JR東日本は9日、高輪ゲートウェイ駅の報道内覧会を実施した。3月14日に開業する同駅は、JR東日本グループのさまざまな「やってみよう」を盛り込み、最新の駅サービス設備の導入や実証実験を進め、新しいことを始める場所にしていくという。
高輪ゲートウェイ駅は田町~品川間に開業し、山手線で30番目、京浜東北線で47番目という新駅。「グローバル ゲートウェイ 品川」のコンセプトワードの下、2024年頃のまちびらきを予定している新しい街の中核として、東京と世界をつなぐ玄関口をめざす。ホームは2面4線で、1・2番線ホームは山手線、3・4番線ホームは京浜東北線の列車が停車。すべてのホームにホームドアを設けるとともに、エスカレーターを各ホーム3基(計6基)、ホーム階とコンコースを結ぶ改札内エレベーターを各ホーム2基(24人乗り・18人乗りが1基ずつ。計4基)設置した。
駅デザインについては、隈研吾氏をデザインアーキテクトに迎え、随所で「和」を感じさせるデザインに。折り紙をモチーフとした障子を連想させる大屋根の下、象徴的な吹抜けや大きなガラス面を設け、駅と街が一体的に感じられる空間としている。
券売機上部の地図式運賃表に液晶ディスプレイモニターを採用し、日本語・英語による切換表示が可能に。改札口は駅北側の1カ所(2024年度以降の本開業に合わせて増設予定)とし、2通路で「タッチしやすい自動改札機」を試行導入する。ICカードタッチ部とモニター部を斜めに配置しており、QRコードの読み取りにも対応。駅開業後、ICタッチ部実証実験(IC限定)を3月14日から5月10日まで、QR実証実験(IC・QR)を5月11日から6月30日までの複数日に行い、ICカードタッチ部・QRコード読み取り部のタッチしやすさ、駅利用者の改札通過への影響など幅広く評価していく。
改札内のイベントスペース(2階)に設置した「鉄道テラスビジョン」は、幅約14m・高さ約5mとされ、上部は透過性のあるバナービジョンを短冊状に12枚吊り下げ、下部は70インチのモニターを18台つなぎ、上下連動による映像等の放映を行う。3月31日まで東日本の風景の静止画像を表示し、4月1日から「高輪の地が過去と未来、日本と世界、そして多くの人々をつなぐ結節点となること」を表現したメイン映像などを放映する予定(放映時間は9~21時)となっている。
駅構内ではAIを活用した案内ロボット・デジタルサイネージで駅構内や周辺施設・イベント情報の案内、乗換案内などを行うほか、自律移動型の警備ロボットと清掃ロボットを試行導入し、移動案内・広告ロボット、移動支援ロボットの実証実験も行う。報道内覧会で使用された清掃ロボットは、特急「ひたち」「ときわ」の車両E657系をイメージしたデザインだった。自律移動型のロボットは3月中旬から順次稼働予定(稼働しない日・時間帯もある)。また、改札内のトイレにおいて、姿見にサイネージミラーを採用し、季節感を感じられるしかけも用意されていた。
改札内(2階)にオープンする無人AI決済店舗「TOUCH TO GO」では、天井部分にセンサー型のカメラを約50台設置したことなどにより、商品を手に取るだけでウォークスルーの買い物ができる。この無人AI決済技術と、JR東日本グループのノウハウを活用した商品供給により、革新的な購買体験を実現。あわせて人手不足の課題解決もめざすという。店内では弁当・総菜・菓子・飲料等が販売される。
駅構内店舗はその他、改札外(3階)に「スターバックス コーヒー 高輪ゲートウェイ駅店(仮称)」もオープン。ビジネスパーソンや駅利用者らをターゲットとしたサービスを充実させ、店内にブース型シェアオフィス「STATION BOOTH」も設置される。無人AI決済店舗「TOUCH TO GO」と「スターバックス コーヒー 高輪ゲートウェイ駅店(仮称)」はともに3月23日の開業を予定している。
高輪ゲートウェイ駅では、さまざまな環境保全技術(エコメニュー)を導入する「エコステ」の取組みも行う。膜屋根の採用で内部の温度上昇の抑制と日中の照明電力量の削減を図るとともに、福島県古殿町や宮城県石巻市などを産地とする国産木材を使用することにより、東京都港区が推進する二酸化炭素固定認証制度「みなとモデル★★★」を取得予定だという。駅の照明にLEDを採用し、線路脇に小型風力発電機を2基設置。東京方のホーム屋根部に太陽光パネルを設置し、緑化空間も整備する。
なお、新駅の開業を記念した各種式典については、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から中止するとのことだった。3月19日から開催予定だった「Takanawa Gateway Fest」、4月1日の開始を予定していた、日本航空との連携による最新テクノロジーを活用した旅の魅力発信に関する実証実験も、同様の理由で当面延期となった。