うなぎの本場といえば、静岡県浜松市。そんな浜松の中でも、もっとも長い歴史を持つうなぎ料理店「濱松うなぎ 中川屋」が2019年10月に東京・西麻布にオープン。この店でしか食べられない名物「うなぎとろろ茶漬け」を味わってきた。結論から言うと、最高に美味かった!
本場・浜松うなぎの味を麻布で味わえる
「濱松うなぎ 中川屋」の創業はなんと明治10年。その歴史は144年という、浜松でも一番古い老舗のうなぎ料理店だ。今回、初めて東京に出店したのは、4代目の店主・村越武さんの「いつかこの味を、東京に住んでいる人たちにも味わってほしい」という思いがあったからなんだとか。そんな「濱松うなぎ 中川屋 西麻布店」(以下「中川屋」)があるのは、東京メトロ・都営大江戸線 六本木駅または東京メトロ 乃木坂駅から歩いて8分ほど。六本木通りの西麻布交差点から国立新美術館方面に進んだ路地にある。店舗が入っているのは洒落た外観の「アートスクエア」の2Fで、一見すると老舗うなぎ店が入っているとは思えないところがユニークだ。日当たりがよい店内は奥に個室もあり、おしゃれ且つゆったりリラックスできる。
そんな店内で食べられるうなぎは、老舗ならでは伝統のこだわりがある。「中川屋」では、地下100メートルから井戸で汲み上げた地下水にうなぎを3~4日間入れておくという。そうすることで臭みを抜けて身が締まるのだとか。うなぎは背開きをして一度蒸し、一般的な店と比べ倍の時間をかけてしっかりと焼き上げる。焼き目がつき外はパリッと、中はふわふわのうなぎを、144年間継ぎ足し守ってきた秘伝のタレにくぐらせれば出来上がり。
うなぎ×とろろのとろける旨さを堪能
今回おすすめしていただいた名物「うなぎとろろ茶漬け」(税別5,900円)は、店主の村越さんが25年前に考案したオリジナル・メニュー。うなぎととろろって、ものすごく精が付きそうな組み合わせでそそられる。では、いただいてみよう。
テーブルに置かれたのは、二段になった綺麗な容器。とろろや肝吸いが乗った上の段を下ろすと、下段には丸い器にひと口大に切られたぎっしりとうなぎが敷き詰められていた。見るからにめちゃくちゃ美味しそうだ。
この「うなぎとろろ茶漬け」、おすすめの食べ方が、「最初にちょっとずつ3つの食べ方で味わう」こと。まずは一膳目。お茶碗にごはんとうなぎをよそって、うな丼風に食べてみた。本当だ、うなぎの皮目が想像以上にパリッとしていてすごく香ばしい。身はふわっとしているが、ほろほろ柔らかいというよりは、しっかりと身の歯応えがあり絶妙な食感が楽しめる。このあたりは蒸し時間が短くしっかりと焼いていることで、東京で食べるほかのうなぎ店とは違う印象を受けた。タレは甘めだが奥行きがありくどい感じがない。だから色んな食べ方ができるのだと思った。
夢中で食べ進めてしまったが、続いて二膳目は、ダシを注いでわさびとねぎを入れてうなぎ茶漬けにして食べる。昆布とかつおでとったダシをかけてわさびを溶かすと、不思議と甘みが増したような気がした。
そしていよいよ三膳目。とろろをかけてわさびと海苔をちょこんと乗せてからかき混ぜて食べてみると、うなぎととろろ、すごく合う! たっぷりかけたダシでひたひたにしてもパリッとした皮目の食感が損なわれていないから、ねっとりと粘り気のあるとろろと三位一体となってサラサラっと一気に食べてしまった。これは結構クセになるかもしれない。
こうした食べ方を楽しめるのも、うなぎとタレの美味しさがあってこそ。「うなぎとろろ茶漬け」のほかにも、うな肝丼とうなぎ茶漬けがセットになった「浜名湖丼」(税別5,200円)や、ディナータイムでは「うなぎのからあげ」(税別3,800円)なども人気。東京にいながら「これぞ本場・浜松のうなぎ! 」と唸る絶品の美味しさを味わえる「濱松うなぎ 中川屋 西麻布店」に、是非足を運んでみてほしい。
●information
「濱松うなぎ 中川屋 西麻布店」
東京都港区西麻布1-4-21 アートスクエア2F
営業時間:
火~日、祝日、祝前日:11時30分~15時(フードL.O.14時、ドリンクL.O.14時)
17時30分~22時30分(フードL.O. 21時30分、ドリンクL.O.21時30分)
休:月、第3日曜日