用意し配信する必要があることです。エンコーダーという聞き慣れない言葉を見て、反射的に嫌悪感を持つ方も多いでしょう。エンコーダーを簡単に説明すると、カメラで撮影した動画を圧縮し、Web上で配信しやすく変換するソフトです。
インターネット上で動画を配信する際は、視聴者へできるだけ高画質でネットワーク負荷が少ない配信環境を実現する必要があります。そのため、クラウド上にある動画配信サーバへ動画をアップロードする前に、カメラで撮影した動画を圧縮する必要があるのです。エンコーダーには有償のものと無償のものがありますが、無償のものにはWinにもMacにも対応するOBSがあります。有名YouTuberの多くがこの無償エンコーダーを使っています。
エンコーダーの設定や操作は、皆様が想像されるよりは簡単です。また、動画の画質や音質の設定のみならず、デスクトップやブラウザの投影や、複数カメラのスイッチングなど、さまざまな設定・操作が可能です。しかしながら、大抵のWeb会議システムは、ITや動画の知識がなくとも動画配信を実現できるように、ユーザーインタフェースが設計されています。
そのため、双方向性型の動画配信システムに比べると煩雑であることは否めないでしょう。更に、ソフトウェア型のエンコーダーはCPUに高負荷を与えるため、エンコーダーが推奨するスペックのPCを用意することが必須です。
ここで、YouTubeやFacebookなどのスマホアプリにおいて、なぜエンコーダーを接続せずともライブ配信ができるのかと思われた方も多いでしょう。これらのスマホアプリには、ソフトェアエンコーダーがあらかじめ組み込まれている、もしくはクラウド上にエンコーダーが用意されています。そのため、細かな配信設定や操作はできませんが、簡単にライブ配信を始められるのです(YouTubeは2018年よりエンコーダーがなくともライブ配信可能)。