調査会社のMM総研は3月11日、中古スマートフォン市場規模の調査結果を発表しました。中古で購入したスマートフォンをメイン端末として利用している人はわずか2.4%、中古スマホを購入した経験がある人も11.8%にとどまり、日本では中古スマホがまだまだ浸透していない実態が明らかになりました。

  • 新しめのiPhoneも割安に購入でき、新品同様の商品も多い中古スマートフォン。だが、そのようなメリットが認知されず、「誰かが使ったものはイヤ」と敬遠する人が多い実態が明らかになった

メイン端末は実に8割が新品、中古品は2%台

2020年2月、MM総研が実施したWeb上のアンケートで「現在利用している携帯電話の主端末」を回答してもらった調査では、「新品で購入したスマートフォン」を利用している人が約80%と圧倒的となりました。かたや、「中古で購入したスマートフォン」はわずか2.4%にとどまりました。中古スマホをメイン端末ではなく、2台目以降のサブ端末として利用している人が多い可能性もありますが、中古スマホの利用率は思っていた以上に低いことがうかがえます。

  • 「現在利用している携帯電話の主端末」の調査結果グラフ。実に8割が新品のスマホとなっていた

「今後の中古スマートフォン購入意向」のアンケートでも、「中古スマートフォンを購入したい」という積極的な購入意向は5%ほどにとどまり、「中古スマートフォンは製品や価格次第で検討したい」という意見を合わせても1/4に届きませんでした。一方で「中古スマートフォンは絶対に購入したくない」という強い否定的な意見は40%前後にも達しています。

  • 「今後の中古スマートフォン購入意向」の調査結果グラフ。中古スマホの購入に肯定的な人は全体の1/4に届かなかった

上のアンケートで中古スマートフォンの購入に肯定的だった人に「中古スマートフォンを購入・検討したい理由」を聞いたところ、やはり「価格が安い(お得)だから」が約70%に達しました。とはいえ、「契約期間に縛られないから」「販売が終了した端末も購入できるから」など、新品購入にはない中古品のメリットをしっかり理解している人も17~18%前後はいることもうかがえます。

  • 中古スマートフォンの購入に肯定的な人に対して「中古スマートフォンを購入・検討したい理由」を調査した結果のグラフ。「新品よりも安い」という点は広く認識されているが、それ以外のメリットはまだあまり浸透していない

中古スマートフォンの購入に否定的だった人に「中古スマートフォンを購入したくない理由」を聞いたところ、「バッテリーの持ちが心配だから」「汚れや傷があるから」などが上位に入り、中古品では避けられない劣化や消耗を気にしていることが分かりました。それらとは別に、「前の利用者が不明だから」「中古端末を生理的に受け付けないから」といった理由を挙げる人も多く、中古品を毛嫌いしている人が多いことも見て取れます。

  • 中古スマートフォンの購入には否定的な人に対して「中古スマートフォンを購入したくない理由」を調査した結果のグラフ。本体の劣化や消耗を気にする人もいるが、「中古品は生理的に受け入れられない」と敬遠する人がかなり多い

それでも中古スマホ市場は拡大する

これまでの中古スマートフォンの販売台数実績と今後の販売台数予測をまとめたグラフも公開しています。2016年度を境に2018年度まで減少が続いていましたが、2019年度からは増加に転じ、それ以降は右肩上がりで増加を続けていくと予想しています。

  • 中古スマートフォンの販売台数実績と今後の販売台数予測をまとめたグラフ。2017~2018年度に落ち込みを見せたが、今後は右肩上がりで増加を続けるとみている

一時期減少したのは、大手キャリアによる中古品の下取りと値引きが広く受け入れられ、中古市場に端末が流れてこなかったためとみています。2019年度から増加に転じたのは、電気通信事業法の改正で新品スマホが買いづらくなったことや、中古品の購入で利用しやすいSIMフリー端末やSIMロック解除済み端末が増えたことが好感されたことが大きいようです。