JR東海は10日、実際に車両を走行させることなく模擬的に試験ができる「リニア走行試験装置」を小牧研究施設に新設し、3月6日に試験を開始したと発表した。
「リニア走行試験装置」は、これまで山梨リニア実験線において超電導リニアの技術開発を進めてきたJR東海が、さらなる超電導リニア技術のブラッシュアップや、建設・運営・保守の効率化をめざし、小牧研究施設に新設した。実際の走行試験に使用していた車両を活用して製作した、実物と同等の大きさ・重さの模擬編成を試験に用い、地上側の電磁加振装置に電流を流すことで、磁力により模擬編成を浮上させる。
この装置によって、走行時の車両の揺れを再現し、空気ばねやダンパーの設定などを変化させて乗り心地を確認するほか、台車に取り付けた超電導磁石に走行時の超電導磁石特有の振動を長時間与え、耐久性を検証する。
車両・超電導磁石・地上コイルなどについて、山梨リニア実験線では設定が困難な異常状態や、軌道(ガイドウェイ)のずれを模擬的に設けることで、各設備の故障の予兆を検知する状態監視システムの構築に向けたデータを取得する。これまでのシミュレーションや車両・地上設備の強度試験により、地震発生時におけるリニアの安全性は検証済みだが、加振台で電磁加振装置等を横方向に揺らすことで地震時の車両・地上設備の揺れを再現し、リニアの安全性をより高いレベルで確認する。