俳優の高橋克典が、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』(毎週日曜20:00~)で、織田信秀役を好演中。本木雅弘演じる斎藤道三との激しい戦いで迫真の演技を見せ、その後も道三との駆け引きや、染谷将太演じる嫡男・信長を激怒するシーンなど、存在感を放っている。数々の話題作に出演している高橋だが、大河ドラマは今回が初出演。会見で「ずっと出たかった」と語っていた高橋に、撮影の感想や信秀役に込めた思いを聞いた。

『麒麟がくる』

『麒麟がくる』織田信秀の高橋克典

智将・明智光秀(長谷川博己)を主役とし、その謎めいた前半生に光を当てながら、彼の生涯を中心に戦国英傑たちの運命の行く末を描く本作。尾張に根を張る信秀(高橋)は、美濃の斎藤道三(本木)らと争いを繰り広げていたが、道三と和議を結ぶことを決意し、その条件として道三の娘・帰蝶(川口春奈)を、嫡男・信長(染谷)の妻に迎えた。

高橋は「撮影はとても楽しかったです。今回は4Kでの撮影もありますし、自分の年齢もありポジションがそれまでと違ってきていますので、どんなお芝居が合うのか、模索しながら演じました」と撮影を振り返り、「大河ドラマはすごくスケール感が大きいです。どこに行ってもすごい大がかりなセットが組んであるので、毎回驚きました。すごく大勢の出演者やスタッフがいますし、撮影がどんどん進んでいきますから、僕にとってはなかなかない現場でしたので、非常に刺激的でした。『大河』という名のごとく大きな河の流れの中に、撮影自体もあるような気がしました」と、大河ならではのスケール感に驚いたという。

また、信秀役について番組プロデューサーから「今まで言われていた信長のイメージを信秀が請け負ってほしい」と言われたことを明かし、「その割には、戦に出て行っては負け、気持ち切り替えて勢いよく出て行くけど、また負けるという(笑)」とツッコミ。「信秀は疲れきっていて、もう運もなく、体には毒も回ってきている。それを自分でも見切っているんですよね。それでも力を振り絞って元気には見せていますが、内側はどんどん痩せていきます」と説明し、「自分は元気だと見せながらも内側はどんどん弱っていき、さらに息子たちを見るとふがいなくて『ああこの運も俺かぎりかな』と思ってる信秀を、自分なりには精いっぱい演じましたので、その感じが伝わればいいなと思います」と語る。

15日に放送された第9回「信長の失敗」では、信長が信秀を喜ばそうと、桶に入った松平広忠(浅利陽介)の首を差し出し、信秀が激怒するシーンが描かれた。高橋は、信秀と信長の親子関係について「信長にとっての信秀は、もしかしたら越えられない山なのかもしれません。尾張は、周りがいくつもの国に囲まれていて大変だったと思います。それでも金を使ったりいろんな手だてを使って、自分の国を守る。信長から見たら信秀が憧れであり、反面教師でもあったと思いますが、どういう形であれ父が息子に与えた影響は絶大だったはずです」と分析する。

さらに、15・16歳の信長に対してどんな言葉をかけたいかという問いに、「『もっと熟慮しろ。熟慮して力を使うべきところに力を使え。ただ力が強いだけじゃなくてそういう頭の良さを持ちなさい』と言いたいですね。こいつは思慮が浅いなと」と回答。第9回で松平広忠の首を持ってきたシーンを「今これやっちゃうと余計大変なんだよと。しかも婚儀で美濃と手を結んでいるのに、やっかいごとに美濃も巻き込むことになるので、信秀は落胆するんですよね」と振り返り、「ただ力が強いだけではなく、策も使わないと先に進めない、ということを伝えたいですね」と“親”としてメッセージを送った。

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