現像済みの写真フィルムは半永久的に保存しておける…と思いがちですが、実はそうではありません。保存状態が悪いと「ビネガーシンドローム」と呼ばれる劣化が急速に進み、フィルムがダメになってしまうこともあるのです。
そこで、昨今の社会情勢から外出を控えて自宅で過ごすことの多いこの機会に、撮りためた大事なフィルムをデジタル化しておくことをオススメします。デジタル化すれば、SNSやブログで使うのも簡単になりますし、インクジェットプリンターで大きくプリントしたり、外部のサービスを利用して豪華なフォトブックも作成できます。
今回は、扱いやすさを重視したケンコー・トキナーの「5インチ液晶フィルムスキャナー KFS-14WS」(以下、KFS-14WS)と、手持ちのマクロレンズとデジタル一眼でフィルムを複写する焦点工房の「Camflix フィルムデジタイズアダプター」(以下、Camflix)を用意。個性豊かな2機種にどのような特徴があるかをチェックしつつ、実際に昔撮ったフィルムをスキャンてみたいと思います。
単独で写真をスキャンできる「KFS-14WS」
まずは、ケンコー・トキナーのKFS-14WSです。構造的には、ボディ内部に内蔵カメラと小さなライトボックスを備え、ライトボックスの上に置いたフィルムをカメラで撮影してデータ化する仕組み。画面の指示にしたがって上部のボタンで操作するだけで、背面に入れたSDメモリーカードにスキャンしたデータが保存されます。パソコンやカメラなどを必要とせず、単独で使用できるのがポイントです。
内蔵カメラのイメージセンサーは1/2.33インチのCMOSセンサーで、有効画素数は約1240万画素(35mmフィルムスキャン時)。一般的なコンバクトデジタルと同等のスペックで、この画素数であればA3ノビサイズのプリントも余裕といえます。
前面に搭載する5インチの液晶パネルは、解像度こそ50万画素と粗めですが、スキャンするフィルムの画像をチェックするには十分。付属のHDMIケーブルを使えば、スキャンしているフィルムやメモリーカードに保存した画像をテレビなどで鑑賞できるのが便利です。
スキャンできるフィルムフォーマットは、一般的な35mmフィルムのほかに、126フィルム(インスタマチックフィルム)と110フィルムの3種類。いずれもポジフィルム、カラーネガフィルム、モノクロネガフィルムのスキャンが可能です。
通常のフィルムスキャナーであれば、専用のホルダーにフィルムを挟み込んでスキャナーに通していきますが、本機はスリーブ(何枚かコマがつながった状態)であれば、本体にセットしたホルダーの横からフィルムが通せ、しかもその状態で送ることができます。手間をかけずにどんどんスキャンできるため、ネガの状態では気づかなかった傑作も見逃しません。ポジフィルムは、マウントに入ったもののスキャンも可能です。
明るさや色合いを調整したうえで保存できる
ありがたく思えたのが、明るさと色あいの調整が可能なこと。より自分好みのデータに仕上げることができます。スキャンした画像はJPEGフォーマットでメモリーカードに記録されますので、なるべくならこの時点で調整しておくとよいかと思います。