JR東日本は10日、小海線小淵沢~小諸間にて新しい閉そく方式・列車制御方式を採用した無線式列車制御システムを導入し、4月20日初列車から使用開始(予定)すると発表した。これにより、安全・安定輸送のさらなる向上と設備のスリム化が図られる。
現行のシステムでは、運転士が列車内に設備されているスイッチを扱うことで信号機を制御する閉そく方式(信号機等で区切られた閉そく区間を1列車に占有させる方式)を採用している。また、列車制御方式は地上子とケーブル類で構成され、多くの地上設備を設ける必要がある。
小海線に導入する無線式列車制御システムは、列車と地上設備が双方向に無線通信をすることにより、従来と比べて地上設備をスリム化することができ、閉そく方式・列車制御方式の機能向上を図っている。
現行のシステムが、線路上に設置されている地上子から信号機の条件に応じた情報(非常ブレーキ情報等)を伝送しているのに対し、新しいシステムでは信号機の条件を無線で伝送することで、列車自ら速度照査パターンを作成。列車は自らの速度を常時チェックし、そのパターンを超えた場合はブレーキ制御を自動的に行う。
現在は運転士によるスイッチ扱いにて信号機の制御を行っていたが、新しいシステムでは列車ダイヤにもとづき自動で信号機の制御を行う自動進路制御装置を採用。これにより、指令から列車の運行管理が可能となり、輸送に対する柔軟性が向上する。
加えて、各駅に分散して設置する必要のあった地上装置(信号機等)を連携させ、列車の安全を確保する連動装置を1カ所に集約することで、設備のスリム化も実現。設備点数が少なくなり、設備に起因する故障リスクが低減する。
新システムへの切換工事は4月19日の終列車から4月20日の初列車までの間に実施される。切換工事の予備日は4月26日の終列車から4月27日の初列車までの間とされ、予備日に切換えが行われた場合は4月27日が使用開始日となる。