長引く超低金利の時代に、投資をはじめようという人も多いのではないでしょうか。そうは言っても、投資と聞くとある程度の知識が必要そうだし、損をするのは嫌だな…。と自分にあったお金の運用法はないのかと悩んでいる人もいるかもしれません。

そんなお悩みを持つ人に、新しく一つの選択肢となりそうな「貸付型クラウドファンディング」という制度。金利は2%以上と高いことが特徴ですが、当然注意する点も。今回は、その注目すべき制度について解説していきます。

貸付型クラウドファンディングとは? これまでの金融商品とどう違う?

貸付型クラウドファンディングとは、一般的には「ソーシャルレンディング」と呼ばれるものでインターネットを通して不特定多数の投資家が、資金を必要としている会社や事業者へ資金を融資する仕組みのこと。

資金の貸付は、クラウドファンディング運営会社が仲介となり、投資家は返済金の利息を配当・分配という形で受け取ることができます。一般的な金融商品の債券に近い特徴を持つと言われていますが、貸付先が国や大企業の「国債」や「社債」に対し、ベンチャー企業などの小規模な企業であるという点が異なります。大企業と違って銀行の融資を受けにくい小規模な事業者にとって、比較的融資を受けやすい新たな制度です。

投資する方法は、運営会社と匿名組合契約を締結して、口座を開設し希望のファンドへ投資するだけ。毎月投資額に応じた配当金を受け取ることができます。株やFXなどの投資のように、日々の値動きなどをチェックする手間もなく、理解しにくい投資の知識も必要ナシ。

初心者でも気軽にはじめやすい投資と言えます。また、1万円から少額な投資が可能で、2%以上の高い金利を受け取ることができるのも魅力です。ただし、当然ながら、銀行預金のように元本が保証されていませんし、大企業中心の社債などに比べると貸し倒れなどのリスクが高いのも事実。少額の金額を複数のファンドへ分散投資する方がベターといえそうです。

高い利回りで決めないで! 利用時の注意点とは?

貸付型クラウドファンディングは、まだまだ法整備がきちんと整っていない点があるのも事実です。リスクを最大限に減らすためには、前述した分散投資をするという点に加えて、運営会社の健全性を見極めて信用のおける会社を選んで投資するということも重要になります。

安全な運営会社の目安は、第二種金融商品取引業の登録がされていること、大企業が運営、出資していること、過去に返済遅延を起こしていないこと、投資家への情報開示がきちんとされていることなどが主にあげられます。事前に情報収集をしっかりおこない、信頼のおける運営会社を選択するようにしたいものです。

他にもいくつか注意すべき点があります。原則、一度投資を開始すると満期まで途中解約や売却をすることはできません。投資期間が短いファンドが中心とは言え、無理のない範囲での金額を投資するようにしましょう。

投資したいファンドによって管理している運用会社が違う場合、運用会社ごとに口座を開設する必要があります。高い利回りのファンドに投資する場合は、その分貸し倒れなどのリスクも高くなるので、担保・保証のある案件を選ぶようにするとリスクを最小限に食い止められる可能性があります。

税金についても注意すべき点が。運営会社が20.42%の源泉徴収をしてから分配金を配当する形となりますが、20万円以上の利益があった場合は、雑所得として確定申告が必要です。また、利益が20万円未満でも、医療費控除や住宅ローン控除などの申告が必要な人は申告が必要になりますし、住民税に関しては、利益が20万円未満でも申告が必要ですので、原則確定申告はしなくてはならないということを覚えておきましょう。

初心者にも使いやすいサービスは?

初心者には比較的始めやすい投資の貸付型クラウドファンディングですが、どの運用会社を選ぶといいのでしょうか? ここでは初心者でも利用しやすい運用会社をいくつかご紹介します。

●SBIソーシャルレンディング

東証一部上場の「SBIホールディングス株式会社」のグループ会社で安全性が高い。1万円から投資可能。名目利回り3.0~5.0%(※)の「SBISL不動産担保ローン事業者ファンド」は、毎月1、16日に常時募集しているためいつでも投資ができる。 ※利回りは保証されているものではない

  • SBIソーシャルレンディングファンド例(募集終了含む)

●クラウドクレジット

国内の案件は一切なく、貸付先はすべて海外。利回りは、10%(※)を超えるものも多く高め。発展途上国向けのファンドも多く為替リスクなど高いリスクはあるが、世界各国の経済の発展に融資ができるので社会貢献を行うことができる側面もある。

※利回りは保証されているものではない

  • クラウドクレジットファンド例(募集終了含む)

●Funds

2019年1月から運用開始の新しい運営会社のため運用実績は未知数。融資先を上場企業に絞っているため信用度が高い。1円から1円単位で投資ができる。安全性が高い反面、利回りは低めだが、少額で始められるため初心者でも挑戦しやすい。

  • Fundsファンド例(募集終了含む)

面倒くさがりな人こそ向いている投資!

貸付型クラウドファンディングは、1万円からの少額ではじめられる手軽な投資です。難しい投資の知識も不要なので、ベテランの投資家でも初心者投資家でも得られる利益に差はつかないといわれています。また、投資をはじめてしまえば、ほったらかしでも、少額ですが、お小遣いのように安定的に利益を得られることも可能です。

どんなリスクがあるのかをはじめ、注意点をしっかり確認し、まずは数万円からはじめてみてはいかがでしょうか?

  • 回遊舎

株式会社回遊舎

“金融”を専門とする編集・制作プロダクション。 お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術、」「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。