昨今のeスポーツブームを受けて、「自分もeスポーツタイトルをプレイしてみたい」と思う人は多いのではないでしょうか? とりわけ日本で人気の対戦格闘ゲームは、新作もリリースされ、プレイ人口が徐々に増えていると感じます。

そして、格闘ゲームを遊びはじめた人のなかには、「アーケードコントローラー(アケコン)」が気になる人もいるでしょう。そこで今回は、どんなアケコンを購入すればいいのか、初めてのアケコン購入で迷わないよう、注意すべきポイントを解説します。

  • 筆者の愛用するアーケードコントローラー、通称アケコン

見るべきは「対応ハード」「ボタン配置」「サイズ&重さ」の3つ

まず、対戦格闘ゲームは、PS4に付属する「DUALSHOCK 4」のようなパッドコントローラー(パッド)でも十分遊べます。実際に、ゲームセンターで遊んだことの少ない若手プロ選手や海外のプロ選手は、パッドを愛用していることも珍しくありません。

アケコンの利点は、ボタンの同時押しがしやすいこと。また、レバーを左手全体で包み込むように持てるので、パッドの十字キーを親指のみで操作するのに比べて、細かい指の操作が苦手な人には使いやすいでしょう。普段ゲームセンターでプレイしている人にとっては、同じインターフェースなので慣れている利点もあります。

それを踏まえたうえで、アケコンを購入しようと決めた場合、どこに注目すればいいのか。まず確認すべきは「対応ハード」。アケコンの場合は、基本的にPS4、PS3、XBOX、PCなど、さまざまなハードに接続できますが、モデルによってはゲーム機の認証を得ていないものや対応していないものがあるので、対応機種をしっかり確認しておきましょう。少なくとも「Nintendo Switch」対応か、「PS4/PC」対応かはチェックすべきです。

PCの場合は、「Directinput」と「Xinput」というコントローラーの入力方式があり、どちらに対応しているかも確認が必要です。ただ、最近はPCゲーム(Steamなど)が、両方の入力方式に対応していることが多いので、そこまで気にする必要はないかもしれません。

次にボタンの配列です。アケコンには基本的に「1本のレバー」と「8つのボタン」、それにOPTIONボタンなどの「サブボタン」が配置されています。

  • アケコンのレバーとメインボタンです

ボタンで注意すべきポイントが、「配列」。メイン8ボタンの位置によって、ノアール配列とビュウリックス配列という2つのタイプが存在します。ノアール配列は、左から2番目のボタンが高くなっており、そこから右に向かって下がっていきます。かたやビュウリックス配列は一番左のボタンのみ下がっており、残りの6つのボタンがほぼ平行。これは良し悪しではなく、慣れで選ぶのがいいと思います。

たとえば、普段ゲームセンターでプレイしている人は、遊んでいるタイトルのアーケード筐体がどちらの配列タイプか、一度チェックしてみるといいでしょう。

アケコンに慣れていない人は、自分のプレイ時の姿勢をもとに選んでみるといいかもしれません。ノアール配列はボタンに対して平行に腕を配置する人、ビュウリックス配列は肘を外側に広げてハの字に腕を配置する人に向いています。ためしに腕の角度を変えてみると、ちょうど親指以外の指先の位置が、それぞれの配列の形と一致するのでわかりやすいと思います。

  • ノアール配列のイメージ

  • ビュウリックス配列のイメージ

次はサイズ&重さ。アケコンはサイズが大きくなるほど、重さが増すものの、安定感が増します。ただ、持ち運びや取り回しはもちろん小型のほうが上。アケコンは、テーブルに置いて使うタイプと、膝(太もも)に置いて使うタイプに分かれるので、使いかたによっても、合うサイズは変わります。膝置きはテーブル置きよりも安定性がなくなるので、少し大きく、一定の重さのあるモデルがオススメです。

カスタマイズ性があればとことんこだわれる

「アケコンを買ったら自分なりにアレンジしてオリジナリティを出したい!」と考えている人にとっては、カスタマイズ性も重要。見た目をカスタマイズがするかどうかで、「マイアケコン」への愛着度も変わってきます。また、そうでなくても、使っているうちに部品の交換が必要になる場合もあるでしょう。アケコンはパッドに比べて丈夫で、なかなか壊れるものではありませんが、絶対に壊れない保証はありません。

カスタマイズが可能なモデルの場合は、本体を分解することが前提。ネジを自分で外すタイプがほとんどですが、モデルによってはボタン1つで天板を開閉できるタイプもあります。

本体の開閉を基本的に認めていないモデルは、本体を分解するためのネジに開封禁止のシールを貼っているケースがほとんど。このシールを剥がしてしまうとメーカー保証外になるので、それを踏まえたうえでカスタマイズするかどうかを考えなければいけません。

基本的なカスタマイズとしては、レバーを脱着式に変更したり、レバーガイドを4角から8角に変えたり、静音レバー、静音ボタンに変えるなどがあります。静音モデルは深夜でのプレイでも静かに遊べるだけでなく、オフライン大会で隣にいる対戦相手に操作音を聞かれないのもメリットの1つ。ボタン音からプレイを読まれる心配がなくなるでしょう。静音レバーや静音ボタンについては、デフォルトで対応しているモデルもあります。

  • レバーを取り外した状態。こちらはレバーを動かす枠が4角のタイプ

  • 着脱式レバーは、突起物を減らせるので持ち運ぶときに便利です

そのほか、チェックしておきたい機能など

そのほかチェックすべきポイントは、「機能面」「遅延」「デザイン」あたりでしょうか。

たとえば、PS4で使う場合は、タッチパッドボタンやOPTIONボタン、Shareボタンの有無、それらを一時的にオフにする機能などに注目するといいでしょう。

試合中に誤ってOPTIONボタンを押してゲームを止めてしまうと、そのラウンドもしくは試合が敗北扱いになるルールを用意する大会もあります。そこで、無用なボタンを押さないように、試合では必要のないボタンをロックする機能が必要なわけです。ほかには、ボタンを押したままで連打効果のある「連射機能」を搭載する機能もありますね。

  • タッチパッドボタンやPSボタンなどの有無も確認するといいでしょう

また、格闘ゲーマーにとっては、遅延も重要。ボタンを押してからゲームでのレスポンスに遅延が少ないアケコンほど、高い対応力を発揮できるといえます。

最後にデザイン。やはりアケコンは長く使っていると愛着が出るもの。天板のカバーを外して好きなデザインの台紙でアケコンを彩ることのできるタイプも存在します。また、モデルによっては天板にレーザー刻印をし、オリジナルのアケコンを作ってくれるサービスもあります。デザインを変えると気分も新たにゲームをプレイするのも、アケコンの楽しみかたの1つといえるでしょう。

特殊な例として、レバーレスコントローラーというタイプもあります。レバータイプの場合は、レバーを傾けることで上下左右の操作をしますが、それらの操作を4つのボタンに割り当てたのがレバーレスコントローラー。これはパッドとも違い、アーケード筐体でも採用されていないので、慣れている人はおそらくいないでしょう。イチから操作を叩き込む必要がある難易度の高い上級者向けのコントローラーです。

メリットは、レバーとパッドのよさが掛け合わさっていること。逆にパッドやアケコンで対戦格闘ゲームをプレイしたことがない人は、どちらにせよ慣れるまで時間がかかるので、あえてレバーレスコントローラーにチャレンジしてみるのも、1つの手かもしれません。

アケコンの基礎知識はこんな感じです。次は、各モデルの特徴を比較していきます。