メインの被写体はピントが合ってクッキリ、背景は少しぼんやりという"ボケ味のある写真"は、なんとも印象的な仕上がりになります。写っているものすべてにピントが合う写真と比べると、被写体が際立つだけでなく柔和な印象も加わります。
iPhone 7 Plus/iOS 10.1からサポートされた「ポートレートモード」は、そんな背景がボケた写真をかんたんに撮ることができます。一般的にボケ味のある写真は、開口部の大きさを変えて光量を調整することでピントが合う被写体以外の部分をボケさせますが、ポートレートモードに対応するiPhoneでは2基のカメラで被写体までの距離を測定し、被写界深度エフェクトと呼ばれる処理によりボケ味を出します。
このポートレートモードは、iPhone 7 Plus/iOS 10.1以降のカメラを2基以上搭載したiPhoneであれば、動植物など人間以外の被写体も撮影できます。例外はカメラが1基しかないiPhone XRで、被写体が人物と判定されたときのみAIの機能でボケ味を出すしくみになっています。iPhone 11シリーズは2基以上のカメラを搭載していますから、背景をボカして花を撮影できます。
背景をボカして花を撮影するときには、カメラアプリで「ポートレート」を選び、照明エフェクトを選択したうえでレンズを被写体へ向けましょう。照明エフェクトには「自然光」や「スタジオ照明」などいくつかの種類がありますが、春の野に咲く花であれば「自然光」が最適です。
ポイントは、プレビューの下にある「自然光」の文字が黄色く表示されたときにシャッターを切ることです。黄色で表示されていないときは、被写界深度エフェクトを適用できる条件が揃っていないため、撮影しても背景は期待どおりにボケません。コツというほど難しくはありませんが、たったこれだけで味わい深い花の写真が撮れるのですから、覚えておいて損はありませんよ。