トヨタ自動車とNTTは、スマートシティ事業での長期的かつ継続的な協業関係の構築に向けた業務資本提携で合意した。2,000億円を相互出資し、トヨタはNTT株式の約2.07%、NTTはトヨタ株式の約0.9%を取得する。両社は今後、スマートシティ実現のコア基盤となる「スマートシティプラットフォーム」を共同で構築し、トヨタの「Woven City」(ウーブン・シティ、静岡県裾野市東富士エリア)と品川駅前のNTT街区の一部(東京都港区)に実装する。
富士の裾野に共同開発のプラットフォームを実装
トヨタは現在、トヨタ自動車東日本の東富士工場跡地にコネクティッド・シティの実証都市「Woven City」を整備する計画を進めている。コネクティッド・シティとは、あらゆるモノやサービスがつながる都市のこと。着工は2021年初頭の予定で、将来的には175エーカー(約70.8万平方メートル)の範囲に及ぶ街づくりプロジェクトだ。ここではトヨタの従業員やプロジェクトの関係者をはじめ、2,000人程度の住民が実際に生活を送ることを想定している。そんな環境の中で、自動運転、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、人工知能(AI)などの技術を導入・検証する計画だ。
一方のNTTは、都市や街のさまざまな課題解決のため、福岡、札幌、横浜、千葉などの自治体や企業などと協業を進めている。2018年12月に公表したラスベガス市におけるスマートシティの取り組みでは、最先端のAI、IoT、ICTリソースの総合マネージメント技術を活用し、事件や事故の迅速な検知・分析や予測、最適なICTリソース管理などを実現しており、他都市への展開に向けた取り組みを推進しているという。
両社が提携した理由は、スマートシティ実現のコア基盤となる「スマートシティプラットフォーム」を共同で構築・運営し、国内外で連鎖的に展開することが必要と考えたためだ。今後はヒト、クルマ、家、住民、企業、自治体などに対し、生活、ビジネス、インフラ、公共サービスといった全領域で価値提供を行う「スマートシティプラットフォーム」を共同で構築し、先行ケースとしてWoven Cityおよび東京都港区品川エリアに実装する。
トヨタとNTTは2017年にコネクティッドカー向けICT基盤の研究・開発で提携していたが、今回は 未来の街づくりで手を組むことになった。業務資本提携を発表した記者会見でトヨタの豊田章男社長は、NTTとの提携のベースにあるのは「オープンマインド」だと説明。今後も「さらなる仲間を求めていく」と話していた。