米Appleが3月24日 (米国時間)にリリースしたブラウザ「Safari 13.1」、「iOS 13.4」「iPad OS 13.4」でトラッキング防止機能「Intelligent Tracking Prevention (ITP)」が強化され、Safariが主要ブラウザで初めてデフォルトでサードパーティのクッキーを完全にブロックするブラウザになった。
クロスサイト・リソースのクッキーをデフォルトでブロックするのは、他の主なブラウザを含めてもTor Browserのみ (Braveブラウザにはいくつかの例外がある)。主要ブラウザで実現したことについて、AppleでITPを担当するWebKitエンジニアのJohn Wilander氏は「プライバシー保護の向上に重要な意味を持つ」と述べている。
サードパーティーのクッキーは、外部の広告企業などが広告配信をカスタマイズするためのデータ収集に利用されている。それによって個人の関心に応じた効果的な広告配信が可能になるが、ユーザーが知らないところでユーザーに関するデータが第三者に利用されるため、プライバシー保護の見地から懸念が高まっている。
EUでGDPR (一般データ保護規則)が施行されてからサードパーティクッキーを規制する動きが加速。Safari以外のブラウザでもサードパーティクッキーの制限が組み込まれるようになった。オンライン広告を大きな収益源とするGoogleも例外ではなく、Chromeブラウザでサードパーティークッキーの利用を段階的に停止していく計画を今年1月に発表。広告配信とデータ保護を両立できる新たな仕組みに向かって動き出した。
ただし、混乱を避けるために、Googleは廃止まで約2年間の期間を設けている。それに対して、現時点でサードパーティークッキーをデフォルトでブロックするSafariはプライバシー保護優先である。利便性が損なわれたり、Webブラウジングに不具合が起きる可能性が心配されるが、Wilander氏は「実際よりも大きな変化に見えかもしれないが、2017年に最初のITPをリリースしてから数多くの制限の追加を積み重ねてきて、Safariでほとんどのサードパーティクッキーがすでにブロックされている今日に至る」としている。