パナソニックは、JR東日本と共同開発したPLC(電力線通信)による調光調色が可能な駅ホーム用の照明制御システム594台を高輪ゲートウェイ駅に納入したと発表した。

  • 高輪ゲートウェイ駅のホーム照明(昼白色)

パナソニックによれば、照明器具の調光調色のため、電源線の他に信号線を敷設する必要があり、費用と工期がかかることから駅での照明制御システムの導入例は数少ないという。信号線を使わず無線方式とする方法もあるが、駅構内では無線LANや列車無線などさまざまな無線が利用されており、混信による通信性能低下の懸念もあった。

一方、電力線に高周波の通信用信号を乗せて伝送し、電力線を通信線としても利用する技術「PLC」を照明制御システムに取り入れることで、制御盤から各照明器具につながる信号線を敷設する必要がなくなる。

これに着目した両社は共同研究開発を行い、通信周波数帯域が10~450kHzの低速PLCのうち、電源環境ノイズの影響を受けにくいG3-PLC方式を採用。実際の駅での電源環境を測定し、その環境の中でも正常に動作するように、最適な回路設計を実施した。2017年、試作機によるフィールド試験を千葉駅ホームで行い、実環境において運用可能な通信品質であることを確認したという。

  • 高輪ゲートウェイ駅のホーム照明(電球色)

高輪ゲートウェイ駅では、この方式の照明制御システムを採用することにより、時間帯や天候に応じて照明の調光調色を行うことが可能に。日中は自然光との調和を図るため、昼白色から白色の光で照明し、夕方以降はコンコースと合わせて電球色のあたたかみのある光の照明に切り替える。